遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

終戦記念日: 続報2

菅の 「心のこもっていない謝罪」 に対する韓国の李明博大統領の返答について;

≪解説≫李大統領、光復節祝辞で日本首相談話に「返答」
8月16日16時32分配信 聯合ニュース


−−− 李大統領は「超えるべき課題がまだ残っている。韓日両国は具体的な実践を通じ、新たな100年をつくっていかなければならない」と述べた。菅首相談話がそれなりに誠意を示したものの、それが強制併合の苦痛を経験した韓国国民の胸に響き渡るには、談話の内容を具体化させる後続措置を誠実に実践し履行するよう注文した形だ。これは特に、日本が依然として韓日強制併合の違法性を認めておらず、植民地時代の徴用被害者や慰安婦らに対する補償に背を向けている点を指摘したものとみることができる。


 結局、李大統領の祝辞は、菅首相の談話に対する返答のメッセージを送りながら、過去の歴史の未解決課題の整理を「行動」で示するよう注文し、再びボールを日本側に渡したという見方が可能だ。 (以下略)


上掲返答に関して中国の 『有識者』 のコメントとして報道されたものをひとつ紹介しますと;

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100817-00000015-scn-cn
中国人有識者、日本は「謝罪」を外交戦略に止めてはいけない
8月17日10時38分配信 サーチナ より抜粋


徐光裕氏 (中国軍控与裁軍協会(CACDA)の高級研究員) は「これは当然やるべきことで、しかもまだ不十分である」と主張し、「首相談話が日本国内外で多くの非難を引き起こしている原因として、以下の3点が挙げられる」と述べた。

    1. まず、日本国内で一種の「謝罪疲れ」の状態が広がり、日本国民らは理解に苦しんでいる。
    2. 36回も謝罪したのに、隣の被害国にいまだ理解されないのはなぜだろうか。
    3. 「罪滅ぼし」として、戦後数十年にわたって大金を支払ってきたが、問題を完全に解決することはできず、いまだに多くの国、多くの人びとが日本の行為を忘れることができていない。これには日本もひどく困惑している。


 韓国の李明博大統領は日本が抱える問題の答えが「賢明かつ誠実な態度」、「実践に移すこと」であることを指摘している。日本国民が欧州とドイツの経験をよく研究し、その後に日本と被害国の実情を結びつけ、「賢明と誠実」という戦略的選択を実践すれば、「謝罪疲れ」は自然になくなると提案している。


ドイツ人はこの点において誠意があり、徹底している。たとえばファシズムを宣揚したり、ナチスの罪を否定したりする行為は、違法とされている。これは、ドイツと第二次世界大戦での行為の完全な決裂と反省を全世界に示している。しかし日本はこれと比べるとまだまだ足りない。


「日本の困惑」 は、それが (恐らく) 国民の多数が感じていることとは異なる様な気がするものの、概ねその通りでしょう。ただ、敗戦後の処理に関して、同じ敗戦国であり同じ様に 『国際法を無視し、復讐と宣伝の欲望を満足させるため司法と立法を混合して法の不遡及まで犯した、一方的な軍事裁判』 によって断罪されたものの、状況も文化的背景も随分異なるドイツを見習えと云う主張には到底同意出来るものではない。中国でも 『有識者』 は、近視眼的に西洋だけを向いているらしい。


『かつてナチズムが支配したドイツでは第二次世界大戦後はナチズムを非合法化し、ナチズムの称賛は全面的に禁止された。ナチス時代の軍服や武器を一般市民が手に入れることは原則禁止であり、販売も許されない。また、ナチスのシンボルである鉤十字、あるいはそれを彷彿(ほうふつ)させるような図柄を公共の場に掲揚することも禁止されている。 (ネオナチ - Wikipedia より抜粋)』 と云う事実があることは確か。


『善きドイツ』 を戦争へと導き、非人道的な蛮行を繰り返したナチを断罪し、その後ナチズムおよびその賞賛を非合法化したことは当然。私の不勉強かも知れませんが、ドイツの戦争責任 = ナチズムだったのではないか。また、ドイツの 『善き人々』 にとっての第二次大戦終戦は、ナチス独裁からの解放と殆ど同義でしょう。参考となる資料として ドイツと日本における「終戦」「敗戦」「解放」の記憶 (pdf) (サーラ・スヴェン氏) を紹介しておきます。


では日本国民に求められる 『絶対的な誠意: 第二次世界大戦での行為の完全な決裂と反省』 とは何なのか? 研究せよ、お手本とせよと云う欧州やドイツでのナチズムに相当するものは何なのか? そのひとつの答えが、戦勝国に押し付けられたとは云え現在も有効な憲法が放棄・禁止する、 『国権の発動および国際紛争を解決する手段としての戦争』 の筈です。まあ、実際に韓国が求めているのは、 『韓日強制併合の違法性を、全日本国民の共通認識とすること』 およびそれに基づく徴用被害者や慰安婦らに対する補償でしょう。


多くの人間を殺した核兵器や多くの他国民を凌辱した植民地支配・帝国主義が、ナチズム同様に非合法化されその賞賛さえ全面的に禁止され、時効無しに被害国に損害賠償が認められるならば、私など大賛成。そうすることで困る国は多いでしょうけど。中国こそ欧米列強により散々な目に遭わされて来た筈ですが、 「お手本」 とせよと云う欧州が旧植民地での様々な蛮行に関してどの様な誠意を見せてくれたのか、是非知りたいものです。さすが人権先進地域、喜んで研究・参考かつお手本とさせて頂きたい。 *1


イヤミはさておき、中国の 『有識者』 の指摘にも耳を傾けるべき点があります。「謝罪」と「お詫び」を一種の外交戦略の方策としてはならない、と云う点。下心は完全に見透かされていますが、さて気軽に火を付けた菅はどう対応するつもりか。

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*1:サンフランシスコ平和条約の締結時に、 ○○○○ (四カタカナ国名伏字) の植民地であった東インドに対する日本の侵攻に対して「被害者」の立場をとり、賠償責任の枠を超えて日本に個人賠償を請求した ○○○○ (四カタカナ国名伏字) に対して、インドネシア政府は、「インドネシアに対しての植民地支配には何の反省もしていない」と強く批判している。また、インドネシア大統領の ○○○○ (四カタカナ国名伏字) 訪問時にも、植民地支配に関しての謝罪を求めているが、 ○○○○ (四カタカナ国名伏字) からはインドネシアへの謝罪が出たことは無く、白人至上主義が全面的に出ている表れとなった。』 (太平洋戦争 - Wikipedia より抜粋。) これこそお手本とすべき、「毅然とした」 態度なの???