遊蕩爺の漂浪メモ

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山本美香さん: 長い取材旅行へ −−−

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「無事帰るんだよ」…都留の実家にカエルの置物 / 山本美香さん帰国 家族の願いかなわず
  2012年08月25日(土)、山梨日日新聞 みるじゃん


山本さんの足跡 映像に / 母校・桂高放送部が追悼ドキュメンタリー制作へ
  2012年08月24日(金)、山梨日日新聞 みるじゃん (記事冒頭のみ)


本学卒業生、ジャーナリスト山本美香さんを悼む
  2012年8月21日、公立大学法人 都留文科大学


<山本さん死亡>父「ようやく娘と会えた」…遺体、自宅に
  毎日新聞 8月25日(土)20時22分配信

  −−−警視庁によると、遺体は26日に司法解剖され、その後、山梨県都留市の実家に戻る予定。葬儀は28日、同市内で行われる。 (記事終わり、引用終わり)


<山本さん死亡>遺体が遺族と共に帰国 成田空港に
  毎日新聞 8月25日(土)11時25分配信

  −−−同僚として長年一緒に世界を取材してきた山本さんの活躍を振り返り、「よく頑張ったと思う。ジャーナリストとしてとても正義感が強く、熱血漢で、努力家だった」。声を詰まらせながら「彼女は長い取材旅行に行ったと思うようにしている」と語った。 / 警視庁は刑法の「国外犯規定」に基づき殺人容疑で捜査を始めており、同日午後、捜査本部のある荻窪署で遺体を検視する。遺体はその後、東京都杉並区にある山本さんの自宅に戻り、翌26日に司法解剖が行われる予定。 (記事終わり、引用終わり)



月刊ジュニアエラ JuniorAERA 9月号特集 『戦争に行くってどういうこと?』 の中に掲載された 『キミは人に銃を向けられるか?』 について、ネタばらしにならない範囲 (無理かな?) で紹介しておきます;

  • 戦争に行くってどういうこと? 特集
    • 韓国の徴兵制 (P12,13)
    • 世界の徴兵制 (P14,15)
    • キミは人に銃を向けられるか?
      • あるアメリカ兵の場合 他 (P17)
          この頁にフル装備の山本さん写真アリ
    • 昔、日本にも徴兵制があった (P18,19)
    • 日本に徴兵制はもう、ありえない? (P20,21)


さすがに朝日新聞社の雑誌だけあってそのカラーが前面に出ている様な気がしますが、山本さんの寄稿に関しては、大義名分の陰に隠れてしまうゲームの駒でしかない 「人」 に焦点を当てた山本さんカラーが良く出ている、と私は思います。与えられたテーマの中で、対象となる読者のことを考え抜かれた結果でしょう。


「銃は自分に向けられてしまった」 と云う点、考えて見れば、銃を向けて引き金を引いたたのも 「人」 ですから、ご本人は恨んでも後悔されてもいないでしょう。ご自身が被写体であった 「人」 として亡くなられた訳ですが、存在の次元が変わるだけで、相変わらずまた長い取材旅行に出られただけ、と考えるのもアリですね。だからそのアウトプットは、今までの様に黙っていて報道されることはない。我々が自分の中で問いかけてはじめて提供される筈。



−−− 戦闘員と云う名の 「人」 が殺し合い、非戦闘員やジャーナリストと云う名の 「人」 が巻き込まれて犠牲となる 「戦争」 を起こすのも回避するのも止めさせられるのも 「人」。戦争が人を狂わせる、と云うのは詭弁であって、「人」 が 「人」 を狂わせるのが戦争のひとつの本質でしょう。山本美香さんは、主に巻き込まれて犠牲となる非戦闘員を撮り続けそれを伝えることで、 「戦争」 へ容易に走り兼ねない 「人」 に警鐘を鳴らしていた、と解します。あるいは何故被写体を生みだしている 「戦争」 を止めさせないのか? と云う問いでもあったでしょう。日本人は太平洋戦争で学んだ筈ですが、それが活かされない・風化しつつある・他地域での戦争に無関心あるいは間接的に加担、の状況がありますので。


杞憂であって欲しいけれど、現在日本が置かれた、と云うより日本が自身を追い込んでいる状況は、容易に戦争に繋がり兼ねない。現在の日本憲法の下でも一般的にも、 「自衛」 のための 「戦い」 は当然の権利と解されますが、問題は、日本のみならず相手国も 「主権が侵された」 と主張していること。皆、自分は正しくて相手が間違っていると思い込んだら、行き着く先はひとつしかありません。


26日の司法解剖が終わったら多分葬儀とともに、あるいは別個に何らかのセレモニーが催されるでしょう。山本美香さんの 『新しい門出』 への手向けとして何がふさわしいのでしょう?