遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

ハイチ大震災: 子どもの人権 --- 商品化 その2

養子縁組の名を借りて裏で行われている人身売買、更には臓器売買のケースが表沙汰になりだしましたが、恐らく氷山の一角;

  • http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100131-00000001-cnn-int
    1月31日13時33分配信 CNN.co.jp


    ポルトープランス(CNN) 大地震で被害を受けたハイチと隣国ドミニカの国境で30日、子供33人を引き連れた米国人10人のグループを人身売買容疑で逮捕したと、ハイチ国家警察が明らかにした。 (中略)


    アイダホ州メリディアンのセントラル・バレー・バプテスト教会はCNNの系列局に対し、同教会の支援者が不当に逮捕されたと主張。ハイチ当局と何らかの誤解が生じたと話している。


    「ハイチ当局との間に生じた誤解」 とは何でしょう? 「ハナシが違う」 ってこと以外では有り得ない。「当局」 とは政府ではなくカネで動く役人でしょう。教会も、どうも胡散臭い。この事件では子どもをいったん隣国ドミニカ共和国へ連れ出そうとしていましたから、複数の 「輸送」 ルートが存在していることになります。
  • http://cnn.co.jp/world/CNN201001280031.html
    2010.01.28 Web posted at: 18:40 JST Updated - CNN


    −−−ベルリブ首相は27日、被災で両親らを亡くした孤児の人身売買や臓器売買が横行していることを明らかにした。 (中略)


    −−−人身売買が最大の緊急問題になっている現状を明らかにし、米国などに連れて行かれていると述べた。この事態を防ぐため、駐ハイチの各国大使館と協力し、出国するハイチの子供は目的先の外国の大使館の確認が必要な制度確立に動いているという。


    震災後の混乱の中、ある子どもが孤児かどうかの判断は難しい筈。ただ単に家族とはぐれただけかも知れないし。人身売買だけでも人権に対する重大な犯罪であるのに、さらに臓器売買となると悪質極まりない。いのちを奪ってから 「バラ売り」 しているのか、生きた状態で摘出して、その後子どもを捨てているのか、どちらにしろ考えるだけでもおぞましい。その臓器の買主−顧客は、無きに等しい 「孤児のいのちのネダン」 + リスクの高い 「犯罪コスト」 + 仲買人や売人のおいしい利益まで払うことの出来る先進国の人間ですね。
  • Haiti's orphan adoption debate | News | Al Jazeera
    UPDATED ON: Friday, January 22, 2010 / 12:49 Mecca time, 09:49 GMT, Al Jazeera English


    The plight of orphaned children in earthquake-hit Haiti has led to calls for international adoption processes to be sped up.


    But it has also raised the question of whether taking children away from their homeland, even in extreme or impoverished conditions, is the right solution. (以下略)


人身や臓器の売買は、誰が考えても人権に対する重大な犯罪行為ではあるものの、残念なことに経済的に困窮した地域では広く行われているのでしょう。比較の対象が違い過ぎますが、麻薬同様需要があるから供給が成り立つ、と考えるなら、需要サイドである 「経済的強者」 に大きな責任がある。何としても養子が欲しい、臓器が欲しい、と望むひとたちには悪意は無いと思いたいが、その足元を見る仲介者の存在を許すことになってやしないか? 売り手もハッピー、買い手もハッピー、そんなビジネスでカネを儲けて何が悪い? と云う非常に醜悪な詭弁を成り立たせていないか? 需要側でドラスティックな対策講じない限りこの問題は解決しません。子どもに起こることは全て親・オトナ社会の責任ですから。


ワールドカップを開催出来るほどの 「国力」 のあると認められた国ですが、子どもの人権に関しては、別の事情から震災後のハイチとあまり変わらない。英語版アルジャジーラ南アフリカ特派員 (契約記者ですかね?) である Haru Mutasa さんは、記事があまりに否定的な面を見過ぎているのかもしれないが、と断ったうえで、ワ−ルドカップ景気 (による安価な労働力への需要増) を見込んで南アフリカに多くの他アフリカ人が流れ込んで来るが、あって無きに等しい国境を越えて親を亡くした、あるいは貧しい親に仕送りをしようと子どもたちも沢山来る。国境を超える際、待ち構える詐欺師どもに女性や子どもはレイプされたり、一人300ドルでセックス産業に売り飛ばされることも多く、警察は機能していないことを述べ、 "−−− maybe pulling of a fanstastic World Cup is more important than ensuring the safety of thousands of child migrants thought to be in South Africa right now!" と締めくくっています。