遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

小笠原伯爵邸でスペインを堪能!!   2010年7月11日(日)  文学・演劇・翻訳・講談・グルメそしてフラメンコ

伯爵邸! ハイソな雰囲気で、タキシード (あるいは羽織袴) ・ドレス (あるいは着物) をまとった紳士・淑女の怪しげなパーティー −−− と私は無縁ですから、楽しいスペイン語関連のイベントの紹介です。翻訳とも大いに関係があります。


実はイベントの正式名称は 『平成22年度楠ヶ丘会関東支部同窓会:神戸市外国語大学同窓会』 です。通常同窓会なんて楽屋ネタばかりで部外者にとってはタイクツこの上無いのですが、今回紹介の同窓会HP http://www.geocities.jp/kobegaidaiobog2007/sub035.htm のコトバを借りますと、 『同窓会総会の幹事は15回生で初めてイスパニア学科が登場、これを記念してスペイン色を前面に出し、新たな趣向でお誘いしたい』 と云うのが主旨;


チラシ (pdf)

http://www.ogasawaratei.com/html/index.html

荻内勝之 - Wikipedia 今回の幹事のおひとり


ご覧の様に同窓会ではあるものの今回は 「地域にこだわらず、家族・友人の参加も大歓迎」 とのこと。でも実際にはもっと拡大解釈して、「荻内訳ドン・キホーテ」のことを知ってる、フラメンコに興味がある、高いけど神戸牛大好き、スペインフリークである、 Gabo *1 大好き、神戸へ行ったことがある、荻内さんと同じホモ・サピエンスである、等々で資格としては十分、特に女性は大歓迎とのことです。小笠原邸のパティオ (中庭) は相当広い様ですし、とにかく賑やかであることが大事。私は、2008年10月06日紹介 *2 しましたた様に、25年ほど前アグヘータスの唄を聴く会で荻内さんと知り合いになっただけで、大きな厚い顔をして参加するつもりです。


当日の天気は、統計的には; 東京の過去の天気 7月11日 - goo天気

我が気象庁の中期予報では: 気象庁|季節予報

  ※ 要するに、雨は降らないで欲しい。


イベントについてはチラシを参照、補足としては;

  • 講演 「アルマグロ国際演劇祭出演」 田尻陽一、劇団クセック


    劇団 クセック ACT



    題名: 劇団クセックACT2008スペインアルマグロ・オルメド公演
    出典; スペイン --劇団クセックACT--
    ただし当日の参加形態あるいは出し物は未確認です。


    なお田尻さんは翻訳や語学書の出版もなさっておられますが、同劇団の訳・構成で参加しておられます。例えば;



    題名; 劇団クセックACT 「ドン・ペルリンプリンの恋」#01/10


    2006年10月24日 — 「ドン・ペルリンプリンの恋」 作/F・G・ロルカ他コラージュ 訳・構成/田尻陽一 構成・演出/神宮寺 啓 愛知県芸術劇場小ホール/名古屋 初老の男ペルリンプリンが結婚。相手は隣の美しい娘、ベリーサ。ところが新婚初夜の朝、寝室の出窓は開け放たれ、窓の下には帽子が五つ。 12年前の再演にあらず。翻訳、構成、演出も一新。舞台に組んだ白い矩形の鉄骨の中で繰り広げられた異形の愛の物語。ペルリンプリンの新妻、ベリサ役を清水絵里子が妖しくも激しく演じ、評判となった。 神宮寺 啓、5年ぶりとなるロルカワールド。
  • フラメンコアトラクション


恐らく二度と揃うことの無い、珍しい顔ぶれです。 「スペイン語」 を軸としたグルメ、講談、翻訳、演劇、文学・音楽と盛り沢山、所場代込みのおネダンは今回限りな、なんと (← 高田明さん口調); チラシ参照、狭義の 「関係者」 と同じ いち万円!


