遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

ハイチ大地震: ハイチの歴史についての考察

徐々に現地の状況が明らかになってきました。世界中からの援助は実行されてもインフラの崩壊がひどく物流が機能しない -- 届けられない、受け入れ空港は既に一杯 -- こと、政府機能が麻痺しており復興活動全体の音頭取りが出来ないことにより、生存者の救出・被災者の救護などに大きな支障が出ている様子。被災直後は仕方が無いとしても、これからの被害拡大をどう食い止めるか、「国際社会」 の責任ですね。MSN 天気 によると現地の気温は30度近いですからご遺体の処理、し尿の処理および生存には欠かせない飲料水の確保など衛生面でのケアの優先度も高そう。伝染病など発生すると更に収拾がつかなくなる。医療などは、距離・レベル (モノが無い状態での活動にも慣れている筈) を考えるとキューバから派遣するのがよさそうですが。


救援活動の指揮を、機能していないハイチ政府に代わってアメリカを含む近隣国が取ることは当面やむを得ないのかも知れませんし、実際に行動されている機関や団体などの批判は差し控えるべきであることは認識したうえで、何故ハイチが米州の最貧国となったのか、災害復興後の体制はどうなるのか、について、日本ではあまり大きく報道されない幾つかの記事を紹介し簡単な考察を試みることに;



出典: Google Map

ハイチ - Wikipedia 特に歴史の項目参照。
ハイチ革命 - Wikipedia
ハイチ地震 (2010年) - Wikipedia

  • http://www.alternet.org/world/145183/haiti_didn%27t_become_a_poor_nation_all_on_its_own_--_the_u.s%27s_hidden_role_in_the_disaster
    By Carl Lindskoog, AlterNet. Posted January 15, 2010


    【今回の震災についてUS大手メディアは 「ポルトーフランスは人口過密であるうえに安普請の家を安易に建てたことで被害が拡大した。長年に渡る開発の停滞と政治的混乱が原因である」 と云う論調で報道しているが、これは片手落ち。ハイチは57年〜71年の間反共産主義者としてアメリカに支援されたパパ・ドクの圧政下におかれ、続くベビードク時代 -- 60年代〜70年代 -- にはアメリカ政府・産業界と組んでハイチおよびポルトーフランスを今の様にしてしまったことを忘れてはならない。伝統的な農業を破壊して 「市場経済に沿った輸出志向」 へ変換させ、一方 「援助」 の名の下アメリカの過剰農産物の処理場にしてしまった。職を求めて首都に流れ込む人口は増え続けたが、アメリカおよびハイチのエリートはその政策をいとも簡単に捨ててしまった結果が今のハイチではないか】、と云う記事。(私のいい加減な抄訳ですから、記事を読んでみて下さい。以下同じ)
  • Cubadebate
    15 Enero 2010
    以下サイトにも同じ記事掲載されています;
    • La lección de Haití
      (Tomado de CubaDebate)


      これはフィデルのブログ *1 最新記事。【今回の震災は世界中のひとたちの善意を誘うが、何故ハイチはこんなに貧しいのか考える人は少ないのではないか。ハイチは、ヨーロッパ人によって拉致・売買され連れて来られたた40万人の黒人奴隷たちが3万人の砂糖黍・コーヒー白人農園主達を相手に蜂起し、あのナポレオンを打ち負かした最初の輝かしい革命国家であるが、1世紀以上に渡る重労働や軍事介入・富の略奪など、植民地主義帝国主義の産物以外の何物でもなく、それは現代の恥と言わざるを得ない。】 との歴史認識の上で、ハイチとの医療交流の実績とキューバから出動済みの医療応援についてもアピールしています。

    • Naomi Klein 公式サイト。対談中紹介されたのは;
        • Things to Remember While Helping Haiti
          Posted January 13th, 2010 at 3:32pm in American Leadership


          当初掲載された記事は、 DEMOCRACY NOW! 対談中紹介されたナオミ・クレインさんコメントによると、 "Amidst the Suffering, Crisis in Haiti Offers Opportunities to the U.S. In addition to providing immediate humanitarian assistance, the U.S. response to the tragic earthquake in Haiti earthquake offers opportunities to re-shape Haiti’s long-dysfunctional government and economy as well as to improve the image of the United States in the region." と云う様な論調だったのがソフトに変更されて現在の題名になったとのこと。品の無い火事場泥棒ですね、私は嫌悪感しか感じません。
  • La cruel historia de un país olvidado
    JUAN JESÚS AZNÁREZ - Madrid - 14/01/2010 ELPAÍS.com


    何を意図して書かれたものかよく理解出来ませんが、軽蔑と悪意に満ちた、思い上がったスペイン人の書きそうな中傷記事に過ぎないと感じます。私の読み間違いかも知れませんが、あまりにレベルが低過ぎやしないか?


なおハイチの惨劇を亡命先南アフリカで知った元ハイチ大統領である ジャン=ベルトラン・アリスティド - Wikipedia さんのインタビューが報道されています;

Exiled in South Africa, Arisitide Says He Wants to Return to Haiti to “Help Rebuild the Country, Moving from Misery to Poverty with Dignity” | Democracy Now!
January 15, 2010, DEMOCRACY NOW!


動画は以下YouTubeでも公開されていますが、DEMOCRACY NOW! サイトにはアリスティード元大統領のコメントのトランスクリプトあり。



  • Title: Exiled President Jean-Bertrand Aristide, DN 1/15/2010


CNNは早速次の様な提灯記事を掲載しています。;

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100116-00000005-cnn-int
ハイチのアリスティド前大統領、帰国の用意と 祖国再建で
1月16日15時3分配信 CNN.co.jp


−−−前大統領は2004年、元軍人らが各地で蜂起する政変に伴い辞任して出国、南アに逃れていた。 (中略)


帰国した場合、過去の経緯から政治的混乱がさらに深まるとの見方が根強い。


確かに今アリスティードさんが帰国しても出来ることは殆ど無いだろうし、かえって緊急援助の妨げにもなりかねないかも知れませんが、アメリカ軍は出来るだけ早い機会にその機能を (アメリカや特定の国に私物化されていない) 国連などの機関に引き継ぐべきですね。居座り続けると内政干渉となり、ハイチはまたババをひかされそうなので。

*1:最近まであった Reflexiones de Fidel にアクセスしようととしましたら 「検索したブログは見つかりませんでした。」 の表示が。Googleの提供するブログサイトですから、現在中国でモメている関係から削除されたか削除したのかも。