遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

2011年東北地方太平洋沖地震 その35: 菊地洋一さんの活動、原子力発電のシェアなど

原子力発電所に関する参考リンク集


ご自身の体験を基に原発の危険性を精力的に説いていらっしゃる方の紹介と、原発が無くても何とかならないか、の大雑把な考察;


【菊地洋一氏の活動】


 福島第1原発:「事故起こるべくして起きた」元技術者証言
   毎日新聞 2011年4月1日 2時32分(最終更新 4月1日 3時10分)


   −−−改修工事で圧力容器内に入ったが、一時的に白血球の数値が減少。悪条件下の作業だと実感した。「当時は、社内で原発の危険性を指摘しても聞き入れられず、会社を辞めて国に訴えても通じなかった」と唇をかむ。


   79年に米スリーマイル島原発事故が起きたこともあり、80年に退社。50歳を過ぎたころから反原発運動に取り組むようになった。

   原発は政治家や官僚、電力会社などによって推進され、国民は蚊帳の外だった。でも地震津波はどこでも起きる。今こそ、一人一人が原発について考える時だ」と話した。 (記事終わり、引用終わり)


 菊地洋一氏 ページTOP
   ストップ浜岡原発東海地震から愛する人を守るのはあなたです


   
   出典: ストップ浜岡原発TOP
    これが 「ノーモア・ヒロシマ」や 「ノーモア・ナガサキ」 の様に骨抜き? にならないことを願います。


   元GE技術者・菊地洋一さん講演 「命はほんとうに輝いている」 2003年3月31日 三重県海山町


  
  
  作成日: 2011/03/29
  2011年3月29日菊地洋一さん講演記録in静岡


  
  
  作成日: 2010/09/13
  菊地洋一講演会から,その3. / エライ人は被爆しない.



【日本の原子力発電】


 一方、消費と供給 (電気は貯めておくことが出来ないとするとイコールの筈) の関係について エネルギー白書2010 - 第2部 第1章 第4節 二次エネルギーの動向 を基にシロート概観してみると;


 <デンキの単位>


  (理系くずれとは云え) 文系にはわかりにくいのですが、ひとつのグラフから趨勢を読む際は気にしなくてもよいが、様々な資料を比較する際要注意なのが、 「電力、kWなど」 と 「電力量、kWhなど」 のどちらの単位での表示かを確認すること。この関係について猿でもわかる? と私が参考にしたのは;


   電力と電力量
   電気☆入門 電気主任技術者電気工事士・エネルギー管理士・技術士等の資格試験と電気技術情報サイト


   電力と電力量を水にたとえると、流量とたまった水の水量になります。』
   例示されている計算式を抜粋しますと;


    初めの30分間は5[W]、その後30分間は10[W]使用すると、
    5[W]×0.5[h]+10[W]×0.5[h]=7.5[Wh]
    となり、1時間で7.5[Wh]使ったことになります。


   ざっと見たところ、発電能力は 「電力」 、消費量・発電などでは 「電力量」 が使われているみたい。


 <消費>


  エネルギー価格の上昇と下落に世界的金融危機の影響も相まって生産が低迷し、企業向けを中心に電力消費が前年度より3.6%減少した2008年度で約9000億 キロワット時: kWh (電灯+電力);


    


  更に年間および年間最大電力を記録した夏季1日の電気の使われ方を見ると;


    
    1年間の電気の使われ方、単位は100万kWh、即ち電力量です。


    
    夏季1日の電気の使われ方、単位は上掲と異なり100万kW、即ち電力です。


  年間では真夏・真冬が突出し、更に消費が増える真夏の最大消費の時間帯を見ると、気温の最も高くなる真昼の消費が多い−−−ってことは、家庭・企業とも冷暖房の需要と考えられますね。


 <供給>


  発電可能電力 最大消費と考えれば、上掲消費のピークから考えれば約1兆 kWh 必要。実際に2009年度の発電電力量は9,551億kWh、うち原子力で発電したのはその約3割に当たる 2,785億kWh

  


  で、2009年度末時点で実際にどの程度発電可能か、を見ると;


  


  このグラフの単位は電力(万kW)なのですぐ上のグラフとの単純比較が出来ません。揃えるために以下計算;


   2009年度総発電設備容量 (ExcelデータDL可) 24,148万kW
   x 24時間(=実際はあり得ないでしょうが、フル稼働)
   x 365日(=実際はあり得ないでしょうが、フル稼働)
   =211、536、480万kWh = 2.1兆kWh
   vs 同年度発電電力量 9,551億kWh ⇒ 稼働 45%


  更に乱暴な計算; 上掲の如く2009年度の原子力も含む発電電力量は9,551億kWh、一方2009年度の発電設備容量から原子力を除きフル稼働した場合、上掲と同じ計算あるいは原子力の構成比20.2%を差し引くと総容量168,743、880万kWhですから、稼働率は57%に跳ね上がります。


  勿論、発電所がコンビニの如く24時間365日稼働出来る訳がありません。上掲計算は日本全土での消費・供給能力ですし、個別には保守作業やら設備更新も必要だし、電力消費が少ない時間帯は止めるでしょう。従って上掲の乱暴な稼働率が実際どの程度のものかは私には判断不能。震災前でも夏場の需要急増時にはアブナイ状況だったと記憶しますから、特に消費の多い関東圏ピーク時の稼働率は100%に近いのかも;


  
  出典: ●●電力の電力使用状況:4月1日16時台


  でもどうでしょう、今回被災したのは日本の全原子力・火力発電所の一部ですから、単純に廃炉したとしても、地域間のやりくりやら無駄の排除、電力消費の平準化レベルで何とか乗り切れそうな気もします。ただし全ての原子炉を廃炉するにはそれだけでは不足、原発廃止を叫ぶならそれなりの覚悟と知恵が要ります。


  
  電気料金の推移
   2007〜8年には上昇しましたが、概ね価格は下がっています。「経営努力」のタマモノでしょうが、そのツケが今回って来ている。危険な炭鉱同様、安全にかけるコストをケチった結果かも。価格破壊必ずしも善ならず。本来もっと高い筈ですし、これから先は更に上昇するべきと思います。


  いずれにせよ、震災前の感覚で復興進めようとしても早晩行き詰ります。当然震災前の電力需要予測として;


  
  出典: 発電設備と発電電力量 − 原子力発電の現状 | 電気事業連合会【でんきの情報広場】


  こんなことはもはやあり得ません。 先日紹介 の 『なぜ「脱原発」か』 にある様に、電気が止まったら何もできなくなる、硬直化した社会を見直さないと。



以下、参考資料;


なるほど! 原子力AtoZ|原子力発電|日本の原子力発電|原子力発電のシェア


世界の原子力発電市場と 産業界再編の展望 (PDF)


世界の原子力発電の状況(原子力発電所を運転している国:31 ヶ国 ... (PDF)

  
平成22年度電力供給計画の概要について (PDF) / 平成22年度電力供給計画の概要
  平成22年3月 経済産業省 資源エネルギー庁