遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

中華人民共和国 (中国)  胡錦濤 国家主席 の国連演説紹介

国連演説紹介シリーズ? の多分最後として、中国 (中華人民共和国 (ウィキペディア)) の 胡錦濤 (ウィキペディア) 国家主席が9月23日国連総会で行った一般演説を紹介することにします;

http://mainichi.jp/select/world/news/20090925k0000m030082000c.html
中国主席:国連総会で初の一般演説 途上国の立場を強調
毎日新聞 2009年9月24日 21時19分(最終更新 9月24日 23時03分)


 【ニューヨーク浦松丈二】中国の胡錦濤国家主席が気候変動や核不拡散・核軍縮などニューヨークでの一連のサミットで途上国に軸足を置いた首脳外交を展開している。23日には中国の国家主席として初めて国連総会の一般演説を行い、途上国の立場を強調しながら先進国をけん制した。  (以下略)


先日記した通り、国連の改革 --- 特に常任理事国の拒否権の見直し --- が期待出来そうに無い現状では、アメリカによる国連の私物化・暴走を抑えられるのは名実共に中国だけだろう、と私は考えています。欧米とは異なる政治・経済形態の国ですし、どこぞの経済大国と違って確固たる外交政策に基づき、実績も上げていますのでね。その観点から国連での演説など聴いています;

General Debate of the 64th Session (2009)  hina H.E. Mr. Hu Jintao, President


Statement: PDF Chinese
Statement: PDF English


Video: Chinese (RealPlayer, 16 min)
Video: English (RealPlayer, 16 min)


演説全文は上掲PDFで確認出来ますが、人民日報 (経由 新華社) の要約記事は日本のメディアによる偏見に満ちた記事よりマトモでしょうから、以下紹介します;

胡錦濤主席、国連総会で一般討論演説
人民網日本株式会社事業案内 更新時間:15:38 Sep 24 2009


 胡錦濤国家主席は23日、第64回国連総会の一般討論演説に出席し、「困難に共に立ち向かい、未来を共に作り出す」と名付けた演説を行った。「新華網」が伝えた。


 胡錦濤主席は演説で、「中国の前途と運命は、世界の前途と運命との関係を日増しに強めている。中国は、平和発展の道を変わらずに進み、互恵と共益という開放戦略を変わらずに実行し、平和共存の5原則を土台としてあらゆる国と友好協力を発展させることを堅持していく。中国が発展すればするほど、世界への貢献は大きくなり、世界にもたらすチャンスも大きくなる。中国は過去も、現在も、将来も、世界平和を維持し共同発展を促進する積極的な勢力であり続ける」と語った。


 胡錦濤主席はさらに、「空前のチャンスと試練を迎える中、国際社会は、手を携えて共に進み、平和・発展・協力・共益・寛容という理念を持ち、恒久の平和と共同の繁栄という調和世界の建設を進め、人類の平和と発展と言う崇高な事業のために努力を続けていかなければならない」と指摘した。胡錦濤主席は、調和世界の建設に必要な態度として次の4つを挙げた。


 第一に、さらに広い視野で安全保障問題をとらえ、世界の平和と安定を維持する。あらゆる形式のテロリズム・分裂主義・過激主義への反対を堅持し、国際安全保障の協力を不断に深める。


 第二に、さらに全面的な観点で発展をとらえ、共同の繁栄を促進する。先進国は発展途上国に対し、市場開放や関税減免などの措置を取り、発展支援や債務軽減などの約束を実現するべきだ。発展途上国は、自主発展に立脚し、発展実現と貧困根絶に益する発展モデルを模索しなければならない。


 第三に、さらに開放的な態度で協力を展開し、相互利益とウィンウィンの関係を進める。


 第四に、さらに寛容な態度で互いを認め、調和的な共存を実現する。各国の文化的伝統や社会制度、価値観などの差異を認め、各国が発展の道を自ら選ぶ権利を尊重しなければならない。異なる文明と発展モデルが競争の中で長所を伸ばし短所をなくすことができるようにし、共通点を求めながらも差異を残すという態度で共同発展を進めていく必要がある。(編集MA)


