ホモ・サピエンス以外の動物：　野生動物、家畜、『ペット』

どうにも我慢ならない状況があるので吐き出しておきます。国土が狭く、山を切り開いて居住地域を拡大させ続ける日本では、野生動物のテリトリに隣接して暮らす人達の身を危険に晒したり経済的な損害を負担させる訳には行きませんから、大型の、あるいは「猛獣」に分類される野生動物との共存・共生は無理ではないか？

やれ自然を守れ、野生動物の権利を尊重しろと言う時に我々のアタマの中には、そこに、あるいはそこに隣接して暮らす人達のことはありませんから。アマゾンの熱帯雨林しかり、アフリカの自然しかり。破壊されたどこぞの大仏の様な文化遺産も原発も同じ様なもの。

それならいっそのこと、柵なり何なりで閉鎖された区域を作ってその中で繁殖をコントロールしながら（＝不妊手術やら去勢などで）生かす、動物園スタイルが現実的ではないか？と考える様になりました。運営のために有料で一般公開するなら、北海道登別のクマ牧場同様、その中で見世物になるのはオリに入ったホモ・サピエンスのスタイル。可哀そうだし身勝手は承知ですが、射殺したり絶滅させるよりはマシかなぁ。本当は、我々が立ち入ることの無い自然の中で生きていて欲しいのですけれど、日本では贅沢な願望かも知れません。

幾つかの記事を順不同に紹介。私は道産子ゆえ、そっち方面へ偏るのはご勘弁；

【エゾヒグマ】

　このところ立て続けに被害が報告されています。本州のツキノワグマなど比較にならない、国内最大級の「猛獣」。私が子どもの頃住んでいた、かつ私の原風景でもある、現在の札幌市南区定山渓の人里にもたまにクマが出て来て射殺されていましたね。また、山の中でヒグマに襲われ殺された「内地 *1」の学生さんグループ（ワンゲル？）のハナシなども聞かされましたっけ。図体に似合わず走るのも早ければ、木登りも上手ってことも。木から逆さに吊り下げられた大きなヒグマの射殺体の横でにこやかに？記念撮影した写真も残っています。確かその場で解体して肉を配った様でした。（臭いので犬のご馳走として、でしょうね。）

　　　● ヒグマ（羆、樋熊）
　　　● エゾヒグマ
　　　● 三毛別羆事件（さんけべつひぐまじけん）

　◆止まらぬクマ出没、住宅街で発砲できず困った
　　　読売新聞 10月29日(土)9時59分配信

　　　※ たとえなりはデカくとも人間を怖がる筈のヒグマがまちなかに出て来ると云うことは、冬眠を控えてそのテリトリによほど食べ物が無いからでしょう。あるいはマナーと云うより常識を解さない大半のハイカー？が捨てる食べ残しなどのゴミのせい？「山に追い返す」なんて発想そのものに無理がありますね。誰が冬眠を控え、食べ物の無い場所にすきっ腹を抱えて「戻り」ますか？その様な短絡的な発想から出て来る解決策は、全頭射殺しかありませんよ。人間優先ですから仕方がありませんが、ヒグマを絶滅させるつもりか？

　◆ヒグマ避けようとして車転落、１人死亡１人けが
　　　読売新聞 10月29日(土)20時53分配信

　◆車にはねられたヒグマ、海へ入り射殺される
　　　読売新聞 10月28日(金)15時45分配信

　◆札幌の民家付近にヒグマ、市内で目撃昨年の５倍
　　　読売新聞 10月27日(木)20時50分配信

　◆＜ヒグマ＞警戒続く　校外学習など、延期・中止−−札幌
　　　毎日新聞 10月12日(水)14時51分配信

　◆ゴルフ場にヒグマ、３時間居座り射殺…札幌
　　　読売新聞 7月22日(金)18時51分配信

　　　※ 馬鹿言っちゃあいけない、本来のクマのテリトリに「居座って」いるのは人間の方。ホモ・サピエンス最優先の世界だから仕方がないけど。クソゴルファーなんて、喰えたシロモノではないのに。

　◆12月に「全国クマサミット」＝被害防止、共生の道探る―岡山県美作市
　　　時事通信 10月27日(木)2時31分配信

　　　※ ツキノワグマでも十分以上に危険でしょうが、熊の大きさと住環境を十分考慮してね。まちなかに気軽に出て来る様では、我々の世界は成り立ちませんから。

【エゾシカ】

　まだ小さいクマの子っこもめんこいけれど、鹿の赤ちゃん；バンビも可愛いですよ。私が産まれた頃両親がエゾシカを緊急避難的に飼っていた時期があったそうです。ただし『ペット』として飼える大きさの動物ではありませんから、大きくなってからは札幌市内の●山動物園に引き取ってもらったとのこと。確かに親父が柵に近づいて口笛を吹くとすっ飛んでくる個体がおりましたっけ。

