オバマの戦争 Watch その19: ベトナム大統領インタビュー
スペイン "ELPAÍS" 紙に、12月14日より同国を公式訪問したベトナム社会主義共和国の グエン・ミン・チェット (ウィキペディア) 国家主席とのインタビュー 「アメリカがアフガニスタンで、ベトナムの轍を踏まぬことを望む」 と題された記事が掲載されています。内容は社会主義国に関するステレオタイプ的な質問 (様々な自由が制限されていること) に対する回答やら大統領就任1年になるオバマの評価 (今のところコトバだけで実行が伴っていないこと) 等も含まれますが、やはりベトナム戦争とアフガニスタンでの戦争の比較の部分が注目されるところ;
- http://www.elpais.com/articulo/internacional/Espero/EE/UU/repita/Afganistan/errores/Vietnam/elpepuint/20091214elpepuint_8/Tes
"Espero que EE UU no repita en Afganistán los errores de Vietnam"
J. P. VELÁZQUEZ-GAZTELU - Madrid - 14/12/2009
西側ではアフガニスタンとベトナムが比較されるが、状況は似たようなものとお考えか? との質問に対し、
−−−Espero que el pueblo estadounidense y el pueblo afgano no sufran las consecuencias causadas por los errores que Estados Unidos cometió en Vietnam. Condenamos enérgicamente el terrorismo bajo cualquier forma, y al mismo tiempo, consideramos que la lucha contra el terrorismo tiene que ejecutarse conforme al derecho internacional y sobre la base de respeto a la independencia, soberanía nacional, integridad territorial y derecho de autodeterminación de los países.
アフガニスタンがオバマにとってのベトナムとなり得るか?との質問に対しては;
Cualquier comparación es relativa. Deseo que la Administración estadounidense tome las medidas adecuadas para resolver el problema tan pronto como sea posible para brindar al pueblo afgano paz y estabilidad.
- ベトナム (ウィキペディア)
(1945年9月2日 - ベトナム民主共和国の樹立を宣言、ホー・チ・ミンが初代大統領に就任。同日、大日本帝国政府が降伏文書に調印し、第二次世界大戦が公式に終結した。)
アメリカとの関係
かつてベトナム戦争で現政権の北ベトナムにとっては敵対関係だった。南ベトナムからは多くの難民が流出し、カナダ、オーストラリア、フランス、アメリカへと移民した。サイゴン陥落後からソ連崩壊を経て、ドイモイ政策後の1995年8月5日、ベトナムとアメリカは和解し、アメリカとの国交が復活した。
2000年には両国間の通商協定を締結し、アメリカがベトナムを貿易最恵国としたこともあり、フォードやジェネラルモーターズ、コカ・コーラやハイアットホテルアンドリゾーツといったアメリカの大企業が、ドイモイ政策の導入後の経済成長が著しいベトナム市場に続々と進出し、2003年にベトナムの国防大臣はペンタゴンの歓迎式典で最大の敬意を払って迎えられた。ベトナム政府は経済、外交などで対米接近を基本政策としており、ジョージ・W・ブッシュ大統領の来訪も大歓迎している。対米関係への配慮から戦争中の枯葉剤などについても、あえて『民間団体』に担当させて、政府は正面に出てこないくらいアメリカに気をつかっており、一般のベトナム人も経済向上のためにはアメリカとの関係を緊密にするべきだと感じ、アメリカの観光客、企業代表などを熱く歓迎している。米軍に侵攻され多大な被害を受けたにもかかわらず、政府・国民とも親米的な珍しい例である。しかし 薬品会社は未だ枯葉剤問題に対して棄却し未解決でありアメリカに激しい憎しみを持つ者も存在する。 (以下略)
- ベトナム戦争 (ウィキペディア)
通常1965年2月7日の北爆を開戦として、1975年4月30日のサイゴン陥落を終戦と看做す。
上掲グエン・ミン・チェット国家主席のコメントは親米国らしい穏やかなものですが、アメリカの主導する 「テロとの戦争」 全般に対する間接的な批判となっています。なおオバマ演説中ベトナム戦争に言及している部分は;
オバマ12月01日演説 より;
−−−第1に、アフガニスタンがもう1つのベトナムであると示唆する人々がいます。その国を安定させることは無理で、米国の損失を最小限に止め、急速に撤退する方がいいと主張しています。私は、この議論が歴史の誤った解釈に基づいていると思っています。ベトナムとは違って、米国の行動の正当性を認識する43カ国の広範な連合が我々に加担しています。ベトナムとは違って、我々は幅広い基盤をもつ人気のある反政府勢力に直面してはいません。そして最も重要なことは、ベトナムとは違って、アメリカ国民はアフガニスタンから悪意に満ちた攻撃を受け、同国国境沿いで攻撃を策謀している同じ過激主義者の標的になり続けています。この地域を今放棄し、アルカイダに敵対する努力だけに遠くから依存することは、アルカイダに圧力を与え続けるという我々の能力を大きく阻害することになり、米国本土および同盟諸国への追加攻撃に対する受け入れがたいリスクを創出することになります。 (以下略)
これだけ手前味噌な 「歴史解釈」 や 「現状認識」 は博物館展示級。おまけに 「ベトナムとは違って、アメリカ国民はアフガニスタンから悪意に満ちた攻撃を受け」 って一体何のこと? アフガニスタンで悪意に満ち満ちた攻撃を展開するアメリカ軍がアフガニスタンで反撃されているだけでしょ? いつアフガニスタンがアメリカを攻撃したのか教えてもらいたいものです。今更、9−11なんて言うんじゃぁないでしょうね?