遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

2011年東北地方太平洋沖地震 その26: 本震 および 余震 メカニズム その2

その1 より続く


2011年5月9日レイアウト崩れ補正。


プレートの動きの概要までは私のしょぼい知識を総動員して何とかまとめられましたが、以下詳細に関しては咀嚼出来ていません。要点と思われる部分の紹介;


(E) この震源域の北に隣接する千島沖から十勝沖までの領域では、数十年に一度程度、M8〜8.5程度のプレート境界地震が比較的規則正しく起きてきた場所ですが、今回の震源域内の三陸沖や宮城沖では歴史上M7〜8.5程度の地震は見られるものの、その規則性や頻度は不明瞭でした。その南側の福島沖と茨城沖にいたっては歴史上M7〜7.5程度の地震がぱらぱらとある程度でした。


    つまり、少なくとも歴史上に無かったこと、おそらく1000年に1度程度か、それ以上の低頻度大規模災害が起きたのです。21世紀なかばくらいまでに東海・東南海・南海地震の同時発生が心配されていましたが、それ以上のことが東日本太平洋岸の沖で先に起きてしまったのです。 (中略)


    また、今回の地震では、三陸〜茨城沖にある南北500kmにおよぶ巨大な震源断層面が最大30mほどずれ動きました。さらに、地震後も震源断層は安定化せず、「余効変動」と呼ばれるゆっくりとした断層運動が継続しており、その一部は震源域の周囲にも洩れ出しているように見えます。国土地理院による)


    こうした一連の断層運動は、一部の場所で地殻の歪(ひずみ)を解放させる一方で、別の場所では逆に歪を蓄積させることがよく知られています。東日本全体の地殻歪が再配列・不安定化したのです。 (引用終わり)


(F) 上掲 (E) でも言及されている震源断層面 (=固着が剥がれたプレートの部分のことと思います) は、幅210Km・長さ510Kmと推定されると云うこと。断層面の色はすべりの距離、最大で23mと暫定的に推定される。


(G) 東北地方太平洋岸の観測点で記録された本震の揺れの記録 (波形) から読み取れるのは、宮城県沖から始まった破壊が南部の福島県沖〜茨城県沖付近に及んだ際に別の新たな破壊を発生させた、つまり今回の巨大地震は、いくつもの大地震がわずかな時間差で連続して発生した可能性があると云うこと。 (道理で長ぁ〜い揺れだった訳だ)




(E)


出典: 東日本沖で起きた巨大地震について / 静岡大学防災総合センター教授 小山真人
    2011年3月21日記、23-24日リンク追加、24日富士山と延宝地震について追記




(F)


出典: 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による強震動




(G)


出典: 平成23年 (2011年) 東北地方太平洋沖地震 / 防災科学技術研究所 Hi-net 高感度地震観測網




参考リンク集
  

 東北地方太平洋沖地震にともなう静的応力変化
   2011年3月19日? / 京都大学防災研究所 地震予知研究センター


 地質図のホームページ


 地質情報ポータルサイト




現時点での総括


 東日本全体で地殻の歪を調整 (= 解放・蓄積) する断層運動が継続しており、かつ周辺に拡大している可能性もあると云うことは、まだ相当クラスの余震あるいは別の本震ならびに火山活動が起きる可能性も否定出来ない、と云う点に尽きると思います。


 色々な記事を読んでみましたが、私が最も秀逸と思ったのは 上掲 小山真人先生の記事 です。事実の科学的な分析のみならず、それをどう活かすべきかまで問題提起されている、と云う観点でも。以下抜粋;

−−−実際にインドネシアでは、2004年スマトラ沖地震(M9.1)の南側に隣接したプレート境界で、3ヶ月後にM8.6の大地震と大津波が生じました(図2)。その後も、M8級の大地震が何度か引き続いて今日に至っています。こうした状況が今後日本でも続くことが懸念されます。


つまり、日本の地殻は、言わばパンドラの箱が開いてしまった状態にあります。これまでの地学的に平和で安定した時代は終わりを告げたと認識し、どうか頭を切り替え、限られた資源とマンパワーを有効に配分してください。そして、住民全員が十分な防災対策をしつつ、この長い未曾有の国難を乗り越えるために、それぞれの持ち場で自分の培った力を存分に発揮してください。私も自分ができることを遂行していきたいと思います。


今回の震災では、国内に限られる地震被害および一部海外まで到達した津波被害もさることながら、世界中に拡がった可能性のある原発事故による放射能漏れを無視出来ません。小山先生もその記事中 『一部の学者の間で懸念されていた「原発震災」が、福島原発で本当に発生してしまいました。原発震災はまだ進行中で、全く予断を許さない状況が続いています。こうした中で大規模余震や続発地震津波が起き、原発周辺に再び被害を与えて収拾がつかなくなることが今もっとも心配』 と書かれています。記事中紹介されている 「原発震災」 リンク先は;


石橋克彦 私の考え −2011年東北地方太平洋沖地震による「原発震災」について−
   2011年3月18日追加


 この問題を避けた復興も再生もあり得ません。原発を悪として一気に駆逐するのは現実的では無いと言うなら、原発に頼らずに済む仕組みを考え、手遅れかも知れませんが徐々に廃炉することです。 「頭を切り替え、限られた資源とマンパワーを有効に配分」 すると云うのはそう云うことだろう、と私は思います。なお、現在の問題の解決に当たっては残念ながらアメリカの支援が必要不可欠と思いますが、アメリカよりはるかに小さく、複雑な地殻の上に乗っかる日本がアメリカの原発推進派の意見だけを都合良くパクるのは無意味です。更に言うなら、現在の放射能漏れのレベルが健康に影響する・しないの議論も、恣意的に基準値を上下するだけの自殺行為と思います。漏れ出したこと自体が問題でしょう? 浄水場の水をがぶ飲みしたり、出荷規制の野菜をばりばり食べる −−− 余命の長くは無い年寄りはそれで良いのかも知れませんが。


 なお、もうひとつあまり脚光をあびていない地震被害もありますので、 その3 で紹介。