遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

2011年東北地方太平洋沖地震 その25: 本震 および 余震 メカニズム その1

2011年5月9日、レイアウト崩れ補正。


毎日余震が発生しています。本震以上の規模の余震が起こらないことを祈りますが、今回の地震発生のメカニズムをエキスパートの作成した資料に基づき私なりに整理して見ます。なおアルファベットは各々下掲の図に相当:


(A) 本震マグニチュード9.0は日本観測史上最大、 Magnitude 8 and Greater Earthquakes Since 1900 / USGS によれば1900年以降世界で4番目の巨大地震。(理科年表では2004年スマトラ島沖地震がマグニーチュード9.0の様なので3番目)。なお犠牲者数の多さに関しては Earthquakes with 1,000 or More Deaths since 1900 / USGS 参照。必ずしもマグニチュードと比例する訳では無く、正確な数の把握が難しいと云う事情もあります。例えば昨年のハイチ大地震の犠牲者数はもっと多かった可能性大。


(B) 1995年に都市部直下の活断層で発生した 兵庫県南部地震 とは異なり、北海道/東北地方が乗る北アメリカプレートが、日本海溝で下に沈み込む太平洋プレートにより累積した歪に耐えきれず跳ね上がった海溝型地震


(C) 『跳ね上がった』 様子を定常時との比較で見ると、陸側のプレートの先端が跳ね上がることによって根元では反動で沈降が起こり、結果として海面のへこみ (引き波) が最大3m,持ち上がり (押し波) が最大10m近くにも達した計算。場所によってはいきなり押し波が到達して津波被害が拡大した、と云うことでしょうか。


(D) 『跳ね上がった』 様子の詳細図。プレート境界で逆断層運動が起こり沖合い側では隆起、陸側では沈降が発生。プレートの先端 (境界、海溝) からの距離によって沈下するか隆起するか決まると云う事。陸側のプレートではありますが、図 (C) の示す通り海底も陸地もあり。


   で思い出したのが 「津波のときは井戸を見ろ」 先人の教えで助かる と云う記事。 『津波の時は井戸の水が引いて、ゴボゴボという音がする。井戸には気をつけて』 と云う先人の知恵は、正にこの引き波あるいは沈降のことですね。幼稚な言い方をするならば、引き波で陸側に負の圧力がかかって、あるいは図中の説明にある様に 『断層上盤の深い側では物質が減るため』 井戸水の水位が下がると云うことでしょう。先人は因果関係は知らなかった筈ですが、良く観察していたことになります。




(A)


出典: 2011年3月 東北地方太平洋沖地震 広報アウトリーチ室 (東京大学)
    ウェブサイト立ち上げ: 2011年3月12日、最終更新日:2011年3月24日
     前回紹介 のもの




(B)


出典: 日本は世界有数の「地震国」/ 地震を知ろう −地震災害から身を守るために−
    参照: 地震調査研究推進本部




(C)


出典: 2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)
    2011.3.21作成 / 2011.4.08更新、地球科学科 静岡大学
     2011年4月8日リンク先変更反映




(D)


出典: 平成23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震における断層運動と上下変動の関係
    参照: 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の地震時の滑り分布モデル(暫定)
        作成:2011-03-14 更新:2011-03-22、国土地理院


以上がプレートの動きの概要です。  その2 に続く。