遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

翻訳家 山岡朋子さん その18  『ルス、闇を照らす者』 原著のことなど

この作品は、ネットで確認する限り「横山朋子」さんのお名前でなされた最後の翻訳の様です。翻訳はまだ読んでいませんが、この本、もっと注目されるべきと思いますが。新品が入手不可なのは納得行きませんね。

まず原著を一気に読んでイメージを描き、その後翻訳も一気に読んで同じイメージを描けるかを確認、そののち私の勘違いを修正したうえで必要に応じてやや細かいところまで考察することになりそう。大雑把ですが、私に出来るのはこの程度。

アルゼンチン特有のスペイン語(二人称の vos および相当する動詞の活用)に留意することと、過去南米の別の国で暮らした時に聞き慣れた vulgarismo からの類推で、比較的快適に読めています。これを訳せ、と言われたらお手上げですが。

小説を読むのは本当に何年ぶりですが、ストーリーに引き込まれ、この2日でプロローグ(1998年)と第1部(1976年)まで一気呵成に読めました(435頁中165頁まで)。かなり詳細なイメージを頭の中に描きながら読むため、涙を流しながら、共感しながら、憤慨しながら、あるいは手に汗を握りながら無我夢中で−−−とにかく素晴らしい!!原著の裏表紙の書評中、 "paisaje humano(人間模様、ですかね?)" との評価がありましたが、まるで息吹や心臓の鼓動まで聞こえてきそうな筆運びは絶品ですね。

  • 原著の内容に関しては、私は80年代から中南米に関わっておりますので事実として認識はしておりました。殺すも殺されるも地獄、生き延びるも地獄、どこまで、そしてどの様に人間はかくも愚かに、残酷になれるものか。アルゼンチンだけではないし、中南米だけの問題でもありません。今日も、どこかで同じようなことが起こっているはずです。ただし当ブログは翻訳について考察することが目的ゆえ、内容そのものについては触れないこととします。

翻訳について名訳の誉れが高い理由のひとつは、原著が事実に基づく非常に優れた傑作であることなのでは?

中古の原著を受領してから、原著が原作者HPのリンク先からPDFでダウンロード出来ることに気付きました。実にこの本の目的にかなった措置です。(これで自宅では紙の本を、出先ではPDAで読めることになりますから、少しはスピードアップ出来るか?)


http://www.elsaosorio.com/
作者 Elsa Osorio さんのHP

A VEINTE ANYOS DESPUES, LUZ

Una joven, nacida en cautiverio durante la dictadura, que a los veinte años inicia la búsqueda de su identidad.


PUEDES BAJARTE A VEINTE AÑOS,LUZ de la página web de Las Abuelas (click aquí)
 当作品は、リンク先である「おばあちゃんたち」のHPからダウンロード可。

http://www.abuelas.org.ar/
ABUELAS DE PLAZA DE MAYO −−− 直訳すれば「5月広場のおばあちゃんたち」

si naciste entre 1975 y 1980, tene's dudas sobre tu identidad y cree's que sos hijo de desaparecidos
comuni'cate con dudas@abuelas.org.ar

  • もしあなたが1975年〜1980年に生まれ、自分はひょっとすると行方不明者の子供では無いかと疑問をお持ちなら、連絡を下さい。

http://www.abuelas.org.ar/material/documentos/OSORIO_a20anios.pdf


涙無しには到底読めませんが、残りを読むのが楽しみです。山岡(横山)朋子さん、よい作品にめぐりあわれましたね。