遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

訃報 (続報): Néstor Kirchner 前アルゼンチン大統領死去

ネストル・キルチネル 氏は First Gentleman であると同時に前 (第55代、任期 2003年5月25日〜2007年12月9日) 大統領であり、その逝去に伴い様々な報道がなされています;


Argentine ex-president Nestor Kirchner dies
  Wed Oct 27, 4:02 PM / BUENOS AIRES (AFP) AFP via Yahoo! Canada News


Political times of Nestor Kirchner
  Last Modified: 27 Oct 2010 20:15 GMT, Al Jazeera English


このブログの趣旨から考えて最も紹介したい弔辞はやはり;

ABUELAS DE PLAZA DE MAYO TOP
日本時間2010年10月28日時点


Buenos Aires, 27 octubre de 2010

Lamentamos profundamente la muerte de un hombre que dio la vida por su país.



Las Abuelas de Plaza de Mayo queremos hacer llegar las condolencias a nuestra querida presidenta Cristina Fernández de Kirchner y todos los familiares del ex presidente Néstor Kirchner, que hoy se ha ido, pero que nos deja una enseñanza de trabajo por un país digno para todos.


Es inexplicable el dolor y la tristeza que nos deja el fallecimiento de un hombre que entró a nuestras casa como uno más y que dio al país lo mejor de él.


Argentina lo necesitaba, y ahora todos debemos acompañar a Cristina para seguir profundizando las políticas que este matrimonio ha iniciado para que todos los argentinos y argentinas vivamos en un país con justicia social.


ご夫婦揃って、アルゼンチン最大の政党であり政治的思想・立場が Peronismo、ペロン主義 とされる 『正義党 あるいは ペロン党』 に所属。なお政治的に左派・反新自由主義経済派のキルチネル氏も右派・新自由主義経済派の カルロス・メネム - Wikipedia 氏も共にペロン党所属ですから、一枚岩では無い様です。


氏の名前を冠した Kirchnerismo、キルチネリズム と云う言葉も存在しており、その特徴として紹介されているのは;

    1. Izquierda peronista
    2. Derechos humanos
    3. Rechazo del neoliberalismo
    4. Desarrollismo industrialista
    5. Rechazo de los tratados de libre comercio
    6. Defensa del Mercosur
    7. Alineamiento internacional
    8. Políticas progresistas en materia de natalidad y sexualidad

彼の評価はこれらの点からなされます。


当然アメリカ様からは評価されない体制ですから、同国での評価は大体同じ様なものでしょう。以下抄訳付きでWSJの論評を紹介;


Ex-Leader's Death Shakes Argentina
  LATIN AMERICA NEWS OCTOBER 28, 2010. WSJ.com

  キルチネル前大統領が急死=アルゼンチン政界に不透明感
   ウォール・ストリート・ジャーナル 2010年 10月 28日 8:30 JST

−−−But in the process, Mr. Kirchner amassed a long list of critics by expanding the state's role in the economy, running roughshod over institutions, and shifting Argentina from friend of the U.S. to ally of Venezuela's Hugo Chávez. (以下略)


−−−この過程で同氏は国家の経済上の役割を拡大し、既存機関を冷遇し、極めて敵対的な政治環境を醸成した。外交面では米国の緊密な友好国から、ベネズエラの独裁者チャベス大統領の同盟国へとシフトした。 (以下略)


この部分でWSJのスタンスは十分過ぎるほどわかります。なおWSJ日本は記事を抄訳の際、勝手にコトバを追加しています。上掲引用部分で云えば、原文には (と云うより原文にさえ) 『独裁者』 に相当するコトバはない。これでWSJ日本は米御本社様から金一封でも授与されるのでしょうかね。また、記事中 『populist :ポピュリスト』 の言葉を多分批判的に使用していますが、アメリカ人はその真の意味を理解しているのか大変疑問;


ポピュリズム - Wikipedia


  −−−報道において「衆愚政治」という意味で用いられることもあるが、その場合は、「今日では、複雑な政治的争点を単純化して、いたずらに民衆の人気取りに終始し、真の政治的解決を回避するもの」として、ポピュリズムは批判的に言及されることが多い。民意を離れてデモクラシー(民主主義)は運用できないとしても、民衆全体の利益を安易に想定することは、少数者への抑圧などにつながり、危険であるからである。」といった意味で用いられている。


  Populism (section Latin America) も参照。


アメリカ様の現実を最も的確に表すコトバは恐らく; http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%86%E6%84%9A%E6%94%BF%E6%B2%BB でしょう。『判断力の乏しい民が意思決定に参加することで、議論が低廻したり、扇動者の詭弁に誘導されて誤った意思決定をおこない、誤った政策執行に至る場合などをさす。また知的訓練を受けた僭主による利益誘導や、地縁・血縁からくる心理的な同調、刹那的で深い考えにもとづかない怒りや恐怖、嫉妬、見せかけの正しさや大義、あるいは利己的な欲求などさまざまな誘引に導かれ意思決定をおこなうことで、コミュニティ全体が不利益をこうむる政治状況をさす。』 だそうですから。


そんなアメリカ様にふさわしいシンボルとしては、そうですね、これがぴったりかな?


   (出典: RAWA News)