遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

メキシコ、フラメンコ、女性の唄い手 −−− Cielito Lindo !!

【翻訳家 山岡朋子さん その44  『ルス、闇を照らす者』 : 邦題について】 を書くために翻訳書の訳者あとがき読んでいるうちに、以前から書こうと思っていた複数の別件との共通点にぶつかり、アタマの中で迷子になってしまいました。それらのキーワードは、山岡朋子さん(横山朋子さん)が暮らしていらっしゃったことのあるメキシコと、私の大好きなフラメンコ、特に女性の唄い手のこと。さてどれを軸に書いたものか途方に暮れてしまった次第。


まとまりなくなることは覚悟のうえで、順に紹介することとします。


私の大好きなフラメンコの唄い手の中には、華があるだけではなくこころに響くうたを唄う女性が相当数います。今でこそ多くの女性アーチストが活躍しておりますが、元々フラメンコの、特に唄の世界はマチスモ --- 男性優位あるいは女性軽視 --- 天国だった様です。それを変えたのがパストラ Pastora Mari'a Pavo'n Cruz 、芸名 La Ninya de los Peines とおもっています。1890年セビージャで生まれた生粋の Gitana (スペインジプシー)、8歳から人前で唄い、およそフラメンコの全ての形式を唄いこなすことが出来ただけではなく、 Bamberas の様な新しい形式を創作したり、流行歌や他国の唄もフラメンコに取り込んで、その全てに自分だけのしるしを刻印して唄った、稀有の怪物でした。幸いなことに数多くの録音が残っており、今でもその片鱗に触れることができるのは嬉しい限り。なおそれより前の世代にもいた筈の、彼女に勝るとも劣らない比類なき女性の唄い手たちについては当然録音など残っておりませんから、パストラの存在がベンチマークとなります。

  
若い頃             夫君であった唄い手 Pepe Pinto と


この恋多き、時代を先取りしていた偉大な Cantaora (女性のフラメンコの唄い手) については別の機会にもっと詳しく記すこととして、以下パストラがブレリアの形式に乗せて唄う Cielito Lindo (メキシコの第2国歌とも云えるほど世界的に有名な曲) をまず紹介します;



題名  La Niña de los Peines - Cielito lindo
伴奏  若き日の Melchor de Marchena


次に山岡朋子さん(横山朋子さん)が暮らしていらっしゃったことのある本家メキシコの、いかにも雰囲気のあるもの、および在りし日のパバロッティさんが若いエンリケ・イグレシアスと歌っているものを紹介しておきますね;



題名 Cielito Lindo (version los tres garcias)
   "Los tres García " は、有名なメキシコ映画の題名
   最後のオチもいいですね。
   これもおススメ; http://www.youtube.com/watch?v=EzL1rQdrQN8



題名 Enrique Iglesias & Luciano Pavarotti - Cielito Lindo
   2000年の録画?
   在りし日の三大テノールによるものもありますが。
   ⇒  http://www.youtube.com/watch?v=WXQ3KkPGXJU
      http://www.youtube.com/watch?v=QHWegNZt7fg&feature=related


う〜〜ん、パストラ版も、メヒコ版も、クラシック版も、皆素晴らしい!! 「無駄の無い声」であるオペラのベルカント唱法なんて通常全く興味が無いのですが、幾つか、特に三大テノールのもので好きな歌がありますね。


では、楽しく学べるスペイン語教材として、正調(?)と思われる Cielito Lindo の全歌詞を下記します。替え歌が山のようにありそうですが;


Cielito Lindo
Quirino Mendoza y Cortez


jaro que abandona
cielito lindo
su primer nido,
vuelve y lo halla ocupado
cielito lindo
y muy merecido.


¡Ay, ay, ay, ay!
canta y no llores,
porque cantando se alegran
cielito lindo
los corazones.


Ese lunar que tienes
cielito lindo
junto a la boca,
no se lo des a nadie
cielito lindo
que a mí me toca.


¡Ay, ay, ay, ay! etc.


De la Sierra Morena
cielito lindo
vienen bajando,
un par de ojitos negros
cielito lindo
de contrabando.


¡Ay, ay, ay, ay! etc.


Una flecha en el aire
cielito lindo
lanzó Cupido,
y la tiró jugando
cielito lindo y a mí me ha herido.


¡Ay, ay, ay, ay! etc.


Todas las ilusiones
cielito lindo
que el amor fragua
son como las espumas
cielito lindo
que forma el agua.


¡Ay, ay, ay, ay!
suben y crecen
y con el mismo viento
cielito lindo
desaparecen.