遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

児童虐待 と 民法改正: 速報

当ブログのメインテーマとも間接的に関係しますので採り上げます;



法務省:民法等の一部を改正する法律案


児童虐待防止 改正民法が成立
  2011年5月27日 12時14分 NHKニュース


  −−−この改正民法は27日の参議院本会議で採決が行われ、全会一致で可決・成立しました。これを受けて、法務省は、この改正法を来年 (引用者注:2012年、平成24年) の4月1日に施行できるよう、政令を定めたいとしています。 (記事終わり、引用終わり)


親権停止:「もっと前からあれば」 施設関係者「前進」
  毎日新聞 2011年5月27日 11時48分(最終更新 5月27日 12時09分)


  −−−制度の見直しは今後も必要な一方、より本質的には、親権停止の間に親にカウンセリングを受けさせるなどして虐待を改めてもらい、改善すれば親権を回復させ、親子の「やり直し」を目指す活用が期待される。それには「親子を支援できる力量をもたないと制度を生かせない」(中部地方児童養護施設長)。現場は大きな課題を負った。 (以下略、引用終わり)


   大きな前進であることは間違いありませんが、法の趣旨を仕組みに落とし込めるか、運用し切れるかは確かに大きな課題。またこの種の大きな法改正に当たっては、当初想定もしていなかった問題発生やら適用可否の判断がつかないケースなど持ち込まれることもあるでしょう。加えて、親権はく奪ではなく停止ですから回復が前提と思いますが、それが子の福祉の観点から必ずしも望ましいとは限らないこともありそう。判例の積み重ねが必要なのでしょう。




以下、児童虐待防止の観点だけから参考となりそうなサイトを紹介しておきます;


児童虐待の防止等に関する法律 - Wikipedia


児童虐待の防止等に関する法律 (全文)


厚生労働省:児童虐待の防止等に関する法律〔法律・施行令・規則〕、児童福祉法〔法律(抄)・施行規則(抄)〕


児童虐待 神谷、堀(静岡大学)



 身体的虐待を理由とする親権喪失宣告 : 児童相談所長の申立により認容された事例の考察(2) / 大阪府立大学 学術情報リポジトリ


 参考資料5 親権喪失宣告事案
     法務省:法制審議会児童虐待防止関連親権制度部会第2回会議(平成22年4月23日開催) からのリンク


 【児童虐待】 判例 / GAL〜gender and law〜




−−−対象が赤ちゃんに限られますが、親権を放棄したいと云う逆のケースもあります。経済的・社会的? な事情により一時的に停止したい、と云うこともあるだろうし、完全に放棄したい、と云うこともあるでしょう。 赤ちゃんポスト は駆け込み寺と云う側面があると思いますが、子の福祉からはどう考えるべきなのか?


 赤ちゃんポスト、4年目は18人=「生活困窮」「未婚」が最多―熊本市
    時事通信 5月25日(水)17時27分配信


  −−−病院が聞き取りした結果、利用の理由(複数回答)は、「生活困窮」と「未婚」が各7人で、「パートナーの問題」が5人。「不倫」「世間体・戸籍」「養育拒否」「親の反対」などもあった。 (以下略、引用終わり)

こうのとりのゆりかご|慈恵病院


  1. “こうのとりのゆりかご”設立にあたって より;


  −−−捨てるという事は子供の命をなくす事につながりかねません。しかし安全なところに預けるという行為はわが子を助けたいという母親の切なる気持ちがそこにはあるのではないでしょうか。その事は将来その子が自分の親が養親であるという事を知り、悩むことがあればその時、「あなたのお母さんは、あなたの命を助けてもらいたいという深い愛情の元に、私達に命を託されたのです。決してあなたを粗末にした訳ではありません。そして、縁があって今のご両親に育てられたのです。」といってあげたいのです。 (以下略、引用終わり)


当事者以外が事情を解さずに安易に批判することは厳に戒めるべきですが、 「養育拒否」 だけが親権放棄、 「パートナー (同性として情けないが大半はオトコですね) の問題」 が幼児虐待の可能性であるなら今回の法改正で救える可能性があるし、 「生活困窮」 なら生活保護など既存の仕組みで救えるでしょうが、それ以外は無知による当事者の身勝手・社会の偏見の犠牲なのかなぁと云う気がします。でも、虐待したりカネのために売り飛ばしたりするよりはるかにマシではありませんかね? 昔から、日本に限らず、赤ちゃんをお寺や教会の入り口に置いて立ち去るケースは少なくないと認識します。上掲設立趣旨にもある様に、愛情あっての止むに止まれぬ行為なのでしょう。その事情さえ取り除ければ親権を停止したりはく奪する必要はなさそう。


生まれたいのちを大切にする、と云う観点から考えると、山岡朋子さん (横山朋子さん名) 翻訳の 『ルス、闇を照らす者』 に描かれた軍政による赤ちゃん奪取に関しても別の観方が出て来ます。悩ましいところ。