遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

イスラム最大のイベント: ハッジ

11月14日〜18日の日程で、イスラムの3大聖地のひとつマッカ (あと二つはマディナ・エルサレム) にて、ムスリムにとっての一大イベントであるハッジ (大巡礼) が始まっています。ニュースなどでも取り上げられることが多いでしょうから、簡単に紹介を;

【巡礼の一連の諸儀礼 概要】


ハッジ - Wikipedia に基づく日程。私の誤解・誤記などあったらご勘弁;


ハッジの類型イスラーム法学による3つの類型

  1. ウムラの儀式を演じた後、ハッジの儀式を行う
  2. ハッジの儀式を最初に執り行った後で、ウムラの儀式のためにイフラームを身に纏う
  3. ハッジ及びウムラの間イフラームを身に纏う


ウムラ (巡礼月以外でのメッカ巡礼)

  1. タワーフ (en:Tawaf) :カアバ神殿の周りを急ぎ足で4回、続いて3回ゆったりとしたペースで、反時計回りに回る。可能ならば各回ごとに黒石に接吻、もしくは手で触れる。
  2. サーイ (sa ‘y en:Sa'yee) :マスジド・アル・ハラーム内に今はあるサファーとマルワ (en:Al-Safa and Al-Marwah) の丘の間を7回駆け足で往復
  3. メディナへの巡礼:ハッジに求められている部分ではないにもかかわらず、ウムラの後にメディナ(マディーナ)の「預言者のモスク」を訪問。メディナ滞在後、大巡礼を始める準備のために、メッカに戻る。


  


ハッジ (巡礼月:ヒジュラ暦第十二月)

  1. 巡礼月の第8日(第1日目):イフラーム (男性用巡礼用の衣服。女性用特別着の規定は無し) を着用し、メッカから近くの町のミナ (en:Mina, Saudi Arabia) へ移動、その日の残りを費やす。
  2. 巡礼月の第9日(第2日目):朝ミナからアラファト山へ移動、日没までアラファト山の定められた区画内で過ごす。日没後アラファト山とミナの間にある地域のムズダリファ (en:Muzdalifah) へ移動、夜を過ごした後ミナへと戻る。(3日目の朝)
  3. 巡礼月の第10日(第3日目):最初に、ミナにある大きなジャムラー(壁)に向け7つの小石を投げる。その後一匹の動物が生贄になる (実際にはハッジ前に犠牲証を買い求める)。イフラームの制限から解放され、日中にメッカにあるマスジド・アル・ハラームを訪問し、晩にミナへと帰着する。
  4. 巡礼月の第11日(第4日目):昼間、ミナにある3つの壁全てに石を投げなければならない。
  5. 巡礼月の第12日(第5日目):昼間、ミナにある3つの壁全てに石を投げ、日没までにミナからメッカへ移動しなければならない。
  6. 例外−巡礼月の第13日(第6日目):12日目日没までにメッカへ移動できない場合、メッカに旅立つ前に再度、ミナにある3つの壁全てに石を投げなければならない。
  7. 締めくくり:メッカを立ち去る前に、”Tawaf al-Wada”(タワーフ・アル・ワダ。en:Tawaf#Types of Tawaf も参照)と呼ばれる別れのタワーフを演じる。


上記巡礼のルートを図示したものが;


  
   肉体的負担大。(巡礼ですから)


参考サイト

イスラームガイド イスラームの5つの柱

ハッジ(イスラムの巡礼) / JIIA -日本国際問題研究所


幾つかのサイトで、各儀礼の詳細やらライブ映像が見られます。幾つか挙げておきますと;


Hajj 2010 - Al Jazeera English (特集TOP)

   見やすい資料:時系列で各イベント資料へのリンクが貼られています;
  


Ministry of Hajj / Kingdom of Saudi Arabia

   ハッジに集う信者数は200万人〜300万人、それを支えるハッジ省のHP。ちなみにお正月三が日の明治神宮初詣客総数が300万人超。上掲の如く、ただ単に人混みに流されながら訪問してお賽銭投げて拝んで終わりではなく、5〜6日に渡る苦行としての性格もあって巡礼中に倒れたり亡くなる信者数も少なくはなく、また人混みゆえのリスク (将棋倒し、病気の感染など)、外国信者へのビザ発給・コントロールなどもありますから、大変な労力が必要。


BBC - Religions - Islam Hajj pilgrimage to Mecca


Saudi Arabia - Arab News TOP