遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

チリ コピアポ鉱山落盤事故

あともう少し!! 救出時の唯一の危険は減圧 ?


<チリ落盤>作業員33人の救出作業を13日開始…鉱業相
  毎日新聞 10月10日(日)13時5分配信

  −−− 救出用のトンネルは9日に貫通した。3本のトンネルを同時並行で掘っていたが、最も早く目標に到達したのは井戸掘り用高速掘削機を使用したプランB。チリ政府は同日、プランAと呼ばれる鉱山用掘削機械による掘削作業を停止した。油田掘削機を使用したプランCは念のために続行している。


  コピアポ鉱山落盤事故 - Wikipedia

  Rescate de la mina San José - Wikipedia, la enciclopedia libre


Transmisión en vivo / El América
  実況チャンネルの例


[Mineros atrapados. Especial Multimedia
  LA TERCERA 紙マルチメディア特集、大変見易い。以下幾つか紹介;

  http://latercera.com/multimedia/interactivo/2010/10/687-30543-4-nuevos-plazos-de-rescate-y-el-proceso-de-encamisado.shtml

  

  



落盤 - Wikipedia によると 『落盤(らくばん)とは、坑道や地下構造物の天井や側壁が崩壊すること。原因は支保工の施工性の問題、構造の老朽化、地質の脆弱性に起因するもの、安全対策への理解不足、ガス爆発などさまざま。坑道内で掘削中や構造物建設の最中に発生した場合、多くの作業員等が巻き込まれて深刻な労働災害となる場合が多い。』 そうです。コピアポ鉱山は金・銅を産出していますが 炭鉱 - Wikipedia を参考にすると、事故の種別としては; 

  5.1 ガス爆発
  5.2 ガス突出
  5.3 粉塵爆発
  5.4 坑内火災
  5.5 海水流入

だそうです。子どもの頃、よく夕張や芦別の大小炭鉱事故のニュースを見ました。1963年には死者・行方不明者458人を出した、炭坑節 で有名な? 三池炭鉱 の爆発事故があったのも覚えています。石炭が表舞台から姿を消し炭鉱が次々と閉鎖されるにつれて当然炭鉱事故は無くなりましたが、 「地中に穴を掘る」 タイプの業種ではいまだに事故は絶えません。(露天掘りは事故と無縁かな?) 中国では、報道されないものも含めて頻発している様だし、2010年4月5日にはアメリカのウエスバージニア州でも死者29名を出す事故がありました。現在死語かも知れませんが、「きつい、汚い、危険」 の3Kの典型的な仕事。鉱員さん達は皆誇りを持って働いていらっしゃる筈ですが、社会を下支えする必要不可欠な仕事なのに、ペイも良く無いし社会的な地位? も決して高くはなさそうです。


この様な事故が起きるたび、安全対策がなおざりだと云う会社の姿勢が当然の様に批判され吊るし上げを喰います。今回の事故でミネラサンエステバン社は間違いなく破産するでしょうし、日本の様に丸裸にはなりませんが社主の責任も徹底追及されるでしょう。では事故は社主だけの責任か? カイシャの肩を持つ訳ではありませんが、残念ながら答えはNOです。 『安全』 は意識だけの問題ではない、体制に組み込むためにはかネも時間も設備もかかるし、頭数も必要。メーカーの生産現場で働かれている方ならおわかりと思うが。コストを大幅に押し上げる要因なのです。特に地下700メートルで鉱員さん達が快適とは云えないまでも安全に働けるためにはどんな追加投資が必要か、想像するだけでも相当の規模になる筈。


他方、生産物の価格は市場が決めるのが正しい、と考えられています。大雑把に言えば、販売価格マイナス生産物のコストが利益で、法人としては当然その最大化が求められます。「慈善事業やってるわけじゃない」 のでね。そのしわ寄せが 「安全」 に来ている訳で。高いものは誰も買いません、それが当たり前と思われていますよね? ミネラサンエステバン社の財務内容は存じ上げないが、「安全対策」 どころか老朽化した設備の更新さえままならないと思います。人件費も恐らく最低レベルであるにもかかわらず。で、市場価格は一般的には需要と供給の関係で決まりますが、更にはに投機によっても大きく左右されます。供給者のコストなど殆ど関係ない。その成果を最終的に享受するのが我々最終消費者ですから、間接的とはいえ事故の責任は市場にも我々にもある、と思います。安いことは必ずしも善ならず。


鉱山そのものがどうなるのか、閉山されるのか別の会社が引き継ぐのかは、鉱脈の状態と 「安全な操業のために必要な追加投資」 の償却を加味した 「利益シミュレーション」 の結果によるでしょう。閉山なら、鉱員さん達の生活には不安がある筈。会社清算時最優先で、または政府による補てんにより幾ばくかの賠償金は支払われるでしょうが、失業しますから。鉱山でもっているようなマチであるなら、ゴーストタウン化するし。


このところ中国のレアアースの問題が脚光を浴びています。中国首相「レアアース輸出、遮断しないが統制は必要」 と報じられていますね。



出典: レコードチャイナ:乱開発懸念で輸出規制論が台頭=日米ハイテク産業支える中国
この現場は露天掘りの様ですね。3Kっぽい作業、おまけに児童労働では?(違法だから仕方が無いか)


レアアースの採掘について知識は全くありませんが、中国では3K仕事がメインでは? 埋蔵そのものは中国以外にもあるのに、何故皆中国に群がるか? 自国で採掘・加工するより安いからでしょう。現在の市場至上主義の下では安ければ安いほどその調達は正しい、たとえその生産現場がタコ部屋並みであり、死と隣り合わせても。ここにも災害のタネが転がっていると云えませんか? 採掘環境を整え、管理下輸出するに際して 「安全」 コストおよび非人間的な給料アップを反映させた 「価格改定」 を行ったら、多分我々は、やれ資源ナショナリズムだ、暴挙だ、市場経済を無視したアカだ、と言うでしょ?


何はともあれ、今回33名全員が生存していること自体奇跡、33人全員が無事救出されることを祈るばかり。また必ずどこかで災害は繰り返されます。でも今のままでは、次回ひとのいのちが助かる可能性は限りなくゼロに近いでしょう。



出典: 上掲 http://es.wikipedia.org/wiki/Accidente_en_el_yacimiento_San_Jos%C3%A9_de_2010:titlebb