遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

身勝手なアメリカ: 犯罪者の扱い

アメリカの様々な二重基準がよく取り上げられますが、考え様によっては常に首尾一貫しているのかも知れません; 『アメリカ大統領およびアメリカ国民の利益のためなら、アメリカは他国・国際規範に従う必要は無い』 明快ですね。そんな国が正義だ、平和だとのたまうから訳がわからなくなる。


このところ1988年12月21日発生したパンアメリカン航空103便爆破事件 への関与の疑いによりスコットランドにて服役中だったアブデルバゼット・メグラヒ容疑者が余命3ヶ月の末期の前立腺ガンと診断され2009年8月20日に温情措置で釈放後リビアへ帰国した件に関して、米英から非難の声が上がっています。


爆破事件で死亡した被害者の3分の2は、クリスマス休暇を利用して帰国する予定の米国人だったことを考えると当然の様に見えます。しかし被害者のご遺族には申し訳ありませんが、少なくともアメリカには今回の措置・リビアでの大歓迎について非難する資格はありません;

パンナム機爆破犯の釈放で米国内から怒りの声 「誤りだ」とオバマ大統領
8月21日20時54分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090821-00000609-san-int

−−− 複数の遺族の代理人を務める弁護士のマーク・ゼイド氏は「国家というものは国民の利益を守るためでなく、国家の利益を守るために行動する」と述べ、訴訟も検討する考えを示した。

アメリカ弁護士による売名行為およびカネ儲けに過ぎませんね。

爆破犯歓迎に反発強まる=王族のリビア訪問中止へ−英
8月21日23時31分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090821-00000181-jij-int

−−−英スコットランド当局によって釈放されたパンナム機爆破犯のリビア元情報部員が帰国したリビアで大歓迎を受けたことに、英国が反発を募らせている。

確かに、カダフィ大佐手配の特別機で帰国のメグラヒ容疑者はトリポリ空港で大歓迎受けていましたね。(下に関連記事抜粋あり)

リビア元将校の釈放はスコットランドの「慈悲」、米国の厳罰主義との違い浮き彫りに
8月21日21時14分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090821-00000611-san-int

−−−死者270人のうち180人の犠牲者を出した米国は「テロ犯」釈放に怒りをあらわにした。一方、独立した司法権を持つスコットランド当局は、末期がんを患う元将校への「慈悲」を強調し、多くの州で死刑が残る米国の厳罰主義との違いを際立たせた。

これを書いた記者は、 『米国の厳罰主義』 などと云う見当違いを犯していますね。ロンドン駐在の高給取りのブンヤだろ、もっと勉強すべき。

リビア帰国を数千人が歓迎 米機爆破の元受刑者
配信元: 産経新聞 2009/08/21 09:29更新
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/mideast/292190/

−−−米パンナム機爆破事件で、英スコットランド当局が20日に釈放したリビア元情報将校のアルメグラヒ元受刑者が同日夜、母国リビアに帰国し、首都トリポリの空港で若者ら数千人の歓迎を受けた。

−−−元受刑者は到着に先立ち弁護士を通じて声明を発表。フランス公共ラジオによると、事件への関与を否定するとともに「この恐ろしい試練は帰国しても終わらず、解放されるのは自らが死ぬ時だ」と訴えた。

英米は、何故彼がリビアで大歓迎受けたのか? を考えたことは無いのだろうか?


2009年1月25日付け 『キューバと云う国: フィデル・カストロチェ・ゲバラ 』 で紹介した 米国の対キューバ経済封鎖解除決議、圧倒的大差で採択 中で、

−−−米国政府は、30カ国以上の企業に対してキューバへの輸出、金融、観光などを制限しています。一方でブッシュ政権は、自国に都合の良い、年間6億ドル近い自国の農産物のキューバへの輸出は許可しています。また、ブッシュ政権は、経済封鎖でキューバ国民の生活に悪影響を与える一方、米国に追随するキューバ国内の反体制派には、人道援助と称して昨年2億7000万ドルを供与したと述べています。これは、明らかに内政干渉行為です。また、こうしたブッシュ政権の欺瞞的な政策は、ブッシュ政権が、さまざまなキューバ政策で見せている二重基準政策のひとつでもあります。その最たるものは、五人のキューバ愛国者を長期に拘留し続ける一方、1976年のキューバ航空機爆破事件の首謀者、国際テロリストのポサーダ・カリーレスを無罪釈放したことです。