　　　● エゾシカ

　◆公道をトラックで移動、餌場のエゾシカ撃つ作戦
　　　読売新聞 10月30日(日)10時6分配信

　　　※ 『道路沿いに餌場を設けてシカをおびき寄せ、ハンターがトラックで移動しながら駆除する「流し猟式シャープシューティング（ＳＳ）』なんて流鏑馬じゃあるまいし、これ、動物愛護団体に知れると大騒ぎになるのでは？エゾシカは人間に危害を加えることはあまり無くても生態系や自然環境を荒らしているのは確かなので、人間の勝手ではあるが「駆除」する必要はあるのでしょうが−−− 増えるにまかせて射殺、の繰り返しでは芸が無さ過ぎる。オオカミの再導入なんて馬鹿なアイデアもある（あった？）様ですが、また失敗するのは火を見るより明らか。それに、エゾシカとオオカミ、どちらが危険ですか？生態系に手を加えて連鎖ピラミッドを維持するなんて芸当が出来るワケも無いし。思い上がりも甚だしい。

【家畜】

　先日投稿のお題記事で紹介をためらい別記事としたのがこれ。原発は別として、どうにも持って行き場のない怒りと情けなさで珍しく数日間寝られなくなった記事です；

　◆ウジだらけの死骸食べる豚…　野口健が見た20キロ圏内家畜の惨状
　　　2011/8/ 1 19:47、J-CASTニュース

　　　◆福島第一原発、２０キロ圏内の世界
　　　　　2011年7月29日　野口健 @ 新・野口健公式WEBサイト

　　　　　※ ニュース記事は大丈夫ですが、気の弱い方は野口さんサイトの写真を見る時は要注意。幾ら目をそらそうが現実なのですが。

　◆＜福島警戒地域＞野良化した牛や豚　農家など「研究用」模索
　　　毎日新聞 10月25日(火)11時9分配信

　先日、某機関で待ち時間の間に読んだ一次産業紹介小冊子中、ある若い養鶏業者さんのお話しが目を引きました。記憶力が悪いので正確には覚えていませんが、ビジネスで扱う「商品」ではありますが手塩にかけて育てた鶏を屠殺する時には、絶対に目を合わせない様にしていらっしゃるとのこと。家畜を「飼う」人達にとってはたとえ商品であっても家族同然でしょう、私は大いに共感しましたね。ナントカ病でｘｘ万羽を処分して焼却、なんて不良在庫の廃却の様にしか響きませんが、要は本来の目的とな全く異なるホモ･サピエンスの都合で、殺して焼いて埋めると云うこと。育てた方はたまらない気持ちでしょう。

【ペット（のなれの果て）】

　◆＜野良猫＞町内に１００匹超、ふん尿など被害ひどく　捕獲計画も全国から抗議殺到
　　　毎日新聞 10月15日(土)17時59分配信

　　　※ 記事そのものは例によってリンク切れなので、以下サイト参照；

　　　◆三重県亀山市みどり町自治会による猫一斉捕獲について地元警察に話をきいてみました
　　　　　2011.10.11 14:44:02 @ ガジェット通信

　　　◆緊急SOS!! ☆猫一斉捕獲は中止されましたので、抗議中止をお願いいたします。
　　　　　 ~~三重県亀山市みどり町「猫一斉捕獲」に抗議をお願いします~~
　　　　　2011-10-10(16:48) @ 地域猫応援団　Cat paw club

　　　◆ブログ「女子力UP会」からの転載
　　　　　2011/10/08 @ 野良猫たちへの祈り - 楽天ブログ（Blog）

　一連の記事のおおもとのブログ記事は既に削除された模様。野良猫は野生の猫とは異なる以上、元々飼い主がいた筈です。逃げてしまったのか、『ペット』であるがゆえに捨てられたのかはわかりませんが、「飼い主」の責任が一番大きい。従って野良猫も被害者？です。私は大家さんの猫と同居した経験があるだけなので、猫は犬の様に拘束せず自由に出歩かせることが一般的なのかはよく知りませんが、もしそうだとするなら、そこに問題がありそう。同じいのちである以上、捕獲して薬殺と云う訳には行きませんが、猫の被害に遭って困っている人も多い事は忘れてはならないでしょう。単に猫可愛がりでは双方にとって不幸が拡大するばかり、と思いますが。

　もうずいぶん昔のことになりますか、確かどこぞのクソ住職が「飼って」いたトラだかライオンが逃げ出して大騒ぎになったこともありましたね。責任も持ち切れないくせに、迷惑この上ありません。

　◆動物愛護法改正めぐり、意見１０万件超が殺到
　　　読売新聞 10月8日(土)3時6分配信

　　　※ この記事もリンク切れですが、以下サイト参照；

　　　◆署名…動物愛護法改正めぐり、意見１０万件超が殺到
　　　　　2011年10月24日 @ 動物は大切な存在

　　　　　−−−5年前の動物愛護法改正のパブコメでは、動物を扱う業者側の意見が9700件もあって、動物を守りたい側は200件と少しだったそうです。その結果、充分な法改正が出来なかったそうです。　−−−　今回は、動物愛護法改正めぐり、意見10万件超が殺到し国が動かざるを得ない状況だそうです。　（以下略、引用終わり）

