遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

アフガニスタン: Malalai Joya マラライ・ジョヤさん関連記事の紹介 その3

このところ、一体アフガニスタン人のいのちを何だと思っているのかと言いたくなる事件が相次いでいます。アメリカ国内で例えば犯罪組織摘発やら大規模な逮捕の際、たったひとりでも市民が巻き添えになって射殺され時に、「まことに遺憾である、しかし正義の実現のためにはやむを得ないコストだ」 など発言しようものなら一体どうなるのか???


アフガニスタンのマラライ・ジョヤさんの著作 "A Woman Among Warlords" は身の回りの雑事に忙殺されまだ読み終えていませんが、マラライさんの命を賭した活動の源泉はご自身の体験とマラライさんを議会へ送ってくれた有権者の声を代弁しようと云う強い意志であると解します。最近 Defense Committee for Malalai Joya (DCMJ) کمیته دفاع از ملالی جویا に紹介された関連コメントは;

  • Joya condemns 'ridiculous' military strategy
    By Glyn Strong, The Independent, 15 February 2010


    Afghanistan's "most famous woman" has voiced deep scepticism about Operation Moshtarak's aims and its impact on Afghan civilians.


    "It is ridiculous," said Malalai Joya, an elected member of the Afghan parliament. "On the one hand they call on Mullah Omar to join the puppet regime. On another hand they launch this attack in which defenceless and poor people will be the prime victims. Like before, they will be killed in the Nato bombings and used as human shields by the Taliban. Helmand's people have suffered for years and thousands of innocent people have been killed so far."  (中略)


    "They have launched such offensives a number of times in the past, but each time after clearing the area, they leave it and [the] Taliban retake it. This is just a military manoeuvre and removal of Taliban is not the prime objective."  (中略)


    "Ordinary Afghan people say it was like a meeting of vultures coming together to discuss how to deal with the prey which is Afghanistan."  (以下略)
  • Why This War is About Women – and One in Particular
    by Glyn Strong, UKProgressive, 15 February 2010


    The Inter-Parliamentary Union’s Committee on the Human Rights of Parliamentarians holds its next session from 27 March to 01 April, in Bangkok. That will be its last chance to call for the reinstatement of suspended Afghan MP Malalai Joya whose term of office ends in September.


    Joya has been in an administrative wilderness since her expulsion in 2007, but has not been silent – and as news broke that NATO’s much-publicised Operation Moshtarek had already claimed the lives of 12 Afghan civilians, she repeated her claim that ‘defenceless and poor people’ would be its principal victims.  (以下略)


    相当分量のある記事ですが、今回は冒頭部分のみの紹介にとどめます。


大半の民間人の犠牲者は誤爆、すなわち空爆によるもの。これは何もアフガニスタンに限らず、イラクパレスチナ、旧くは太平洋戦争時の東京大空襲などでも同じ筈です。爆撃であろうが地上戦であろうが犠牲者・ご遺族にとって大して変わりはないと思いますが、トリガーを引く側からすると大違い; 地上戦の場合その凄惨な結果を嫌でも目の当たりにしますが、空爆、特に Drone と呼ばれる遠隔操作での無人機による爆撃の場合、何も見えない。これ、恐ろしいことです。正にTVゲーム感覚。おまけに地上戦で民間人が殺された場合は 『民間人虐殺』 と云う戦争犯罪であるが、空爆によるものは単なる 『遺憾な誤爆』 で済まされてしまう。その報道を度々見せられる側でも感覚がマヒしてしまいます。まめにメモを取らないものだから出典が示せませんが、以前読んだ記事中、誤爆による犠牲者のご親族が 「爆撃する側からは結果が見えないから罪悪感もないのだろう」 と云う主旨のことをおっしゃっていました。なお以前にも書きましたが、 『民間人虐殺』 に関していつも思い出すのはベトナム戦争時の ソンミ村虐殺事件 - Wikipedia です;

ソンミを振り返る / (2002年4月9日第1章掲載 5月6日、訳了)吉川 勇一さん翻訳


−−−今、過去の心痛む事件であるソンミを振り返えろうとすることは、決して憎しみをかきたてるためではなく、歴史上の忘れられぬ事件を理解するためであり、さらに重要なことは、世界がソンミのような出来事を二度と目にすることがないよう、警戒心を緩めぬため、そして平和のために祈り、闘うためなのである。


 このためにこそ、われわれは本書を読者に提供し、その平和と幸福を祈りたいと思う次第である。 (『はじめに』 より抜粋)


※ このパンフレット中、 『2. 戦慄の朝』 には相当ショッキングな写真が掲載されていますのでご注意。


TVゲーム感覚の蛮行では到底理解出来ないでしょう。1事件での犠牲者の数では今回の一連の誤爆とは比較にならないかも知れませんが、本質は同じ。ソンミしかり、ヒロシマしかり、ナガサキしかり、南京しかり、何も教訓として活かされていない。これでは亡くなられた方々がうかばれません。『正義のための戦争』 などと云う矛盾した実態の無いコトバに踊らされて、ある程度の犠牲は止む無し、と変に納得してしまうことがその最大の原因では。アメリカがNATOやYESマンだらけの国連を恫喝・説き伏せて行う戦争に正義など存在しません。覇権のためだけ。世界の流れは確かに覇権の多極化の方向かも知れませんが、今日現在の現実を見る限りブレーキがかかっている様な気がします。


もうひとつ、アメリカの思い上がりに関して "Why do American officials think they have the special ability to teach Afghans to embark on good governance in their country if we can't do it in Washington? " と云う愉快な? 副題の記事を紹介します;


http://www.alternet.org/world/145756/what_makes_us_think_we_can_help_%22govern%22_afghanistan?page=entire
Tomdispatch.com / By Tom Engelhardt, AlterNet
February 21, 2010


アメリカの覇権外交こそが世界の不安定さの最大の原因であり、核廃絶や世界平和を妨げるものと思います。アメリカを牛耳る 魑魅魍魎 に担がれた軽くて明るいオバマでは変えられない。せめて全ての戦争から手を引いてくれるだけでよいのですが−−−