加えてアフリカに関しての記事も紹介しておきます。引用部分は外交辞令かも知れませんが、自国の国益しか顧みず、そのためには現地のひとのいのちやら人権など踏み躙ることもいとわない欧米からの援助に関してこの様なコメントが述べられたことは多分無いでしょう;

http://j.people.com.cn/94474/6775954.html
中国のアフリカ政策 海外から賞賛の声
人民網日本株式会社事業案内 更新時間:19:32 Oct 01 2009


 「中国はこれまで、我が国に対する経済的・技術的サポートにおいても、国際会議における付き合いの中でも、我々の政策を変えようとしたり、我々の国家主権や尊厳を損なうような行動をとったことは一度もなかった


先日も紹介した田中宇さん記事から以下再度引用しますが、実は中国の活動は、散々アメリカに荒らされた南米でも展開されております;

  • http://tanakanews.com/090707africa.htm
    アフリカの統合
    2009年7月7日  田中 宇


    −−−米国が911事件後に「テロ戦争」から「世界強制民主化」へと走り、独裁政権が多いアフリカ諸国に対しても、人権や民主化などの面で批判や脅しを強め、アフリカを支配してきた欧州諸国も、米国との付き合い上、アフリカ諸国の人権侵害や独裁を問題にせざるを得ず、アフリカ諸国は欧米を敬遠するようになった。米欧が支配するIMF世界銀行は、人権や民主化などの面での改善を、アフリカへの経済援助の条件とする姿勢を強めた。対照的に中国は、人権や民主化について条件をつけずにアフリカへの経済援助を続けたので、アフリカは欧米からの批判を無視して中国と密接な関係を持つ傾向を強めた。 (以下略)
  • http://tanakanews.com/f0306LaAm.htm
    南米のアメリカ離れ
    2005年3月6日  田中 宇


    −−−中国は、ベネズエラだけでなくブラジルなど他の中南米諸国にも外交的に接近しており、アメリカが嫌われている分、中南米に接近を図っている。中国は、中南米に接近することで、エネルギーや鉱物、食糧などを確保しようとしている。(関連記事)


     米軍のイラク侵攻以来、世界はアメリカによる単独覇権から、アメリカ以外にEU、ロシア、中国などの地域覇権国が立ち並ぶ多極化の状況を強めているが、ブラジルとベネズエラを中心とする中南米連合は、EU、ロシアとも連携を強め、世界の「非米同盟」の一員としての地位を築きつつある。 (以下略)


アメリカべったりの日本が完全に取り残されていることにお気付きですか? この遅れを挽回するのは並大抵のことでは出来ません。



最後に、今まで(私は)馴染みの薄い国ですし、その体制が恐らく欧米べったりの日本では捻じ曲げられて伝えられていると思われる中国についての認識を、再確認および備忘の意味で列挙します。なお引用・リンク先は特に断わり無き限りウィキペディア

  • 社会主義 とは、生産手段の社会的共有・管理などによって、平等な社会を実現しようとする思想・運動の総称である。一方 共産主義 とは、財産の共有を目指す思想である。共産主義思想の一つの潮流であるマルクス主義では、生産手段の私的所有を社会的所有に変えることを目指す。また、この思想に基づく体制も共産主義と呼ばれる。共産主義社会主義の一つの潮流であるが、ソ連や東欧の共産党政権下においては共産主義の低い段階を指す語としても社会主義が使われた。


一方、我々にとって馴染みの深いコトバの定義は以下の通り (順不同);

  • 自由主義 とは、とは政治思想の一つ。リベラル・リベラリズムとも言う。米国では建国以来の伝統的保守自由主義に対する民主党・ニューディーラーの思想を指して「リベラル」と呼称することが多いため、議会や政府の干渉を拒否する伝統的な自由主義思想に対してはリバタリアニズム(libertarianism)を用いることが多い。
  • 民主主義 とは、または民主政(democracy)とは諸個人の意思の集合をもって物事を決める意思決定の原則・政治体制をいう。 (中略)


