南米 ボリビアでの 『大地震』 : 続報・補足 ついでに 大深度地震のこと
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⇒ ペルー地震過去記事
⇒ 浦河地震過去記事
ボリビアでの 『大地震』 は大きな物的・人的被害も余震もなかった様子;
El sismo no tuvo réplicas
La Prensa - 24/11/2011 (ボリビア)
※ 上掲記事の題名はズバリ 「余震無し」。記事中ボリビアの過去の大地震3つが紹介されています;
- 9 de junio de 1994: 国内最大のマグニチュード8.6 (公式には8.2)、ただし震源の深さが600キロ超であったためか犠牲者数は10名程度?;
◆Magnitude 7 and Greater Earthquakes in 1994
◆Deaths from Earthquakes in 1994
◆先日紹介、 Wikipedia
※ 下掲 【大深度地震】 も参照。
- 6 de noviembre de 1995: M5.3、建物の倒壊多数であったがケガ人1名のみ。詳細な記録見当たらず。
- 22 de mayo de 1998: M4.2〜6.6の計10地震群ですが、震源の深さが24キロと比較的浅かったため死者・行方不明者少なくとも105名、ケガ人150人以上の、最悪の地震 (注:正確な人的被害はわからない様です);
◆1998 / Significant Earthquakes of the World 中程
◆M4.2, 6.6 Bolivian Series May 22-23, 1998 / Summary Report from the December 1998 Newsletter
【大深度地震】
正式? には 深発地震 と呼ばれる様ですね。
山賀 進のWeb site によると、 『−−− 地球中で一番深い地震が起こるのはトンガ・ケルマディック諸島付近で、最大700km程度のものも起きている。日本付近でも深い地震が起こるが、せいぜい600kmくらいまでである。ただ、深いといっても地球の半径6400kmとくらべれば、その1/9程度でしかない。 / 下の海底地形図で見ると、環太平洋地震帯やインドネシア方面は海溝になっている。この地帯は南米大陸西部をのぞけば、日本列島のような島々(弧状列島、島弧)が存在している。ここは上に書いたように震源の深い地震が起こる場所でもある (以下略、引用終わり)』 とのこと。
実際に日本付近で過去発生した地震を 地震の年表 / SKYWALKER 〜 素人地震研究所 でざっと見ると、順不同に; 宗谷地方北部 (1924年11月26日:300km)、宗谷東方沖 (1929年9月28日:489km)、上川地方中部 (2011年10月21日:196km)、上川地方北部 (1951年5月4日:261km)、北海道西方沖 (1938年10月18日:244km)、網走沖 (1940年7月4日:228km)、ウラジオストク付近 (1940年7月10日:585km)、北海道南西沖 (1981年5月9日:240km)、オホーツク海南部 (1930年3月11日:600km)、サハリン南部付近 (1990年5月12日:594km)、サハリン西方沖 (1939年4月21日:563km)、東海道南方沖 (1936年6月26日:397km)、小笠原諸島西方沖 (1940年3月9日:499km)、硫黄島近海 (1955年5月30日:600km)、鳥島近海 (1940年11月7日:500km)、日本海中部 (1993年1月19日:489km)、日本海北部 (1994年7月22日:552km)、日本海西部 (1925年5月27日:400km)、三重県南東沖 (1984年1月1日:388km)、京都府南部 (1952年5月28日:364km)、遠州灘 (1926年7月27日:345km)、長野県南部 (1954年5月15日:250km)、岐阜県飛騨 (1931年6月2日:256km)、薩摩半島西方沖 (1936年12月1日:311km)、沖縄本島北西沖 (2011年11月8日:217km)、奄美大島北西沖 (1953年12月1日:228km)、東シナ海 (1910年4月12日:200km) など、確かに最深600Km。なお発生地域名は気象庁の 地震情報で用いる震央地名(日本全体図) によるものと思われます。
世界の大深度地震については、最深記録はフィジーでの699Km;
出典: excerpt: Deep Earthquakes - Cambridge University Press
◆Earthquake Seismology: Deep Earthquakes (MS number 71)
by Heidi Houston, Dept. Earth and Space Sciences, University of Washington, Seattle, WA, USA
◆Magnitude 5.1 - FIJI REGION / 2011 November 24 10:23:49 UTC / Depth = 622.8 km (387.0 miles)
世界の、300キロ以深の地震帯については;
出典: Depth 300 km and greater / Earthquake Density Maps for the World
※ 以下参考地図では、紫色が300〜500キロ、赤色が500キロ超を示します;
◆Papua New Guinea Seismicity Map
※ フィジーについてはこの地図がありませんので、以下参考;
◆Historic Seismicity / Magnitude 5.1 FIJI REGION
これだけ深いところではプレート同士は接触していませんから軋轢はあり得ませんね。イメージとしては、マントルに引きこまれたプレート (スラブ) が高圧・高温で溶解せずにバリバリッと折れる (割れる?) と地震になるのかしら? 冷熱塊がぶつかるとか−−−
南米大陸の太平洋岸では、ナスカプレートが西側から南アメリカプレートに潜り込んでいますから、プレートによる地震の場合、内陸に向かう程震源が深くなります;
Seismicity of the Earth 1900–2007 / Nazca Plate and South America
◆Seismicity of the Earth 1900—2007, Nazca Plate and South America に掲載
出典: South America Seismicity Map
ってことは海岸線を持たないボリビアの場合、プレートによる地震の深度は概ね150キロ以上となりますから、マグニチュードが大きくても震度は小さい、つまり被害が発生しにくいと云えるのかも。
逆に太平洋岸にへばりついた? チリや南米太平洋岸の場合はチリ的に不利; プレートの潜りバナですから深度が浅いものが多く、直下型に近く被害も大きくなりがちと云えるのでは;
上掲1998年5月22日ボリビア地震や 先月末のペルー地震 の様に震源の浅い地震は例外として、南米内陸部で発生の地震は概ね震源が深いので、マグニチュードが大きくても必ずしも心配する必要は無い、と言えそう。