遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

教会やシナゴーグって、犯罪者や 「テロリスト」 の社交場なの?

アメリカ国内には、昔からの情報操作による賜物だろうが、イスラム=テロリストの図式がしみ込んでいる様ですね。

  • http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091112-00000060-san-int
    基地銃乱射、容疑者が出入り 米国内モスク、集まる関心
    11月12日7時56分配信 産経新聞


     【ニューヨーク=松尾理也】米陸軍フォートフッド基地(テキサス州)での銃乱射事件で、容疑者がバージニア州のモスク(イスラム教礼拝所)に出入りしていたことが明らかになり、米国ではイスラム教が事件に果たした役割に関心が高まっている。モスクは、9月に発覚したニューヨークのテロ未遂事件でも重要な舞台として注目を浴びたイスラムへの偏見を戒める声がある一方、テロとの結びつきに対する根強い懸念も再び表面化している。
  • http://sankei.jp.msn.com/world/america/091111/amr0911111825009-c.htm
    乱射事件、イスラムが果たした役割は… テロに懸念、偏見戒める声も
    2009.11.11 18:24 msn産経ニュース


    −−− モスクは礼拝の場である一方、テロリストにとっては情報交換や恰好のリクルートの場でもある。今回、内通者の存在が判明したことは図らずも、当局がモスクに寄せる関心の高さをも浮き彫りにした。


     米メディアによると乱射事件のニダル・マリク・ハサン容疑者(39)は過去、9・11のハイジャック犯2人が出入りしていたことが確認されているバージニア州のモスクにたびたび立ち寄っていた。 (以下略)


モスクは、キリスト教徒にとっての教会、ユダヤ教徒にとってのシナゴーグに相当する神聖な祈りの場、と理解します。またイスラムの場合、六信五行 (信ずるべき6つの対象と日々実践すべき5つの行為、当記事末尾参照) の両方の厳格な実行が求められます。 ユダヤ教については不勉強なので除外しますが、キリスト教徒の場合信仰は当然あるのでしょうが、では必ず教会へ行くか? 毎週行く信者もいるだろうが、大半は月1回とか滅多に行かないとか、体で表すべき 「行為」 についてはいい加減ですね。別にどの宗教を批判するのでもなく、その様な違いがある、ということを忘れてはならない。


ではアメリカ国内のいたるところにモスクはあるか? ムスリムは同国内では少数派でしょうから、教会ほど沢山は無い筈です。加えて、日本人だってそうですが、同じ宗教あるいは出身地である程度固まって暮らしておられるだろうから、沢山の信者が同じモスクを頻繁に訪れる確率は高い筈です。それを無視して、モスクがテロリストのたまり場の様に看做すのは 「無知による短絡思想に縛られたアメリカらしい」 偏見ですし冒涜ですね。キリスト教徒の中にもユダヤ教徒の中にも仏教徒の中にもxx教徒の中にも残念ながら犯罪者は存在しますが、では彼らの行く教会・シナゴーグ・お寺・xxxはテロや犯罪者の巣窟ですか? (ナントカ真理教のサティアンはそうだったな)


またxxx容疑者やxxx支持者と接触があったとかxxxのシンパである、と云った報道が繰り返しなされています。これ、考えてみると、何の証拠も無い相当強引な推測によるものではありませんか? (外見からはまず判断出来ない) 凶悪犯罪者とたまたま学校や住んでいる団地や職場が同じであっただけで、「凶悪犯罪者と接触があった」 と言われることは正当ですか? 「xx様のご学友」 であればそれは名誉なことかも知れませんが。 このテの報道見ていると、明らかな世論誘導と判断せざるを得ない。ムスリムが対象の場合、疑わしきは全て超法規で裁いて構わないという風潮を助長しているだけ。アメリカのやることを批判する者は全て敵と看做す、と世界中に公言した子ブッシュの狂気復活ですね。


オバマの演説も、好意的に見れば立場上止むを得ずなのかも知れないが、子ブッシュ並みに低レベル;

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091112-00000067-san-int
怒りと悲しみ深く 米乱射追悼式
11月12日7時56分配信 産経新聞


大統領は「いかなる信仰も、人を殺すような卑劣な行為を正当化することはできない」と述べ、イスラム原理主義の影響を受けたとみられる銃撃犯、ニダル・マリキ・ハサン容疑者を厳しく非難した。


