遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

私の大好きなフラメンコのこと その15: Tocaores

今までに実際に聴いた・レコードなどの録音を通じて聴いた中で、唄の伴奏に関して私が多分一番好きな Tocaor (弾き手) は "MANOLO DE BADAJOZ" こと MANUEL ÁLVAREZ SORUVE (Sorubet と記しているのもアリ、1889 あるいは 1892 〜 1962、結構いい加減ですね) です;


左: Manolo de Badajoz
中: カディスの唄い手 Pericón de Cádiz
右: フラメンコギター界の大御所 Don Ramón Montoya
撮影年不明、マドリード
出典: LAS MIL Y UNA HISTORIAS DE PERICON DE CADIZ
Por Jose Luis Ortiz Nuevo y Juan Martínez Vílchez (=Pericón)
EDICIONES DEMOFILO, S.A., 1975
I.S.B.N. 84-85175-03-6


長男の Manolo、二男の Pepe、三男の Ernesto とも全員、父親である "el Maestro Paco" に仕込まれた床屋さん兼ギター弾きであり、マノロおよびぺぺの二人は特に唄伴奏の名手として有名、偉大な唄い手達の伴奏の録音が残っています。


ノロについて、手元にある濱田滋郎さんの 『フラメンコの歴史』 には; 「−−−20世紀前半、まだおもに旧派ないし伝統派のテクニックによっていた奏者の中では、とび抜けたヴィルトゥオーソの一人であった。1927年頃からマドリードへ出てレガール(Regal)・レコードの専属伴奏者となり’50年頃までおびただしい数のSP盤を吹込んだ。 (以下略)」 と紹介されています。この時代ですから弦はナイロンではなくガット (羊腸線) 、その暖かい響きは勿論のこと、マノロのハッキリして歯切れが良く、ノリのよい伴奏が私は大好き;



Titulo: ¡Ay, mi Rocío!
伴奏: MANOLO DE BADAJOZ
唄:  Canalejas de Puerto Real


ノロ本人が弾いている動画は見たことがありませんが、偶然彼の息子 JUSTO DE BADAJOZ こと Justo Álvarez Fernández さん (1921年生、引退され年金暮らし) の動画を見つけました;


2 Justo de Badajoz discipulo de Ramón Montoya
ポルトガル人あるいはブラジル人が2001年9月5日、マドリードのフストさん自宅で撮影したもの。計11動画あるうちの2番目。この中で父マノロのこと、ラモン・モントジャのことなど話されています。


折角名前が出ましたから、マノロと同年代の巨人をふたり紹介;


まず大御所 Don Ramón Montoya (1880〜1949)。クラシックギターからも新しい技法を取り入れながらフラメンコの中に溶けあわせ、現代フラメンコギターのスタイルの礎を築き、かつソロ (唄や踊りを伴わない独奏) を確立した天才です;


Titulo: Don Antonio Chacón - Me Mandaste a Decir (唄伴奏)



Titulo: Soleares en Mi, por Ramón Montoya (ソロ)


最後に、同じマノロですが "Manolo de Huelva" こと Manuel Gómez Vélez (1892〜1976)。自分の芸を盗まれたくないため他の弾き手の前では弾きたがらず、商業ベースでの録音も殆ど残さなかったと云うエピソードを持つ 「幻の巨匠」 。変人ですが、上掲フストさんの動画中で紹介されている様に 「ドン・ラモンが他の弾き手とは別格として考えていた」 ほどの技量の持ち主であったことは間違いなさそう;



出典: 相当昔ダウンロードしたもので不明。


Download
Titulo: Canalejas de Puerto Real por Bulerias Santa Cruz.mp3
出典: 同上