遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

オバマのイラク侵略戦争: 本質的な誤り

アメリカのアフガニスタン侵略戦争についてマラライさん記事を中心に紹介しましたが、イラクでも同様のことが起こっていますので併せて紹介;


まず、アメリカ軍による大規模な民間人殺害が行われた ファルージャの戦闘 - Wikipedia に関して。


出典: ファルージャ - Wikipedia

    • 終わらない侵略の罪:病を抱えるファルージャの子どもたち / ウィリアム・ブルム
      益岡さん訳、最終更新:2010-04-13 06:26:09 みんなの翻訳


      −−− 米軍の報道官マイケル・キルパトリックは、米軍は常に公衆衛生問題を「極めて深刻に」受け止めていると言いながら、「現在までのところ環境問題から特定の健康問題が起きたことを示す研究は一つもない」と話す*1。


      白リン弾劣化ウラン、ナパーム、クラスター爆弾中性子爆弾、レーザー平気、殺人光線平気、強力マイクロ波兵器をはじめとする、ペンタゴンが発明した素晴らしきSF型兵器を7年にわたり使ったことで、米国がファルージャをはじめとするイラクの各地にもたらした戦慄すべき環境破壊と人道的破局の詳細ならば、何巻にもわたって記録することができる・・・・・・醜悪な事態とグロテスクな死の一覧はとても長いものになり、米国の政策が示す理不尽な残虐さはショッキングである。2004年11月、「多くの犠牲者が出ているとの噂はファルージャの病院から出ていると確信した」との理由で米軍はファルージャの病院を標的にした*2。ベトナム戦争で、今回と同様やはり栄光に輝くアメリカが「我々は町を救済するために破壊しなくてはならない」と主張したのにも比する発言である。


      世界は、このような非人道的振舞いにどう対処できるのだろう? (しかも上で述べたことは米国が国際的に行ってきたことの記録全体から見るとほんの表層でしかない。) こうしたことのために、1998年、ローマで国際刑事裁判所ICC)が国連の保護のもとに設立された。オランダのハーグに作られたICCは、「ジェノサイドの罪、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略犯罪」(ローマ規程第5条)に関して、国家ではなく個人を調査し訴追する役割を負う。当初からアメリカ合衆国ICCへの参加に反対し、批准しなかった。理由は、ICCがその権力を使ってアメリカ人を「軽々しく」訴追する危険がある、とのことであった。 (以下略)


状況証拠は沢山あるものの、アメリカ軍の使用した兵器と奇形の因果関係がわからないから推定無罪、とのとんでもない論理。日本でも 水俣病 - Wikipedia やら イタイイタイ病 - Wikipediaベトナムでは 枯葉剤 - Wikipedia による健康被害など、被害者だけがとことん苦しまれるケースであるのに−−− この様な事態を引き起こしたアメリカに間接的に加担したことになる我々は何も学んでいない、と云う現実には暗澹たる気持ちにさせられます。


なおこの記事に限らず、書籍『ファルージャ 2004年4月』 のフォローとしてイラク情勢を丹念に更新されている秀逸な以下サイトをブックマークされることおススメ;


http://teanotwar.seesaa.net/
Falluja, April 2004 - the book
副題:----英語を通して日本から「イラク」を見る。

書籍 『ファルージャ 2004年4月』 (2004年6月、現代企画室、ISBN-10: 4773804041, ISBN-13: 978-4773804041, 発売日: 2004/06 ) の共訳者2名 *1 による共同運営。ファルージャおよびイラクについての情報を英語から日本語にして紹介。同書の後継的位置づけ。


翻訳書をネットでフォローするスタイルはイイですね!!


次に、前回のマラライさん紹介の際半分だけ紹介した、イラクでのカメラマン射殺の件;

  1. Families of Victims of 2007 US Helicopter Killing React to Leaked Video
    April 12, 2010, DEMOCRACY ! NOW


    この記事中のビデオに犯罪の一部始終およびご遺族のコメントが収められています。


    2007年米軍ヘリ爆撃死傷事件の被害者家族が漏えいビデオに反応
    marikos さん訳、2010年4月12日 / みんなの翻訳


    アイスランドの調査チームのジャーナリストたちがウィキリークスで公開したことで、一躍悪名高くなったビデオがバクダッドに届けられ、2007年爆撃で殺された12名の遺族のうちの数家族と対面しました。自分の車に武装ヘリコプターの銃撃を受けて殺されたサレフ・ムターシャの妻、アフラム・アブデルフサインはこう問いかけます。「なぜ夫は子どもたちと車の中にいて撃たれたのか?彼らは何も悪いことはしていない。夫はジャーナリストを助けようとしていた。夫の罪は何ですか?父を亡くした上に何の援助もされずに残された子どもたちが、何の罪を犯したというのですか?」 (以下略)


  2. EXCLUSIVE: One Day After 2007 Attack, Witnesses Describe US Killings of Iraqi Civilians | Democracy Now!
    EXCLUSIVE: One Day After 2007 Attack, Witnesses Describe US Killings of Iraqi Civilians
    April 08, 2010, DEMOCRACY NOW !


