遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

女性の美しさ

私はテレビを見ない生活をしておりますのでニュースで初めて知りましたが、2010年12月22日フジテレビ放映 『ベストハウス123』 に出演されたイザベル・カロさんが亡くなられていたことが報道されています。番組の収録は11月6日都内のスタジオで行われたとのことですから、帰国後すぐに入院されていた様子;


「激やせ」仏元モデル死去=拒食症啓発ポスターが物議
  時事通信 12月30日(木)8時46分配信

  −−− カロさんは13歳で拒食症を発症。2007年にイタリアでの拒食症啓発キャンペーンポスターに極端に痩せたヌード姿をさらし、細身の体形が常識とされていたファッションモデル界に一石を投じた。


   AFP通信によると、当時カロさんは身長1メートル65センチ、体重はわずか32キロ。拒食症で死に至る危険性を訴える狙いだったが、あまりにもショッキングな写真のため、イタリアやフランスではポスターの掲載が禁止された。 (引用終わり)


French model known for anti-anorexia ads dies
  Wed Dec 29, 2:56 pm ET, GENEVA (AFP) via Yahoo! News


このポスター (の写真) はネット上で多数見られます。野次馬根性や怖いもの?見たさからではなく、イザベルさんの、文字通りいのちがけのアピールとして紹介しますと;


出典: 123people result


イザベルさんの拒食症は子どもの頃から家庭内の事情により始まったものとのこと。痛々しいけれど、元々とても綺麗な方と思います;


出典: Isabelle Caro : Regardez le mannequin anorexique qui avait choqué l'Europe annoncer une bonne nouvelle !
News publiée Le Lundi 8 Mars 2010 à 21:51


日本のテレビにも登場されたせいか、ウィキペディアにも記事がありました;


イザベル・カロ


記事中紹介されている番組 『プライス・オブ・ビューティー』 は日本でも2010年8月21日に放映されたとのことですが、YouTubeの下掲ビデオ中イザベルさんとのインタビューは、第1部の06:30あたりから第2部の00:30あたりまで。;



Title: Jessica Simpson's The Price of Beauty Episode 2 [Paris] Part 1



Title: The Price Of Beauty Episode 2-Paris Part 2


過去激太り等ゴシップの話題となった経験もある ジェシカ・シンプソン さんが大感激していますので、よほど共感されたのでしょう。一方、CBSでの紹介ビデオは;




Title: Anorexia's Living Face (CBS News) 2007年10月12日投稿のもの


l'anorexie ou la faim de vivre , faire le pas vers la guerison
   もう更新されることはない、ご本人のブログ。題名をネット翻訳して見ましたら; ”食欲不振やライブ、飢餓を癒しの歩”、従って 『拒食症あるいは空腹を生きる、癒しに向けて (いや、違うな。 西語にすると "anorexia o hambre vivo, dar el paso hacia la curación" みたいだから 「拒食症あるいはひどい空腹; 治療への道」 かな?)』 と言ったところ?


PETITE FILLE QUI NE VOULAIT PAS GROSSIR (LA) : MA BATAILLE CONTRE L'ANOREXIE (Mass Market Paperback), Amazon
   ご本人の著作


−−−
このニュースを見て真っ先に想い出したのが、 カーペンターズ 兄妹の カレン・カーペンター さんのこと。お兄さんである リチャード・カーペンター さんはまだ活躍中ですから、存命であれば円熟した曲を聴けたかなぁ、といつも思います。群を抜く美声の持ち主でしたから。カレンさんは拒食症の合併症による心停止のため32歳の若さで他界されました。長年の無理なダイエットも、治療過程での急激な体重増加も心臓に負担をかけてしまった、と云うことらしい。カレンさんの死は、拒食症などの摂食障害が社会的に認知されるきっかけとなりました。



出典: Medusa KAREN CARPENTER INTO THE SLIPSTREAM OF ANOREXIA & BULIMIA
当然左が、拒食症で痩せてしまったカレンさん。


イザベルさん並みの体型の女性は時々街中で見かけます。夏など肌の露出が増えますから特に目立ちます。病気でいらっしゃるのかご自身の生き方であるのかは勿論わかりませんが、見るからに痛々しい。日本では見なくなった飢餓を連想させますし。


極端なダイエットであれ、ご自身の生き方として選ぶのであれば他人がとやかく批判するには当たりません。オンナもオトコも他人の視線に晒されることで外見は磨かれるのも事実だし、 「デブ」 のコトバに悩んでしまったりイジメの対象になることも事実。そんな時に 「外見じゃない、中身だ」 なんてコトバは無力であり無責任でしょう。ただ、「周りの意見」 やら 「社会通念・常識」 ほど無責任なものは無いのも事実。特に 「美しさ」 なんて本来主観的なものですから、見る人によって皆異なる筈。女性の外見だけについてだって、オスが皆鳥ガラの様な女性が好きな訳ではない。太めと云うかふくよか・豊満な女性でなければ、と云うのも多い筈。 先日紹介ルーベンス描く女性は、イザベルさんの3倍はあるでしょう。絵とはいえあの女性は醜いでしょうか?カラダのパーツの形やら大小だって同じ。長くお付き合いして行く上では、外見は殆ど関係ないし。


異性 (同性でもよいが) の目を引きたいと云う願望は誰にでもあります。60になっても70になってもひたすらそれを追い求めるのもひとつの立派な生き方ですが、それが全てではありません。あるがままで、生活に支障が出ない範囲で体に気を遣うのが楽な生き方と云うのも正解。自宅の壁を壊さないと外に出られないほどの 「肥満」 は確かに問題ですが、体が食を受け付けなくなる程のダイエットも自殺行為でしょう。ヤセていても太めでも、みんな違ってみんないい。 「スリムなのが美しい」 なんてカネ目当ての陳腐なキャッチコピーに踊らされて体を壊すなんて、愚の骨頂。イザベルさんの拒食症は小さい頃から強いられた生活の結果ですからむしろ後遺症と呼ばれるべきでしょうが、敢えてご自身の体を晒し、いのちをもってそれを示したことになります。苦しみから解放されたでしょう、安らかに。