遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

2011年東北地方太平洋沖地震 その62: クルマの功罪 −−− 天災、人災

長年関わって来たせいか、311本震発生以来クルマのことが目に・鼻につきます。移動と云う人間の機能を拡張する便利な道具である反面、使い方によっては社会的には害悪ももたらす、厄介な? 存在でもある。 「功罪」 とは云っても、 「功」 は良く知られているでしょうから、以下 「罪」 に焦点を当てることになりますか;

つくばの事故 母親ら顔面蒼白 児童、泣いて立てず 茨城
  産経新聞 4月23日(土)7時56分配信


   この事故での負傷は軽微であった様ですが−−−


6人死亡事故、「前夜に薬飲み忘れた」
  TBS系(JNN) 4月23日(土)18時24分配信


   この事故はクレーン車によるものですが、クルマであってもコトの本質は変わりません。結果として6人の児童が犠牲になりましたが、運転手が病気を抱えていたなら (一部) 免責になる可能性大。自賠責および加入していたなら任意保険・賠償責任保険などの仕組みなどを通じてご遺族にそれなりの補償はなされるでしょうが、結局誰も責任を取らないでしょう。犠牲となられた児童の人権はどこへやら −−− ご家族の悲しみや苦しみ、悔しさはいかほどか。もし自分の子が、と考えればわかること。

まず、震災に限らず一般的なことから; クルマの運転者のうち何人が、いつ自分が人身事故加害者になってもおかしくはないことを認識しているか。クルマは移動手段だけではなく、所有すること自体がステータスであったり楽しみであったりします。しかし自動車の意味は、分でかす、時速40キロの場合1秒に約11メートルハンドルを切った方向へ移動しますし、ブレーキを踏んでから実際に効き始めるまでの空走時間・距離が加わり、更に路面の状態によっては制動距離が延びますから、ほんの一瞬のよそ見や居眠りでも相当距離を移動します。人間が動かす以上、四六時中神経を集中させるのは不可能。有名な アシモフロボット工学三原則 のひとつに、 『人間への安全性』 と云うのがあります。クルマはロボットではありませんが、クルマは人間の安全を脅かしますからまだまだ不完全な機械。ルール無視の横断者も後を絶ちませんから、ある意味事故は不可避と言えます。


事故が不可避であるならば、クルマの走る道で最終的に歩行者を守る必要がある。強度に限界はありますが、それがガードレール・ガードロープなどの設備ですね。日本の道路の造りはクルマ偏重、通学路でさえ車道と歩道の区別が無いところが大半では? 過去に書いた様に、私はクルマの運転者の良識だのルール遵守だの技術を全く信用しておりませんから、まちあるきの際、車道と歩道の区別のある幹線道路あるいはそれに準じた道を歩くことにしています。青信号でも、早くどけとばかりに突っ込んで来る右左折車も少なくはないのでクルマの停止を確認してから横断歩道を渡りますし。見ていると、ケータイ画面を注視しながら運転している馬鹿も多いですからね。そこまで行かなくとも、運転中に床に落としたものを拾うため・助手席に手を伸ばすなどして、ほんの一瞬道路から目を離したたはずみでハンドルを回してしまって・ブレーキ踏み遅れて物損事故を起こすケースも少なくは無い。


おまけに、更に厄介なのがカーナビ。以前であったら地元住民しか運転しない狭ぁ〜い生活道路? にもクルマがどんどん入って来ます。当然カーナビ画面に気を取られますから、その分路上への注意はそがれますね。(蛇足かつ私の記憶違いかも知れませんが、以前、生活道路へのクルマの進入防止のため、ある基準以下の狭い道路はナビ画面上に表示しない、って自主規制があったハズ。経済効率の観点からでしょう、いつの間にか無くなった様ですが。)


歩行者 (以前も書いた通り、クルマを離れた運転者も歩行者です) を、特に子どもを本当に守りたいなら、車道と歩道を完全にガードレールなどで区別すべき。路上の線やら少しの段差など、屁の突っ張りにもなりゃぁしません。とは云っても全ての道路で今更、と経済効率も考えたいのであれば、通学時間帯に通学路 (実際には学校周辺何キロ全体) を、保護者のクルマも当然含め全面車両進入禁止にするしかない。子どもの誘拐防止にもなるでしょう。それも出来ないのであれば、この様な悲惨な事故を社会的コストとして受容するしかないでしょう。カネ > いのちですが。これは完全な人災です。


更に蛇足; クルマの任意保険には、事故対応に当たって保険会社のエキスパートや弁護士に全てお任せの 「示談代行サービス」 があります。勿論保険会社から、お詫び・お見舞いなどはそれとは別に行う様指示してはいますが、強制力はありません。この仕組みは一見お客様に対する当然のサービスの様に理解されていますが、とんでもない。物損事故ならまだしも、上掲の様な人身事故の場合、加害者にはエキスパートが付き、知識や経験に乏しく、苦痛や悲嘆にくれる被害者あるいはご家族・ご遺族は丸裸の状態で「交渉」 が行われます。これ、不公平と思いませんか? その様なサービスを加害者 (保険契約者・運転者・運行責任者など) に対して与えるなら、被害者にも弁護士を付ける費用まで保証しない限り、無責任な運転は野放しだし被害者は何重にも被害を受け続けます。そりゃぁそうでしょう、万が一 「事故」 っても、嫌な部分は他人任せに出来るのですから。これでいいのでしょうか???