    犯罪の次の日の現場の様子などを紹介。


  3. WikiLeaks
    Collateral Murder、これがオリジナル。
  • 米軍が妊婦、政府関係者、ジャーナリストを殺害:民間人殺しの隠蔽 / スティーヴン・ソルヅ
    益岡さん訳、最終更新:2010-04-09 21:16:09 みんなの翻訳


    イラク:空からカメラマンを射殺


    −−− バンが止まったとき、ヘリの米軍はバンや乗っている人の状況を確認しようともせずに、ラジオ無線の向こう側から上官の許可を得て、バンを吹き飛ばした。バンに乗っていた数人と、子ども2日が殺された。


    このビデオを見ると、米軍の説明が----事件直後の段階では上官たちも信じていたのかも知れないが----、証拠を調べさえすれば誰にとっても信じがたいものであることがわかる。


    もう一つビデオから明らかなことは、兵士たちが攻撃を実行する際の歓声である。人々が殺されて笑い声をあげ、M2ブラッドレー歩兵戦闘車が人を轢いたときに歓声をあげ、子どもに怪我を負わせたのは怪我人を助けようとバンが止まったせいだとする声である。


    「奴等のせいだ。子どもを戦闘の場に連れてきた奴等が悪い」[書き起こしから]


    ビデオを見ると、米軍が数年にわたりロイター社によるビデオの閲覧を拒否していた理由が容易にわかる。米軍は体系的に嘘をつき、10人以上のイラク人を殺した事件を隠蔽していたのである。 (以下略)
    • 米国防長官、イラクのロイター記者銃撃映像流出でサイト批判
      4月14日13時2分配信 ロイター


      −−− ゲーツ長官は、WikiLeaksが状況の背景を説明せずに映像を公開したと指摘。「こういう人々は何でも好きに公開するが決して責任を負わない。前後関係を明らかにしない」と批判した。


       2007年7月12日に録画された米軍アパッチヘリの銃照準器からのビデオは、今月5日に公開されて以来、世界中で視聴されている。


       ビデオにはヘリに乗っていた米兵らの会話も録音されており、その内容は多くの視聴者に衝撃を与えた。国際法や人権の専門家の中には、兵士らの行為が法に反していると指摘する声もある。 (以下略)


      じゃあ、前後関係を明らかにしてよ。別に法律の専門家でなくったって、明らかな戦争犯罪行為でっせ。
  • Iraq Vet From WikiLeaks Video Unit: Video Is Shocking But Shouldn't Be Surprising, This Is What They Are Trained to Do
    April 12, 2010, AlterNet


    −−− I guess I agree that militarily speaking -- which is far different from saying morally speaking -- I don't think what was shown in the video is anything out of the ordinary and I think Gates reaffirmed that. There are a lot of troubling implications with that. But I would definitely disagree that the video will have no effect on America's image. Even some of the comments that I'm receiving as a former soldier from people internationally have been pretty harsh and, you know, I'm one of the few who have chosen to say 'this is wrong and I'm not going to be a part of it anymore,' and if I'm hearing that, then I can only imagine some of the things that are being said to people who haven't come to that conclusion. (以下略)


    この件は、道徳的ではなく純粋に軍事的にはごく日常的なことで取り立てて騒ぐことではない、と云うのは多分その通りでしょう。命令に従えないなら除隊するしかなく、もしそうしていなかったらこの Josh Stieber さん自身がビデオに登場していた筈と云うこと。


    であるならば、この様な事態が避けられない 「軍事行動:戦争」 に正義など存在しないことになりませんか?アメリカがイラクなり他国に自由と正義をもたらすために軍事介入するなど、全くの詭弁。


多くの記事がネット上にアップされています。以下ほんの一部;


イラクその他、日本ではまず報じられることがないであろう情勢に関して、益岡さんが 『みんなの翻訳』 サイトで相当量の翻訳記事を発信しておられます。必要ならオリジナルの英文記事にもアクセス可なので、以下併せて紹介しておきます。皆忙しいですから大手マスコミの報道だけを信じて耳をふさぐのも結構ですが、今のままでは 『いつか来た道』 を歩くことになりそうです。少なくとも有権者として白紙委任をする様な愚だけは犯さないように;

kmasuoka さん翻訳文書一覧


最近のものでは;


いつもながら紹介ばかりの記事になってしまいました。どうやってアメリカの暴走にブレーキをかけるか? 我々の選んだ我々のレベルに見合った政府には国際社会での発言力も行動力も無い。結局、アメリカ国内でのうねりに期待するしか無いのでしょう。誰よりアメリカ国民が自国政府の嘘を見抜き、もし本当にアメリカに民主主義が存在するなら、選挙で首を挿げ替えてもらうしかない;



出典: http://www.zcommunications.org/zvideo/3328


この演説をどう評価しますか?この Mike Prysner さん経歴は、 2008 United States House of Representatives elections in Florida - Wikipedia 中の "District 22" では "−−− Mike Prysner, an Iraq War veteran, peace activist, and college student, ran as a write-in candidate on the Party for Socialism and Liberation ticket." と紹介されています。また上掲演説の舞台である "IVAW (=Iraq Veterans Against the War)" サイトに Search | Iraq Veterans Against the War が掲載されています。命令に従ってのこととは云え自分の過去を否定して反戦運動に身を投じたり、上掲 Josh Stieber さんの様に声を上げることは、傍から見ているよりはるかに勇気も覚悟も要ることと私は思います。

Mike Prysner さんの記事より抜粋;

  • Our real enemies are not those living in a distant land whose names or policies we don't understand; The real enemy is a system that wages war when it's profitable, the CEOs who lay us off our jobs when it's profitable, the Insurance Companies who deny us Health care when it's profitable, the Banks who take away our homes when it's profitable. Our enemies are not several hundred thousands away. They are right here in front of us.


Josh Stieber さんの記事より抜粋;

  • Josh Stieber talks about how the disturbing video shouldn't be seen as a few soldiers behaving badly but as a sign of a broken system where the same 'outrages' will continue.


お二人とも本質的には同じことを発信されている様に見えます;アメリカと云うシステムが機能不全をおこしている、と云うことでは?


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*1:益岡 賢さん、いけだ よしこさん