　「動物愛護法」は「ペット」だけを想定したものではありませんが、ウィキペディアから一部引用しますと；

　−−−動物の虐待等の防止について定めた法律である。1999年（平成11年）12月に26年ぶりに改正し、2005年（平成17年）6月にも改正[注釈 1]し、5年を目安に検討することを定める（平成17年法律第68号附則9条）。 / 目的は、動物虐待等の禁止により「生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資する」こと（動物愛護）、動物の管理指針を定め「動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止する」こと（動物管理）である。

　そもそも生き物を「扱う」資格など無い業者が相当数いる様ですが、そのクソったれどもをのさばらせているのは、安易な『ペット』ブームでしょう。往年の名犬？『アイボ』ならば、高いけれど気に入らなくなったり動かなくなれば不燃ゴミで処分可ですが、いのちである以上、人間を含めた通常の動物はそうは行かない。その意味で責任を持ち切れるかは何より大事だし、更に上掲愛護法も想定する、他人に迷惑をかけないことも劣らず重要。家族が一人増えるのと大差無いのです。有名人が飼っているから？ステータスシンボル？アホか。

　蛇足ながら参考まで、犬好きなので、ある犬種のことを紹介；最近ペットショップでジャック・ラッセル・テリアを良く見かけます。この犬種の名は聞き慣れないかも知れませんが、音楽レコードやら音響機器などで、次の絵を見たことがありませんか？

　　　
　　"His master's voice" ラベル右端に写っている犬

　この絵のモデルとなったニッパー (犬) がジャック・ラッセル・テリアです。実はこの犬種、日本でも放映されていましたアメリカのコメディーそりゃないぜ!? フレイジャーでは主役を食ってしまう程の人気者（右写真参照、出典は Frasier - Wikipedia）でしたが、確かイギリスで、「この活発な犬を室内で飼ったり演技をさせるのは虐待に当たる」と云う様な相当大きなクレームが付いたのを覚えています。どの様に決着したかは定かではありませんが、これは「愛護」の考え方のひとつ。可愛いだけで「飼う」のはお互い不幸。前以て調べられることもあります。更に昔日本でも、学ランを着せられたネコを使った一連の企画「なめんなよ」もありましたが、これにもクレームが付きましたね。

　◆被災地のペットレスキュー　２００匹以上保護、多くは里親へ
　　　産経新聞 10月3日(月)7時55分配信

　　　※ これは特殊なケースですが、災害対策のひとつとして考えておかなければなりません。

どの動物のケースも、ホモ・サピエンスの身勝手の犠牲となっていますね。その意味では、以前紹介した動物学者・写真家でもあるクリス・パッカム氏の言葉 " (Asked which animal he would not mind becoming extinct, he replied:) Human beings. No question. That's the only one." に賛同せざるを得ません。勿論、ホモ・サピエンス最優先が前提で成り立つこの世界ですからそうも行きませんが、それを認識することは意義のあることと思います。次善の策を真剣に考える時でしょう。

短く済ますつもりが、やはり長くなってしまいました。以下、参考記事。リンク切れが多いので、題名だけ見て興味があれば題名で代替／引用記事検索可；

◆野生動物への影響把握困難　解禁目前　狩猟者は困惑
　　産経新聞 10月30日(日)7時55分配信

◆猛獣５６頭逃走パニック…飼い主オリ開け自殺？
　　読売新聞 10月20日(木)11時27分配信

◆台風で迷子の子ザル、犬の背でスヤスヤ
　　読売新聞 9月24日(土)9時11分配信

◆再送：ウサギが火事から飼い主救う、米アラスカ州南東部で
　　ロイター 9月20日(火)16時49分配信

◆カンボジアの1歳半男児が牛から授乳、母親出稼ぎで
　　ロイター 9月12日(月)13時11分配信

　　※ ローマの建設者ロームルスとレムスの現代版？

◆人と動物の交雑種、いわゆる「獣人」が研究施設で極秘裏に生み出されていたことが明らかに
　　2011年07月26日12時10分、提供：GIGAZINE

　　◆150 human animal hybrids grown in UK labs: Embryos have been produced secretively for the past three years
　　Last updated at 8:19 AM on 25th July 2011, Mail Online

　　※ 人権および動物愛護大国？イギリスでのおハナシ。おぞましいと云うか、無軌道と云うか。一体何のために？

*1:今でも私の母親などと同年代の方々はこのコトバを使います。北海道以外、特に本州を指します。じゃあ、北海道は「外地」か？と思ってしまいますが。沖縄では「本土」って云うのかしら？