銃撃犯を非難・断罪することも、「いかなる信仰も、人を殺すような卑劣な行為を正当化することはできない」 ことも諸手をあげて賛成。でもそのコトバの意味をアメリカ合衆国大統領は理解しているのか? アメリカが国外ではるかに大規模に展開する民間人殺害だって 「正当化」 されませんよ。 「激しく非難」 されるべきなのは、それを止められないオバマ本人。マトモなアメリカ国民がうすうすながらでもそれを認識してくれていればまだ救われますが。この (日本語に翻訳された) 言い方では、イスラムは卑劣だと言っているに等しい。


最近の正確な統計は見たことがないが何年か前、アメリカでは年間1万1千人強が銃の犠牲になっている、と読んだ記憶があります。いわゆる銃乱射事件に関しては、過去にもっと死亡者の多かった事件 (例えば33名が犠牲となった バージニア工科大学銃乱射事件 (ウィキペディア) など) も少なくない筈ですが、何故今回は信仰を持ち出すのか??? 報道されている範囲では、その様な殺戮を命ずる http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%88%E3%83%AF:TITLE=ファトワー (ウィキペディア) は発行されていませんし、される訳もありません。アメリカじゃあるまいし。


これだけの犠牲者が出ましたからいかなる理由でも正当化はされませんが、今回の凶行は宗教的な背景によるものと云うより、鬱積した感情が爆発して起こったものではないか、と思われます。こんな問題を起こすために志願して入隊したとは思えない。どうせまともな調査も報告も報道も行われないでしょうが、問題の根を正しく把握しない限りまた起きますよ。


なお イスラム原理主義 (ウィキペディア) の部分はオバマの演説中にもあるのかメディアが勝手に付加したのから知りませんが、では自分達の 原理主義 (ウィキペディア) はどうなの? このコトバも単に、「イスラム教=殺しや暴力を正当化する邪教」 の歪んだ図式に乗っ取ったものとしか思えない。


宗教内の宗派やら何やらはよくわからないところがありますし、翻訳された日本語については独特の意味を持つ可能性がありますので、以下参考までウィキペディアから引用します;


結局悪循環に入っているとしか思えません。イスラムへの偏見が疎外感を産み、極少数 (一体何人ですか?) ではあるが今回の様な銃撃事件を引き起こす者が現れ、更に偏見が加速・強化されて報復が行われ、世界中のムスリムの反感を買い、アメリカ国内外でアメリカおよびアメリカ人を標的とする 「本物のテロリスト」 を産み、アメリカ国内での過剰反応を引き起こし、偏見が更に−−− 正に世界規模での陰湿なイジメですね。イジメられっ子がいつか反撃するのは当たり前ですよ。喧嘩レベルならまだしも殺し合いですから、真剣にどうやって止めるか考えないと。合衆国大統領たる Obama malo には出来そうにありませんけどね。



以前紹介したことのある、 『イスラム教の本』 (株式会社学習研究社 1995年12月20日発行 第一刷) より以下引用します;

<巻末特集 コーランクルアーン)の世界>より


日常の規定 (219ページ) から


−−− もっと具体的にいえば、 「六信五行」 を実践していくことである。六信五行とは、信じるものとして神・諸天使・諸啓典・預言者 (注:予言者ではない、神の言葉を預かる者)・来世・天命の6つの信 (イーマーン)、そして、実践するものとして信仰告白シャハーダ)・礼拝(サラート)・断食(サウム)・喜捨(ザカート)・巡礼(ハッジ)の5つの行 (イバーダート) である。つまり、心の中の信仰と具体的な信仰行為のどちらも欠けることなく、共存させることが本当の信仰なのである。


聖戦 (ジハード) (214〜218ページ) のうち218ページから


−−− 殺傷行為は、邪悪なものを消し去る最後の強硬手段である。その行為は最小限にとどめなければならず、敵が戦うのをやめたらそれ以上戦ってはならない。正義の戦いは、正義によって抑止されねばならないと 『コーラン』 はいうのである。

※ 聖戦については相当誤解されている様です。私がその意味を理解しているかと言えば答えは当然 No ですし、上に引用した部分だけでは輪郭さえわからない。しかし、このジハードと云うコトバだけをを引き合いに出して好戦的だと断ずるのは、欧米人あるいはイスラムに偏見を持つ非ムスリムのよくやる詭弁です。