で、次に震災時 (地震発生〜避難時、復興時) のクルマのこと。地震は天災ですが、それをきっかけとする震災には人災も含まれます;




地震発生〜避難時】


  2011-03-12 記事


 地震発生時のクルマ使用に特化した対応について、 道路交通法 には特段の定めはありません。参考まで先日紹介の横浜市消防局、神奈川県警および警視庁 (≒東京都警) の当該サイトを紹介しておきます;


  2011-04-16 記事 中の 『地震が起きたら (横浜市消防局)』


 神奈川県警 - 「大地震発生時のドライバーの心得」 / 大地震が発生したら


 ドライバーの心得は / 地震のときはこうしよう :警視庁


 神奈川県警・警視庁とも 『家族との連絡や避難などのために車両を使用しない。』 と明記しています。 (勿論、何らかのハンデをお持ちの方は別ですよ。) 恐らく今回の地震では両都県の大半のドライバーはこれを守らなかったでしょうが、実際に家屋・道路の損壊やら火災・爆発など発生した場合、緊急通行車両が渋滞に巻き込まれて消火やら救命活動が出来ず、被害が拡大しかねない。この部分は人災。被災地では実際にこれが起きた筈。クルマが必須とは云え道路が渋滞すれば結果は同じですから、クルマに頼り切らない仕組みなりライフスタイルを創らないと。


  2011-04-10 記事 中の 『避難渋滞、津波被害を拡大 促しても車降りる人少数』




【復興時】

 【東日本大地震】石油元売り被災地に優先的に供給
   レスポンス 3月13日(日)12時35分配信


  2011-03-17 記事 中の 『ルート途絶で集積所滞留…避難所に届かない物資』


 東日本大震災:輸送車両に緊急通行証の交付開始/神奈川県警
   カナロコ 3月14日(月)1時30分配信


 エネルギー不足はまだまだ続く!?クルマ政策にも大胆な改革を
   週プレNEWS 4月16日(土)16時41分配信


 GW、不要不急の車は遠慮を 気仙沼市長訴え
   河北新報 4月20日(水)14時5分配信


    2011-04-10 記事 中の 『関東圏のクルマ好き達が節電以外に協力できること』


   (経営戦略)【震災関連情報】パイオニア、カーナビで被災地周辺の「通れる道路」をチェック、4月1日から
     BCN 3月30日(水)20時10分配信


      『被災地の復興支援に携わっている自治体などに寄贈する』 のは大賛成、販売してもよい位。それ以外の用途での提供は、良心のカケラでも残っているなら、それこそ即刻自粛すべきでしょう。直接的に被災者の生活や復興の妨げになる可能性が大きいでしょ? それとも野次馬の便宜を図ってカネ儲けをするのが 「経営戦略」 かな?


被災地およびその周辺での自家用車の使用は、復興がある程度進むまで極力避けるべきですね。邪魔をしないことも立派な復興支援です。この先のエネルギー需要がひっ迫することを考えれば、被災地でなくてもクルマの使用はそれこそ 「自粛」 すべきとは思いますけれど。




【番外・論外】


 戦時のような今こそ、平和な自転車に乗ろう
   Business Media 誠 3月14日(月)23時32分配信


    よほど交通量の少ない状況でのハナシでしょう、震災直後の避難などで混雑するまちなかでは全く手前味噌の大ボケもいいところ。クルマ・歩行者の両方にとって迷惑な自転車は、震災時は車道左端を走ってね。自転車同士の接触やクルマやバイクに引っかけられて転倒・負傷しても、多分救急車は来ない (渋滞に巻き込まれて来られない、あるいは重大事故優先で来られない) だろうから、そこだけ覚悟して頂ければママチャリだろうがスポーツタイプ・エイリアンヘルだろうが自己責任でどうぞ、ですね。自転車が平和な乗り物と云えるのは、専用道路・レーンやすいている車道を走って、歩行者に一切の危険・脅威を与えない限られた状況下だけ。止まっている、と云うより違法駐輪している自転車や放置自転車は、平時であってもまちなかでは歩行・避難の妨げになるので邪魔だし、環境への負荷も決して小さくはありませんよ。まあ、クルマよりマシな点は、排ガスを出さないことだけ。 自転車だって、ひき逃げ死亡事故の加害者になり得る立派な? 軽車両なのだし;


   自転車事故 〜 自転車の責任事例 〜


   2011-03-14 記事

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