さて、チラシ(ポスター?)でお気付きに様に、荻内新訳「ドン・キホーテ」の翻訳者である荻内勝之さんご本人は幹事として、挿絵を描かれた堀越千秋さんは唄で友情出演と、 LOCOS (=個性豊か、の意味ですよ) なおふたりが揃います;


セルバンテス 堀越千秋 荻内勝之『ドン・キホーテ(全4巻)』|新潮社
※ ア●ゾ●などでは在庫ある筈。


荻内・堀越DQ化粧箱背.jpg 直 以下jpgファイルの出典は私所有の同書籍
荻内・堀越DQ前篇上.jpg 直
荻内・堀越DQ前篇下.jpg 直
荻内・堀越DQ後編上.jpg 直
荻内・堀越DQ後編下.jpg 直
装丁も凝っています。


世界中誰でも知っている古典の新訳の位置づけに関しては、以前紹介しました野谷文昭さんの書評以上のものは見当たりません;

『ドン・キホーテ』セルバンテス 集大成の訳と、成長中の訳 野谷文昭さん
[掲載]2007年10月26日 朝日新聞 朝刊掲載


−−− 牛島訳の後に出た荻内勝之の翻訳は、大きく性格が異なっている。ロマン派的読みは原作を歪曲(わいきょく)しており、本来の滑稽本として読むべきだという主張があるが、荻内訳にはこの論が反映しているようだ。というのも、音読するとはっきりするのだが、スピードがあり、そのため主従らの会話が激しく衝突して笑いを誘うからだ。冗長さを避けるため、無くても分かるような言葉を省略し、講談のように文章を圧縮してある。これなら挫折せず最後まで読みきる読者も多いに違いない。


 キホーテやサンチョの名言をじっくり味わおうとするなら、黙読に向いた牛島訳を読むといい。読者は作者の声に耳を傾ける一方、頷(うなず)いたり呆(あき)れたりしながら二人の会話に参加したくなるだろう。荻内訳を読むと、読者は主従二人を自ら演じたくなるかもしれない。言葉に勢いがあるので、戯曲のように読むことができるからだ。


 牛島訳は日本における『ドン・キホーテ』研究と翻訳の集大成と言え、今後、スタンダードになるだろう。だが、作品は生きて成長し続ける。はからずもそのことを実証したのが、荻内訳ではないか。クラシック音楽の演奏が指揮者の解釈によって変化するように、文学の翻訳も訳者しだいで変化する。時代が変わり、読みに変化が起きたり、人々の言葉に変化が生じたりするとき、さらに新たな翻訳が生まれる可能性があることは、未来の読者にとってひとつの希望となるだろう。


山岡朋子さんのエッセイ WEBマガジン出版翻訳 エッセイ:翻訳の現場から−新訳ブームに思う 中にも 『古典の新訳』 についての考察がありますが、荻内さんの新訳はひとつの方向性を示すものと言えそう。当ブログのヘッダに記載の通り翻訳の定義は 「異なる言語間で文章を置き換えて表す技術」 と考えますが、 「文章」 を 「目あるいは点字で読む」 文字の集大成としてだけでなく、その文字の更に元となった発声言語まで拡げ、それが書かれた当時楽しまれていたであろうカタチまで考慮して 「置き換える」 のも間違いなく翻訳ですね。ただしコンベンショナルに「古典を読む (黙読する)」 のがお好きな方には、荻内新訳は原作の冒涜としか映らないかも知れません、それが良い悪いではなく、楽しみ方はひとそれぞれですから。シェイクスピアの作品なども (きっと) そうでしょう。以下、参考までドン・キホーテの 「朗読」 イベントを紹介しておきます。;


  • スペイン語は、音にして美しい言葉です。ドン・キホーテは相当の分量がありますが、このビデオで紹介されているのはそれを48時間かけ、様々な地域のスペイン語でリレー朗読する毎年恒例のイベントです。


最後に大事なことを; 出席確認は、人数確認・カード (多分名札用) の準備の関係から、6月28日 (月) 必着で以下方法にて;

  • ハガキなど郵送の場合:


          〒185−8502  国分寺市南1−7、東京経済大学
                       荻内勝之研究室 あて
  • Faxの場合:


          042−328−7774 東京経済大学
                         荻内勝之研究室 あて
  • 記載必要事項:


          ● 『7月11日同窓会出席の件』 と明記
          ● 出席者フルネーム(カード作成のため)
          ※ 住所・連絡先も書かれた方がよいでしょう。


ただし本来大学の同窓会ですから、言うまでもありませんが、それ特有のセレモニーなどに敬意を払うのは最低限のマナー。校歌斉唱に合わせて酔っ払って替え歌、なんてやっちゃいけません。(まさか)

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