遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

来日中の台湾の李登輝元総統が、9月5日の講演で示された8つの提言について

中国が見守る中、講演などを目的とする私的旅行のため9月4日来日された台湾の 李登輝 元総統が9月5日日比谷公会堂にて行われた講演の要旨が報道されています;

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090905-00000582-san-int
李登輝講演】8つの提言要旨
9月5日21時29分配信 産経新聞



題名: Lee Teng-hui at the Hibiya Public Hall 熱烈歓迎 李登輝先生


当時の大日本帝国台湾で生まれてから太平洋戦争終戦まで日本人として日本の教育を受けられ、学徒出陣も経験された李登輝さんは、 坂本龍馬 のものとされる、国家体制の基本方針である 「船中八策」 --- に沿って 『私が若い皆さんに伝えたいこと』 として、現在の日本政治改革の要点と考えられるところをお話し頂いたもの。その全文は以下ブログに紹介されております;

日本李登輝友の会 │ 新しい日台交流にあなたの力を!


私は、8つの提言の全てに自分なりの明確な意見を持っている訳ではありませんので、その一部について考えを記しますと;


参照記事:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090906-00000047-san-int
李登輝氏 8提言の要旨 自虐外交から脱却を/9条放置は日本の衰退招く
9月6日4時31分配信 産経新聞


1、首相の、国民による直接投票での選出。

  • Skip(パス?)


2、社会の閉塞感を打ち破るため、中央集権体制を打破し転換する地域主体の発想が不可欠。

  • 賛成。


3、世界に誇る日本文化を背景に、教養を中心に教えていたのが、私の受けた戦前の日本の教育だった。今後の日本はその長所を思い起こし、戦後の米国式教育から、日本本来の教育に移行していくことが必要だ。

  • 常々感じている疑問は、日本は敗戦によって戦前の全てを否定してしまったが、それが本当に正しかったのか、と云う点。戦前の日本の教育もその後の教育もよくご存知の李登輝さんの言葉ですから重みがあります。直感的に、この提言は正しいとおもいます。教育に限らずですが。


4、現在の日本外交は、敗戦のトラウマによる自虐的、かつ自己否定的精神から抜け出せていない。反省も過ぎては自虐、卑屈になる。自虐、卑屈の精神では健全な外交は不可能で、世界中から嘲笑されるばかりだ。米国への無条件の服従や、中華人民共和国に頭を地に付けて拝礼するような外交は、世界2位の経済大国の地位を築き上げた日本にそぐわない。

  • 最後のフレーズ 「世界2位の経済大国の地位を築き上げた日本にそぐわない」 の部分を除いて、諸手をあげて賛成。世界の日本に対する評価はまさにこの通りですから−−−


5、戦勝国・米国が、日本を軍事大国にさせないために押し付けたのが、現在の日本国憲法だ。第9条は日本の再軍備を禁止している。そのため、日本は米国に安全保障を依存することになった。しかし、日本の自衛隊は米国にいいように使われているというのが実情ではないか。国家の根幹である憲法を放置していては、日本国家は遠からず、時代の動きに取り残され、衰退し始めるのではないか。

  • 諸手をあげて賛成!! 何も再軍備すべき、とは言っておらず、押し付けられたまま放置していることに対しての問題提起です。


6、民主党は、米国との間で率直な対話に基づく対等なパートナーシップを築くことを目指している。大いに評価されるべきだろう。今こそ日本は日米関係の重要性を前提にしつつ、日米同盟のあり方を考え直す必要がある。現在の日米同盟はあまりにも片務的ではないか。

  • 賛成。 ただし私はアメリカに対してぬぐいきれない不信感・嫌悪感がありますから、対米関係については少し違った立場かも。


7、日本の指導者は崩れつつある日台関係の再構築と強化に力を注いでほしい。

  • 中国への気兼ねはありますが、台湾と云う 「国」 は事実上日本のパートナーと認識しています。(IT製品も素晴らしいですよ。私は、チキータバナナより台湾バナナが好きですし?)


8、日本は莫大な個人金融資産を抱える。この資産が投資資金として市場にきちんと流れる道筋を作ることが重要だ。国民の「老後安心政策」を、政治家は明確に打ち出す必要がある。

  • 老後の不安を煽る --- 年金だけでは食べていけなくなりますよ、いやそれ以前に年金さえ出なくなりますよ --- ことで胡散臭い商売が成り立つ現状は確かに問題。ただし、 「この資産が投資資金として市場にきちんと流れる道筋を作る」 については、まっとうな投資が行われる市場が存在するか、と云う難点がある様な気はします。現在の世界恐慌は、アメリカの良く言えば金融工学・しかしてのそ実態は餓鬼どものの考えた虚の経済あるいはマネーゲームが破たんして、実の経済とそれを支える働く人たちのアシを引っ張っていると云うことである、と解します。投資である以上元本は保証されないのは当然ですが、投資先はねぇ。

先日紹介のマハティールさんもそうですが、李登輝さんもその評価は分かれている様ですね。私は、李登輝さんは現場を熟知した現実的な判断と行動をされる政治家、と評価しています。そうでなければ台湾の総統など務まる訳がない。戦前の日本教育について上述の様な発言が出来るのは、意外と現在は日本人ではないからかも知れませんね。


以下、9月5日の講演以外の参考資料紹介しておきます。私は謙虚に読んでみましたが;

http://sv3.inacs.jp/bn/?2002110053833453014802.3407
李登輝氏「日本人の精神」全文
台湾の水利事業に尽くした故八田與一氏 危機時代乗り切る指針
産経新聞 2002.11.19 朝刊 国際欄)

 台湾前総統の李登輝氏が十一月二十四日に慶応義塾大学の大学祭「三田祭」での講演を想定して準備した原稿の全文は次の通り。原文は李登輝氏が執筆した旧漢字かな遣いの日本語だった。(台北 河崎真澄)

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