遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

ホンジュラス外務大臣 (経由 ホンジュラス大統領) の国連演説紹介

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090929-OYT1T00992.htm
携帯で国連演説、ホンジュラス大統領に拍手も
(2009年9月29日19時47分 読売新聞)



【ニューヨーク=吉形祐司】「人々の声が封殺され、深刻な犯罪が行われている」――。クーデターで政権を奪われた中米ホンジュラスのセラヤ大統領が28日、携帯電話を通して国連総会に訴えかける一幕があった。


 国連総会は6月末、クーデター非難決議を全会一致で採択しており、セラヤ大統領が「国連に法の支配を回復してもらいたい」と訴えると、中南米諸国の代表団は総立ちで拍手を送った。


中米ホンジュラスは現在、アメリカ軍の関与が疑われるクーデターによりいったん国を追われた大統領が帰国後在ホンジュラスのブラジル大使館の保護下にある、異常事態にあります。そのアメリカは知らん顔、国連総会中であるにもかかわらずおよそ 『変革』 とは程遠い旧態依然たる体質をむき出しにする醜態をさらしています。国連の今後を暗示する出来ごと、と私は考えています。これに対して 安保理 (ウィキペディア) の対応は;

http://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009092600058
大使館威嚇で暫定政権を非難ホンジュラス大統領の避難先−安保理
(2009/09/26-06:02) 時事ドットコム


 【ニューヨーク時事】国連安保理は25日、クーデターで国外追放されたホンジュラスのセラヤ大統領が帰国後、ブラジル大使館に避難している問題に関し非公式会合を開き、ホンジュラス暫定政権による「大使館に対する威嚇行為を非難」する報道機関向け声明を出した。

安保理決議以上にふざけた対応です。クーデターに対しては何ら拘束力のある対応無し。そりゃそうです、親玉であるアメリカが関与していますから。安保理が今回出したのは報道機関向け報道です。この意味がわかりますか? 拘束力が無いのですよ; 国際連合安全保障理事会決議 (ウィキペディア) によると、「−−−一般に、安全保障理事会決議は、法的拘束力を持っているとされているが国際連合憲章においては、安全保障理事会が決定 (decide) した場合のみに法的拘束力をもつ(国際連合憲章25条)。そのため、議長声明、公式コミュニケ、非公式となるプレスステートメントの順で拘束力が弱く (以下略)」

以下、声明より抜粋;

25 September 2009 – The Security Council today stressed the need to ensure the security of the Brazilian Embassy in Tegucigalpa, where ousted Honduran President Jose Manuel Zelaya has taken shelter since his return to the country earlier this week. (以下略)


何のための国連ですか、誰のための国連ですか。今回の演説の中でもかなり激しい批判があったのは当然。


歩ンジュラスでのクーデターに関する簡単な経緯については ホンジュラスの政変 (Yahooトピックス) 参照。


クーデターに関しては少なくともベネズエラキューバが演説の中で非難しておりますが、9月28日大統領に代わって演壇に立ったパトリシア・ロダス外相が携帯電話で大統領の肉声を伝える前代未聞の事態に。おまけにホンジュラスの演説は元々26日(土)に予定されていたのが、何の説明もなく28日(月)に延期された経緯がある様です。

General Debate of the 64th Session (2009) Honduras H.E. Ms. Patricia Isabel Rodas Baca, Minister for Foreign Affairs


英語での吹き替え ※何故原語のものが無い????
※演説の全文はHPにアップされておらず


Radio ONU Manuel Zelaya y Patricia Rodas 28 septiembre 2009  全演説?の音声


このサイト、何かおかしいと云うか失礼ですね。(疑い出すとキリがないし馬鹿馬鹿しいのでもう言いませんが) 上掲国連ラジオの音声でも聴けますが、セラヤ大統領が携帯電話で話した内容を以下記載します。(よく聞き取れない箇所アリ) 出典:http://www.cubadebate.cu/noticias/2009/09/29/zelaya-hablo-via-celular-en-la-onu/ 先日チリの911として紹介しましたアジェンデ大統領を思い出させますから、ぞっとしますね;


出典:http://www.un.org/ga/64/generaldebate/HN.shtml

Muchas gracias, muchas gracias, saludo a las Naciones Unidas (Aplausos en la sala de la asamblea general).


