遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

フィリピン 台風 ”Yolanda” (=台風30号、ハイエン、Haiyan) が大災害をもたらした理由 (シロートの推測)

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フィリピン政府・赤十字・米海兵隊・ボランティアなどの懸命の救援活動の中で被害全容は明らかになって行くでしょうが、何故犠牲者数1万人超と推測される大災害となったか? 世界が温暖化対策に消極的であるから自然災害が大型化し、台風30号は上陸した中では史上最強のものとなったから−−−では芸が無さ過ぎる。何の有効な災害対策も打てないでしょう。


今回相当数の報道を見ていて感じていることは; 前例の無い規模の暴風雨が主原因であるにしても、タクロバンの惨劇の最初の報告は、確か上空からあちこちに散乱するご遺体を確認したものであったこと、また幾つかの報道で 『まるでツナミの様であった』 とのコメントや説明があったことから、もし犠牲者が1万人近くであるならば、タクロバンを中心にサン・ファニコ海峡入江のレイテ島北東部・サマール島南西部を津波の様な高潮が襲い、多くの住民は逃げる間もなく飲み込まれて溺死したのではないか? と推測します。

【高潮】

    • 吹き寄せ効果


        また、台風や発達した低気圧の下で暴風が吹き荒れる天候下で、湾などの入り組んだ地形の湾口から湾奥部へと暴風が吹きこむと、海水が吹き寄せられて湾奥部で海水面がかさ増しされる。また、風波に伴う平均的質量輸送も海岸の水位を上昇させる。
        V字型の湾の場合、奥になるほど波が高くなる。また、湾の中でも水深が低い遠浅の湾の方が吹き寄せ効果は高くなる。高潮が陸地に押し寄せる方角と台風の風向きが同じ場合は、高潮の流速が暴風によって加速され、破壊力を増す。 豪雨により、陸地部分が浸水を起こすと、高潮の波高をさらに上昇させる要因にもなる。
    • 台風による高潮被害


        伊勢湾台風室戸台風、関東大水害、シーボルト台風など、台風による甚大な被害は高潮によるものも多い。高潮が発生すると海面が高くなり、陸地に海水が入り込む。その結果沿岸部の住宅や耕地が浸水したり、人が波にさらわれたりする。また、9月中旬は1年で最も潮位の高い時期であり、毎年のように全国各地で被害が出ている。
        日本でこれまでに観測された気象潮の最大値は、伊勢湾台風の時の3.45m(名古屋港)であり、上記の国々では更に高くなると思われる。また天文潮も加えた潮位では、同じく伊勢湾台風の時の3.89mが観測史上日本最大である。(引用者注 今回、海面が5メートル上昇した、と云う様な報道を見た記憶があります。)

    •  
      SLOSHモデルの試験運用画像(PD US NOAA)

【波群津波(段波状サーフビート) の可能性 ?】


 上掲の高潮だけでも説明は付くのかも知れませんし、レイテ島やサマール島周辺がサンゴ礁あるいはそれに類した地形なのかもわかりませんが、可能性として;

    • −−−伊勢湾台風での事例のように台風によって津波に匹敵する威力の高波が発生することもあるが、これはあくまで高潮であり、津波とは区別される。しかしながら、台風が原因の土砂崩れによる津波は、直接の要因が土砂崩れであるため津波となる。また、サンゴ礁が存在する海岸では高潮が津波の特性を持つことがあり、波群津波(段波状サーフビート)と呼ばれる。
      • 3) 長周期波


           1987 年の13 号台風により、沖縄本島南部の港川漁港で異常な水位上昇(DL+7.2m)が起こった。続いて1990 年21 号台風により久米島でDL + 9.0m、本島西岸一帯で5〜6mの水位上昇を記録した。これらの数値は、従来の海岸工学の知識では説明のつかないものであった。琉球大学の仲座らは、精力的に現地観測を続けることにより、これはサーフビートがリーフ水域との共振により強調されたもの(長周期波の一つ)で、一種の津波のような現象であることを見出し、「波群津波(段波状サーフビート)」となづけた。図−5はこの現象を模式的に示したもので、図中の破線が波群津波にあたる。仲座(1990)はリーフ上のサーフビートの算定式を提案しているが、これについては海岸工学講演会論文集の仲座の論文をご覧いただきたい。ここでは、1993 年の13 号台風襲来時に港川漁港で観測された波群津波の実態を見ていただくことにする。
         


 上掲論文に合わせ、港川漁港と1993年の台風13号を見ると;

【沖縄とフィリピンの共通項: フィリピン海プレート


  •  
     出典: GoogleMap 見難いのですが、青の吹き出しが港川漁協とタクロバン

今回は、台風そのものの大きさは勿論、幾つもの条件が重なって押し寄せた高潮 and/or 津波が被害を拡大させた様な気がします。


【蛇足: 熱帯低気圧に関する素朴なギモン】


 今回色々なサイトを見ていて気付いたギモン;


 生まれ育つ地域によって名前の異なる 熱帯低気圧 の経路図を見ると、熱低銀座のど真ん中に、丁度赤道をはさんで空白地域がある; つまりどれも通っていない様に見える。これ、作図の都合なのか、それとも実際に通らないのか? もし後者なら何故かな?

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