遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

私の大好きなフラメンコのこと その5: ふたたび エル・ボリーコ

先日も紹介した唄い手 Gregorio Fernandez "El Borrico" とは一度だけお会いしたことが。

1979年か80年、ヘレス郊外のペーニャ(フラメンコの同好会の様なもの、地元のファンの集まりですかね)  "Los Cabales" でのことでした。タクシーを飛ばして到着、お店へ入ったところで、組んだ手を杖に乗せてボリーコご本人が周りを圧倒する威厳と共に座っておられましたっけ。

その日のイベントは確か 『3人あわせて210歳』 ってなタイトルで、ボリーコと男性ひとり、女性ひとりでしたが、ボリーコ以外の唄い手のお名前がおもいだせない。伴奏は Pedro Carrasco だったか?

3人ともご高齢であり、狭い会場とはいえマイク無しのため空調類を全て止めて3人の唄が始まりましたが、豊かな声量と、外見からは想像出来ない(失礼!)、聴いている者を柔らかく包み込む様な包容力のある声でボリーコが唄った何曲かを目の前で聴けたのは本当にラッキーでした。その時に感じたことを表せるだけの能力は私にはありません。なお他のお二人の唄も素晴らしかったのですが、いかんせん息が続かず、1〜2曲で精一杯でした。


題名=TIO BORRICO QUE QUITABA EL SENTIO

音が割れていますが、唄の雰囲気を感じて頂ければ。

ボリーコの向かって左隣りは誰だかわかりませんが、更にその左の3人は多分アグヘータ一家、伴奏のマヌエル・モラオの右は弟のホアン・モラオの様ですね。


また、リクエストによる埋め込み無効ですが、下記は一見の価値アリです;


http://www.youtube.com/watch?v=uaCkO4WuX0k

この動画ではボリーコの踊りだけではなく、 Tia Juana la del Pipa の踊りも見られます。特に後者については、ジプシーのフラメンコ一家の中で育ち、誰に教わった訳では無い、自分の中から湧き出る愛嬌と独創性に溢れるフラメンコらしい踊りを披露しています。彼女の踊りは他の幾つかのサイトでも見られますが、私は上記サイトのものが多分いちばん彼女らしいとおもいます。可愛らしいって思いません?


経歴や評価などは以下参照頂ければ;(スペイン語の教材ってことで)

https://www.flamenco-world.com/tienda/autor/tia-juana-la-del-pipa/199/


フラメンコは、舞台芸術としてのそれだけが全てではありません。元々は、たのしみの少なかった時代、ジプシーを中心とする地元の愛好家が集まって楽しむ、逆説的ではあるが非常に高度な娯楽の中から名人上手が現れて職業化して発展してきた経緯がある。

フラメンコだけがスペインの音楽では無いのは事実ですが、でもこれだけ世界中に認知された民族音楽は他にありませんネ。


そういえば、日本にもペーニャがありますので、興味のある向きは是非訪問・参加を;

La Penya Flamenca de Tokio

url = http://f57.aaa.livedoor.jp/~flamenco/