との記載がありますね。いいですか、アブデルバゼット・メグラヒ容疑者が仮に真犯人だったとするなら、1976年10月6日発生の クバーナ航空455便爆破事件 の真犯人はルイス・ポサダ・カリレス (Wikipedia "Luis Posada Carriles" 参照) です。アメリカの対応は;

事故の真相 (ウィキペディアよりの抜粋)


爆発が機体後部で発生したことから当初からテロによるものとみられていた。被疑者としてキューバカストロ政権に反発する反カストロ主義者が考えられた。445便に偽名で搭乗してバルバドスで降りた2名のベネズエラ人をトリニタード当局が逮捕し、その自供から事件の首謀者としてルイス・ポサダ・カリレスら2名が逮捕された。


事件の裁判はベネズエラで行われたが、1980年9月に同国の軍事裁判所は「証拠不十分」を事由に無罪を宣告した。これは不可解なことにバルバドスの捜査当局が収集した証拠資料の提出が遅れた上に、翻訳(バルバドスの公用語は英語、ベネズエラ公用語スペイン語)されなかったのが原因であるという。しかしルイス・ポサダ・カリレスが首謀者であったことが、2007年5月に機密指定が解除されたCIAおよびFBIの公文書において判明している。この中でポサダがCIAに長年協力しており、クバーナ航空455便を爆破した実行犯「エンジニアS」の一員であると断言されている


ポサダはその後もキューバに対するテロ活動を行っていたとされ、キューバの観光産業への打撃を狙った1997年のハバナにおける連続爆弾テロの時も、ベネズエラに滞在していた。しかし2005年4月になってアメリカ・マイアミへ逃走し、政治亡命を申請した。その際に、彼の顧問弁護士がアメリカ合衆国政府に保護される要件として、彼がアメリカのために対外破壊工作活動に協力してきた点を強調した。そのためか2007年5月8日、エル・パソ連邦地裁は、ポサダに対する全ての訴状を却下して、彼を釈放した。そのためベネズエラキューバ両国の外相は、テロ活動に対する「アメリカの二重基準」を厳しく批判した。


これがアメリカの真の顔ですよ。アメリカ国内では子供がひとり誘拐され死体で発見されただけ (失礼は承知ですが、比較のために敢えてこの様な言い方をします) でも大騒ぎになるのに、アメリカ政府が国外で正義の名の下今日この瞬間にも殺害している子供には目も向けない。アメリカ国内にはカネで自由を得た麻薬の売人やら反カストロチャベス派の犯罪者を沢山飼っているのに、他国が死を迎えようとしている容疑者を釈放したことに怒りを表明−−− 私の常識では到底受け入れ難い。


奇しくもアメリカ政府による暗殺委託がすっぱ抜かれました;

<CIA>アルカイダ暗殺を委託…04年、民間軍事会社
8月21日21時4分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090821-00000103-mai-int


−−− 報道によると、CIAは米同時多発テロの起きた01年、アルカイダ幹部の暗殺を計画。04年にブラック社に委託した。正式な契約はなく、CIAと同社の両幹部の個人的な合意で進められた。CIAは民間に「発注」することで、「問題が起きた場合も組織を守れる」と考えたという。


 ブラック社は02年、アフガニスタンのCIA事務所の警備を受注。その後、CIAの対テロ担当の複数の高官が同社に天下りした。同社は07年、イラクバグダッドで警備員が「攻撃を受けた」として市民17人を殺害し、問題視された。


 米国ではCIAの秘密計画にも一定の規制があり、議会情報委員会への通告などが義務付けられている。しかし02年、当時のチェイニー副大統領が「CIAにはアルカイダ幹部を殺す権限があり、議会に報告する必要はない」と秘匿を命じたとの情報があるという。


でもこんなのは氷山の一角に過ぎません。アメリカは何をやっても許されるのです。国家・国旗・国歌への絶対忠誠を誓わされますが、日本もアメリカの5x番目の州にしてもらいましょうよ〜〜〜