遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

2011年東北地方太平洋沖地震 その71: 原発および放射線の安全性? と危険性を巡る議論

気になる記事;


ネット上に反原発“バイブル”拡散 専門家「不安あおっているだけ」
  産経新聞 5月4日(水)22時22分配信


  −−− 文書のタイトルは「原発がどんなものか知ってほしい」。昭和40〜60年代に一級配管技能士として原発で勤務経験があり、各地の原発運転差し止め訴訟にもかかわった故・平井憲夫さん(平成9年死去)が行った講演を市民団体がまとめた。A4版23枚、約2万字にも及ぶ。7年の出版後、少なくとも12年ごろにはネット上に流出したという。

  文書は20章から成り、いずれも原発の危険性を誇張した内容が目立つ。事実と異なる情報も多く、《素人が造る原発》という章では「事故の怖さを知らない全くの素人を経験不問という形で募集している」と記述。《放射能垂れ流しの海》との章では「海に放射能を含んだ水が何十トンも流れてしまうのです。(中略)日本列島で取れる海で、安心して食べられる魚はほとんどありません」との内容になっている。 (中略)


   ネット情報に詳しい京都大大学院情報学研究科の山本祐輔特定助教(社会情報学)は「放射能に敏感で専門知識には乏しいネット利用者の場合、『原発は危ない』という表層的な情報に飛びついてしまう。自分はその情報を知っているという優越感からブログに転載し、連鎖していく」と話す。

  事故後、福島第1原発の周辺で調査を行い、冷静な対応を呼びかけている札幌医科大の高田純教授(放射線防護学)は「今回の文書のように、いたずらに不安をあおる不正確な情報が出回ることは原発の推進、反対のどちらにとっても迷惑な話。マスコミが政府の発表内容をしっかりと検証した上で報道し、正しい情報・知識を国民に伝えてほしい」と話している。 (記事終わり、引用終わり)

原発がどんなものか知ってほしい(全) / 平井憲夫


  同目次および平井さん紹介

何を今更、の感がありますね。皆各々の立場で主張をしますから、当然誇張も事実誤認も、意図的にある情報を強調あるいは無視することもあるでしょう。何をもって 「正しい知識」 と呼ぶのかは議論のあるところ。目くそ鼻くそを笑うと云うことかも知れませんが、今回の一連の政府や専門家のセンセイ達の 「親原発」 あるいは 「反原発批判」 の発表やらコメントはどうなの? 全く同じことが言えませんか?? むしろ今までが、 「いたずらに安全・安心を植え付ける不正確な情報が出回」 っていた、と言えませんか?? 「いたずらに不安をあおるな」 と言いますが、事故発生後間もなく丸2ヶ月が経とうとしているにもかかわらずいまだに正確な状況が把握出来ず的確な対策も出来ていないと云う、厳然たる事実があります。放射能が人体や環境に与える影響については海外でも激しい議論がありますし、まだ発生の可能性が無くなった訳ではない (と私は認識する) 再臨界についてだって、その正確なメカニズムは未解明。


このセンセイから頂いている 『放射能に敏感で専門知識には乏しいネット利用者』 と云う評価に対しては、 『専門知識が豊富であると思い込み、放射能にも鈍感な御用学者』 と云う評価を返しておきましょうか。また、 『自分はその情報を知っているという優越感からブログに転載』 とのステレオタイプ的な観方に対しては、 『専門家が象牙の塔にこもり、あるいは専門家であると云う優越感からまともな説明責任を果たさないから、シロートである我々がネットと云う非常に有効な手段に訴え抵抗している』 面もあることを申し添えましょうか。 生活のためだろうからある程度は目をつぶりますが、多分政府に代わって 「冷静な対応」 を呼びかけるこのお利口さんなセンセイ達には猛省を促したい。不安を煽っているのは、他ならぬこの輩。


よくわかる原子力 原子力教育を考える会

   放射線の健康影響


原子力資料情報室(CNIC) | 原発のない世界をつくろう。たしかな情報と市民のちからで。

   被曝・放射線 の記事リスト

専門家を自認するセンセイ達には、以下のコトバを贈っておきましょう。私はこれが今回の事故に関する最も的確な認識と思いますので;


福島第1原発 原爆とは違うと思っていたが…広島の被爆者
  毎日新聞 5月4日(水)20時36分配信


  −−−広島の被爆者で福島大名誉教授の星埜惇(ほしの・あつし)さん(83)は、(中略)東京電力、政府、原子力安全・保安院には非常に腹が立ちます。安全管理が信じられないほど安易ですよ、事故後の対応を含めて。人間の命を守るのだという真剣な気概が感じられない」と憤る。「今回の原発事故を教訓に、エネルギー政策のあり方、私たちの生活のあり方を見直さなければならないと思います」 (記事終わり、引用終わり)

私の様な 『シロート』 が求めるのは必ずしも専門知識ではありません。自分が恩恵を受けている原発が安全に運用されているなら、別にブラックボックスでも構わない。でも、わからないなりに、従って効率が悪く余計な時間やエネルギーを費やしてでもそれを求めざるを得ない状況がある、言い換えれば現在進行中の事故を機に 『専門家』 さえ信用出来なくなった、と云うこと。政府やお役所なんてハナっから信用していませんがね。


本当に 『専門家』 なら、現在進行中の問題を解決して見せて欲しい。それが出来ないなら、偉そうなコメントは控えるべきです。私の主張は私のアタマの中同様に単純: 地震やら自然災害の巣である日本では、原発は手に負えないシロモノだから、依存度を減らすかゼロにしましょう、と云うこと。


なおこのブログのキーワードのひとつである 「翻訳」 も、専門家気取りの 「井の中の日本蛙」 を踏みつぶせるひとつの手段と思います。 (本物の蛙さん、ごめんなさい)