遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

翻訳家 山岡朋子さん その56: 南米エクアドルのこと その2  多様性について

南米のどの国も地理・気候・人種・文化など多様性に富むと云えると思いますが、エクアドル *1 の場合はそれが比較的小さな国土 -- 28万平方キロ、日本が約38万平方キロですから日本より小さい -- に詰まっている、即ち単位面積当たりの多様性が大きい、言い換えると 多様性の密度が高い と云うのが本当の特徴ですね。観光客の多数は本土ではなくガラパゴスへ直行する様ですが、自然環境を保存する意味からはあまり好ましくないことは明らか。 (先日モアイのある島でトラブルがありましたよね) 講演者でいらっしゃる上智大学教授・同大イベロアメリカ研究所所長の堀坂浩太郎さんもおっしゃっていましたが、少ない日数で南米を代表する様々な顔が見られるメリットがありそう。たかだか1週間程度の休みが 『大型連休』 と呼ばれる様な、長期の休みが取れない日本の勤め人にとっては絶好の穴場かも知れません。治安も悪くはなさそうですし。私も私生活のごたごたがひと段落したら訪問しようと考えている国のひとつです。


参考:  http://www.surtrek.jp/index.html スールトレック社、日本語

     http://www.ecuador.travel/  西語
     (英語は http://www.ecuador.travel/en/

     ※上記のいずれとも私は面識も利害関係もありません。


在日エクアドル大使館HP より抜粋

 エクアドルは地理的には小さな国ですが、比類なく変化に満ちた地形、様々な気候に恵まれ、多様な植物系、鳥・野生生物にあふれる国です。

旅行者は一歩も国から出ることなく、ジャングル・熱帯雨林からアンデスの山岳地帯へ、太平洋岸にたどり着き、動植物の宝庫であるガラパゴス諸島まで、素晴らしい景色を楽しみながら一日のうちに横断することも可能です。 ガラパゴスを含めて1日はやや疑問?)



出典: http://yoyamada.com/ecuador-information/ecuador-map.html



出典: http://www.surtrek.jp/fotos/mapa-ecuador/MapaTuristicoEcuador.jpg
上の断面図はガラパゴスを詰め込む関係から、東西の縮尺は正しく反映されていません。西の海岸線からペルーとの国境までで一番長い距離は700km弱 (東京−広島くらい?)。なお最高標高6310mは、最高峰 Chimborazo (カタカナ表記はちょっと ---) 山。飛行機でのアンデス越えはスリルがありそう。


エクアドルの人種構成は、ウィキペディアによれば;

−−− 全人口は1983年年央推計で約1168万人、−−− エクアドルは非常に多様性に富んだ国である。2007年の時点では、国内で最も多い民族集団は 国民の67%を占める メスティーソ であり、二番目に多いのは 22%を占めるインディヘナ となり、 白人が12% を、 ムラートサンボ を含んだアフリカ系エクアドル人が8% を占める。また、特にイタリア、スペイン、アメリカ合衆国、カナダ、日本には出稼ぎエクアドル人のコミュニティがあり、2007年の時点で 約250万人のエクアドル人が海外で暮らしていると推測 されている。国民の多くはコスタやシエラに住み、オリエンテには国民の3-5%ほどしか居住していない。エクアドルの移民の出身地としてはスペイン、フランス、ドイツ、レバノンレバノンエクアドル人)などが挙げられる。


上記のうち、人口の22%を占めるインディヘナ (先住民) の居住状況は;


Pueblos del Ecuador / Peoples of Ecuador


で非常に興味深いのは、新憲法でうたわれている先住民の権利と、それを具現化する行政の実態です;

開発と権利のための行動センター
エクアドル憲法について(08/10/12)


前文では「良き生き方、sumak kawsayを達成するために、多様性と自然との調和に基づく市民の共存の新しい形を築き上げていく」ことが第一に掲げられています。
 Buen vivirが訴えるのは、他の人や自然を省みず、それらを押しのけて「よりよい生活」を求めるのではない、調和に基づく自然そして人間の共存と考えられます。
 第275条においても、開発はこの「良き生き方」の実現を保証するためと位置づけられ、「『良き生き方』は、人、コミュニティ、民族が、通文化性、多様性への尊重、自然との調和的共存に基づき、権利を享受し、責任を果たすことを必要とする」、と定められています。


先住民族の権利


 先住民族の権利については第56条から60条、及び先住民族の司法制度について第171条が定めています。こちらについてはまた後日検討したいと思います。


さすがに憲法 *2 のことですからあまりいい加減なコメントは出来ませんが、この国の高密度の多様性の特徴をよく表している筈。少し調べてからこの点考察出来れば。 (いつになるやらわかりませんが、つづく)

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