Los que tenían alguna duda de que aquí se está instalando una dictadura, ahora con todo lo que ha pasado en 93 días de represión, creo que están despejadas esas dudas.


En Honduras se ha instalado además de un golpe de Estado, una dictadura fascista que ha suprimido las libertades de los hondureños y reprime violentamente al pueblo hondureño.


Hoy los últimos dos medios de comunicación, una radio a nivel nacional, Radio Globo, y una televisora a nivel nacional, Canal 36, los únicos dos medios de comunicación opositores a la dictadura, han sido canceladas su frecuencias, han sido invadidas sus oficinas, han sido decomisados sus equipos de transmisión.


Y por cierto, se comete un grave crimen al callar la voz del pueblo, al callar y poner en silencio a un pueblo que está siendo reprimido.


Solicito a Naciones Unidas cooperación para recobrar el Estado de derecho y la libertad que merecen los hondureños.


Solicito a las Naciones Unidas apoyo para que se mantenga una posición firme de parte de las naciones civilizadas del mundo en contra de la fuerza y de la barbarie.


Solicito también a Naciones Unidas que nos dé garantías para nuestra propia integridad personal y la vida de las personas que estamos siendo acechados con gases químicos y con interferencia electrónica en esta sede diplomática de la hermana república de Brasil, que demuestra con mucho valor el presidente Lula su interés por sostener la democracia y por luchar en contra de los golpes de Estado.


Solicito a Naciones Unidas su apoyo para revertir este golpe de Estado y para que la democracia sea realmente un bien universal para todas las sociedades civilizadas del mundo.


Buenas tardes, saludos a los delegados de Naciones Unidas, a su presidente y a la canciller de honduras, buenas tardes. (Aplausos de pie en la sala de la Asamblea general de la ONU).


ホンジュラスの国土は;


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Honduras_Topography.png


なおホンジュラスの政治動向およびこのクーデターに関し、 ホンジュラス (ウィキペディア) から以下引用します;

政治


大統領を元首とする共和制国家であり、行政権は大統領に属する。大統領の任期は4年で、再選は禁止されている。立法権一院制の議会に属し、議員定数は128人である。司法権最高裁判所に属している。現行憲法は1982年憲法である。


保守的な国民性で、コスタリカ程ではないものの中米では比較的安定した国家であり、1970年代から1980年代の中米紛争の最中にも、エル・サルバドル内戦、グアテマラ内戦、ニカラグア内戦のように悲惨な内戦を起こす事はなかった。


自由党と国民党の二大政党制が二十世紀初頭から続いており、長い軍事政権の歴史もあるものの、基本的に現在もこの構図は変わっていない。


2009年軍事クーデター


中道左派マヌエル・セラヤ大統領は政権延長・終身大統領を狙って、憲法改正のための国民投票を6月28日に実施する予定だった。これに対して国会と最高裁判所国民投票違憲だとして大統領と対立した。6月24日には、ロメオ・バスケス統合参謀本部議長を更迭し、エドガルド・メヒア将軍を後任とした大統領令を出すが、翌25日にこれに抗議してアンヘルエドムンド・オレジャナ国防大臣も辞表を提出。数時間後に更迭は無効と最高裁判所からの宣告がなされ、対立が高まった。そして、国民投票が実施される当日、投票が始まる1時間前になって、最高裁判所が出した大統領逮捕令にしたがって、軍部がクーデターを起こし、セラヤは大統領官邸で拘束の上コスタリカへ移送され、ニカラグアに事実上亡命した。尚大統領夫人は、移送されず国内に留まっている。 28日午後、セラヤと同じ自由党に所属するロベルト・ミチェレッティ国会議長が暫定大統領に就任した。任期は2010年1月27日まで。 7月5日、セラヤはミゲル・デスコト国連総会議長(元ニカラグア外務大臣)を伴い、ベネズエラより飛行機による帰国を試みるも、テグシガルパ国際空港は軍により閉鎖されており帰国は阻止された。しかし9月21日にセラヤは強行帰国に成功し、首都テグシガルパのブラジル大使館内に留まっている。


