遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

アブラのアラブを喰い物にし続ける勢力: 主に日本での翻訳報道から見た 『アラブの春』

日本の大手メディアは、主に米欧御用メディアの記事を翻訳して垂れ流しているだけ。翻訳の際ちょっと手を加えれば更に都合のよい味付けは簡単なので、オリジナルから更にエゲつなく変えられているとも言えそう。


エジプトの現在の騒乱の実態は、歯止めの無い上っ面だけの自由や、モノが溢れて皆がお金持ちになれる幻想を謳歌する、既に崩れつつある西側の体制だけが民主主義だと煽る 「リベラル派」 勢力が、西側およびマスコミの情報操作の助けを借りて引っかき回しているだけのハナシ。不正は報告されていない選挙で勝てなかった、と云うことは、彼らは多数派では有り得ません。ムバラクほどロコツではない親米欧のかいらいを据えるまで 「戦い」 続けたい、単なる困ったさん達。国民の多数意見を無視した 「民主化」 って何なの???


現体制への怒り渦巻く=ムバラク政権打倒デモ2年―エジプト
  時事通信 1月26日(土)0時26分配信

  イスラム原理主義組織ムスリム同胞団出身のモルシ大統領率いる現政権』 の記載は、時代錯誤も甚だしい。同胞団・ムルシ = 原理主義者、イスラムオウム真理教並みのテロ宗教、のお決まりのプロパガンダ。また、 『現体制への怒りが渦巻いている』 って、一体国民の何割が騒いでいると言いたいのか?


<アラブの春2年>急激イスラム化に危機感 エジプト活動家
  毎日新聞 1月14日(月)19時30分配信

   ひとつ上に紹介の記事では 『「ムバラク時代と何ら変わらない」と厳しい批判の声が聞かれた』 とありますよ。『急激イスラム』 と矛盾してませんか?


エジプト:「前政権より状況悪化」…作家のサーダウィ氏
  毎日新聞 2013年01月11日 18時11分(最終更新 01月11日 21時01分)

   イスラム圏では確かに虐げられていると言わざるを得ない女性であるがゆえの主張はあるにしろ、たかがもの書き。ペルーのバルガス・ジョサほど有名でも売れっ子でも無いでしょうが、彼同様の米欧信奉者。 『「投票はメディアの虚報などに影響された。さらに、植民地時代の影響もあって人々が十分な教育を受けていないため民主的な選択がされなかった」』 、なんて、国民が馬鹿だからまだ投票なんて無理と言うに等しい。今更 『エジプトの向かうべき道筋について、「(宗教独裁追放のため)ムバラク(前大統領)を追放した市民の力をもう一度結集するしかない」』 なんて、 「十分な教育を受けていない」 市民を再結集して何が出来るの? また、何をもってムルシ政権を 『宗教独裁』 と断じるのか? 「勘違いエリート気取りさん」 の典型ですが、こんな意見を紹介することでメディアとして何を主張したいのか??



ムバラクは同胞団を非合法化して抑え付けておりました。同胞団 = 過激派のイメージは、その頃のプロパガンダそのものでしょう。周辺の 「ふがいないアラブ」 諸国でも似た様な状況がありそう。その抑圧が取り除かれれば、イスラム注; 私は敢えて 「イスラム教」 と呼ばないことにしています。宗教であり、道徳であり、規範であり、教育であり −−− その意味が他宗教に比して圧倒的に広いので) に立脚する同胞団が支持を受けて大きな力を持つのは当然。宗教と政治は分離されるべきと言うなら、アメリカの様なキリスト教原理主義国はどうなのか? ひとを殺しておきながらしゃあしゃあと "God bless you. And may He forever bless these United States of America." を連発し、国内で流通する貨幣には "In God We Trust" と刻まれていますよね。無神論者は非国民?



<アラブの春2年>勢い失う民主化のうねり
  毎日新聞 1月14日(月)19時26分配信


結局この2年間の 『アラブの春』 は民主化などではなく、西側による内政干渉・政権転覆の隠れ蓑であったに過ぎない。従って勢いを失ったのは西側による違法行為であるから、事態は正常化しつつある、と考えるべきでしょうね。思慮の浅い西側の不手際の常ですが、干渉の結果、多分それをしなかった場合の何倍ものいのちが犠牲となり、各国内の状況は修復不能なほど悪化しました。アフガニスタンイラクリビアなどでのバリバリの戦争でも同じ失敗。それでも干渉し続けるのは、西側覇権国が馬鹿だからだけではなく、経済的なメリットがあるからでしょうね。


アラブの真の民主化は、それが必要なら必要なタイミングで、外国の干渉を排してアラブ自身が考えて行なわなければ実現できるワケがない。担がれた軽いパーの考える 『普遍的な正義』 だのプロセスなんてあり得ない。それが理解できないからアメリカは世界中で介入・失敗して犠牲者を増やし、憎悪の対象となるワケで。 "Why do they hate us ?" なんて本気で考えているなら、救いようの無いバカ。アメリカはじめ西側覇権国の犯罪行為に歯止めをかける仕組みが無いことが、現代世界の最大の問題とおもいますね。各々思惑はあるのだろうけれど、結果として辛うじて中露が歯止めをかけていることになりますか。



さて、周辺のふがいないアラブGCC諸国での動きは真のアラブの春かな?


<ペルシャ湾岸諸国>ネット上の言論統制を強化
  毎日新聞 1月14日(月)18時55分配信

  Gulf rulers take sharper aim at Web dissent
  Wednesday, Jan. 09, 2013, TheState.com


このオバQ連中はネットでの扇動やら人員動員の威力を知っていますからね。それが自分達に向き始めていますから戦々恐々でしょう。遅きに失した感がありますが。恐らく先輩アメリカにならい、国民監視・言論統制を強めた警察国家を目指すでしょう。 「国民主権に基づく民主主義」 が機能していれば、いずれも必ず倒れますが。

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