    民主主義は個人の人権である自由・平等・参政権などを重視し、多数決を原則として意思を決定することにより、人民による支配を実現する政治思想である。単純な多数決と混同されることが多いが、単純な多数決では、単に多数であることをもって、その結論が正当であるとの根拠とするものであるが、民主主義として把握する場合には、最終的には多数決によるとしても、その意思決定の前提として多様な意見を持つもの同士の互譲をも含む理性的対話が存在することをもって正当とする点で異なると主張される。 (先日紹介の通り)
  • 自由民主主義 とは、、国民が選出した政治家の権力を法の支配によって制限し、権利の保護と個人及び少数者の自由を強調して、多数者の専制を防ごうとする議会制民主主義の形態。「Liberal democracy」の邦訳としては自由民主制と呼ぶ方が正確であるが、民主主義(democracy)や社会民主主義(social democracy)と同様に自由民主主義と言う呼称の方が一般的である。 (なおどこぞの国の第一野党の政党名と直接の関係は無い、と考えるべき。)
  • ファシズム とは、狭義にはイタリアの政治家ムッソリーニが自身の思想に付した名称、および国家ファシスト党(以下ファシスト党)による1922年から1942年までの政治体制をさす。


    一般名詞としては、資本主義が脆弱な、ないし危機的な状況にある中にあって、共産主義を排除するのみならず、一切の自由主義、民主主義、平和主義を排撃し、内にあっては極端な国粋主義による暴力的独裁、外にあっては公然たる侵略主義をとる体制を言う。
  • 全体主義 とは、民衆一人一人の自由、権利を無視しても国家の利益、全体の利益が優先される政治原理、およびその原理からなされる主張のことである。歴史的には近現代において国カを全て総動員する戦間期にこうした主張があらわれたとされるが、今日でも、個人の自由や利益を制約する傾向が顕著な国家について「全体主義国家」あるいは「全体主義体制」の呼称があたえられている。個人主義や民主主義の対語として良く使われる。
  • 間接民主制 とは、、民主主義における政治制度の一つ。代表民主制、代議制とも言う。議会制民主主義と同義である。


    選挙等のある一定の方法によって民意の代表者を選出し、自らの権力の行使をその代表者に信託することで、間接的に政治に参加しその意思を反映させる政治制度をさす。対になる概念として直接民主制がある。現在ほとんどの国が「間接民主制」である。
  • 軍国主義 とは、とは軍事力を国家戦略的に重視し、政治体制・戦略・財政・経済体制・社会構造などの総合的な国力を軍事力の増強のため集中的に投入する国家の体制や思想を意味する。軍事主義とも呼ばれる。タカ派で軍事力増強に向けて国内のあらゆる領域を統制・管理しようとする傾向があり、非民主的な独裁政治となる場合がある。 通俗的に戦争を支持する人や国の考え、傾向を大まかに指すこともあり、平和主義、民主主義の対義語として用いられる。しかし平和主義と同じように非常に包括的な概念である側面を持っており、絶対的な定義は難しい。
  • ポピュリズム とは、政治学概念の1つであり、政治過程において有権者の政治的選好が直接的に反映されるべきだとする志向を指す。エリート主義(elitism)に対する対概念である。代表的事象としては、19世紀末〜20世紀初頭のアメリカにおける革新主義運動が挙げられる。なお、この学術用語が転じて、マスコミにおいては「衆愚政治」という意味で用いられることもあるが、その場合の「ポピュリズム」の定義は曖昧であり、単に支持率の高い政権を「ポピュリズム」と表現することもある。
  • 帝国主義 とは、一つの国家が、自国の民族主義、文化、宗教、経済体系などを拡大するため、新たな領土や天然資源などを獲得するために、軍事力を背景に他の民族や国家を積極的に侵略し、さらにそれを推し進めようとする思想や政策。


こうして主なものだけでも並べてみると、意外に日常何気無く使っているコトバを実は良く知らないものですね。