国会、裁判所を含むクーデター派は、セラヤが左傾化を進めていることに反対してきた富裕層などの支持を得ているとされる。


何故アメリカが関与しているか、については、上掲最後の文で明らか。恐らくオバマに説明なく軍部 (国防省) が勝手にやったことでしょうが、オバマにはアメリカの国家元首として説明責任がある。


オバマの唯一のメリットは、新しい大統領でありその能力は未知数であるが、何かを変えてくれそうだ、との期待を持てること。ただし馬鹿なアメリカ人やアメリカ信奉者が誤解せぬ様、また自惚れぬ様一応クギを刺しますと、期待されているのは何かをしてくれ、との物乞いではありません。むしろ、xxをやめてくれ、と云うこと。例えば; 今回の演説でも前大統領は相当こきおろされていますが、911をきっかけにアメリカの一方的な覇権を正当化したうえで世界中に介入して行っている侵略・殺戮行為を止めてくれ、国連の私物化を止めてくれ、内政干渉を止めてくれ、宗教や民族、社会体制に対する偏見を止めてくれ、イスラエルのための拒否権行使はいい加減止めてくれ、等々。アメリカが手を引くだけで解決する問題は沢山あるのです。


国連に関しては−−− 安保理も含め、そのあり方が問われています。第二次大戦戦勝国の既得権を守るだけの組織となり下がっていることは、特に 「南側」 からよく見えるのです。今回の出し物である 『核の無い世界』 は正に絵に描いた餅ですし、世界平和には何ら貢献しません。また安保理は誰の安全を保障するの? アメリカにとって都合の良い暴力行為 --- ホンジュラスのクーデターがよい例 --- に対しては拘束力の無い声明でお茶を濁している様では、結局アメリカの国益を守るだけの道具に過ぎない。


その意味で現行の枠内での国連で注目すべきは、 拒否権 (ウィキペディア) を持つ 常任理事国 (ウィキペディア) であり、他常任理事国とは異なる社会・経済体制で世界の名実共にスーパーパワーとなった中国ですね。アメリカによる国連の私物化に少しでも歯止めをかけてくれるかも知れない。象徴的な記事を見つけましたので以下紹介;

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091002-00000599-san-int
イランをかばう中国 イラン核開発問題
10月2日20時50分配信 産経新聞


 【ワシントン=古森義久】イランの核開発をめぐる安保理常任理事国など6カ国とイランの協議で、イランが一定の“協力姿勢”を見せたが、米国の政府や議会の内外では、国連の対応でカギを握る中国がイランとのきずなを強め、イランへの制裁強化などの措置に同意しない見通しへの懸念が深まっていることが明らかとなった。 (中略)


 ニューヨーク・タイムズワシントン・ポストも9月30日にこの中国とイランの結びつきが米国主導のイラン核開発阻止作業を骨抜きにする可能性を報道した。 (中略)


 同委員会筋によると、中国は国連安保理での対イラン経済制裁審議でも少なくとも3回、微妙な形で制裁の内容を弱める行動をとったという。同筋はこんごオバマ大統領がIAEA国際原子力機関)による査察受け入れ期限を2週間に切ったことで、米国や英仏両国などの対イラン姿勢はさらに硬化することが予想されるが、中国が抑制の措置に出ることは確実だろうとしている。


お気付きですか? 国連の対応 = アメリカの対応、オバマ大統領はIAEAの査察に関して指揮権を持つ様に読めませんか? 国連 = 米国の政府や議会なの? アメリカは本当に傲慢で身勝手な国です。中国もそうかも知れませんが、国連が改革される見込みがゼロであれば、毒をもって毒を制す (中国には失礼ですが) 的な方法に期待するしかありません。鳩山? 今回全く存在感はありませんでしたね。まあ、全体が茶番劇でしたから構いませんけど。アメリカにブレーキかけられるだけの "cojones" は持ち合わせていなさそう。(そう言われたくなければ、行動で示して欲しいですね)


さてホンジュラスの訴えはどこまで届くのか。行われたのは単なる演説ではありません。