遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

65回目の終戦記念日: 敗戦で失ったもの

本日は第65回目の終戦記念日 (正式名称は 「戦没者を追悼 *1 し平和を祈念する日」 ) 、恒例の 全国戦没者追悼式 が催されました;


上掲首相式辞はどうせココロにもないことの書かれた作文丸読みだろうから無視するとして、気になっているのが 『日韓併合100年を迎えての首相談話』 ;

内閣総理大臣談話 平成二十二年八月十日
首相官邸菅総理の演説・記者会見等

    • 元従軍慰安婦ら、日本政府に過去の清算促す
      8月9日17時56分配信 聯合ニュース


      −−− 元慰安婦らは9日に電子メールによる声明で、「日本の不当な圧力の下で締結された韓日強制併合は正当性の面でも国際法上でも認められないにもかかわらず、日本は違法条約であることを認めていない。100年前の強制併合は無効であることを宣言する」と表明した。 (以下略)


韓国では今日8月15日は大日本帝国からの解放を祝う 光復節 ですからタイミングとしては問題無いとしても、謝罪をすることの是非は疑問だし、何故韓国だけ? との不満が噴出することも想定されます。欧米の旧宗主国の様に何の反省も謝罪も補償も無いのも問題ではありますが。加えて、謝罪する以上、新たな補償要求に応じないのは、それでなくとも主体性が無く弱腰の日本にとっては無理では? 更に、日本の戦争賠償と戦後補償については、国交のないDPRKを除いて国際法上は全て決着済みの筈ですから、その事実との兼ね合いをどうするのか? 大日本帝国が統治・占領した範囲を自分の備忘のためにまとめてみましたら;


元の画像: 大日本帝国 (1889 〜 1947年) による統治・占領..PNG 直


元のExcelシート: 
 大日本帝国 (1889 〜 1947年) による統治・占領.xlsx 直
 大日本帝国 (1889 〜 1947年) による統治・占領.xls 直 (上と同じ)


抜け・漏れ・誤記などあったらご勘弁。


収拾がつかなくなりませんかね? また、対外的には非常に不可解な行動と映る筈ですが、どう説明するのか?


昨年の終戦記念日以来課した宿題である パール判事 の判決書・解説やら関連資料は、その量の膨大さのため引き続き宿題としますが、その発言から以下2つ紹介します。出典は 【パール博士「平和の宣言」】 *2


−−− 私はくり返して申しあげたい。戦争というものは平和への方法としては失敗であるということを。人類は長いあいだ”平和のための軍備””平和のための戦い”ということを口にしてきた。そしてそのことは一つとして成功しなかった。すべて失敗の連続であった。われわれはもはやふたたびこの失敗を重ねてはならない。 (1952年11月10日 立太子の日 法政大学における講演より抜粋)


この言葉は、発せられてから58年経った今でも色あせない。イラクしかり、アフガニスタンしかり。


−−− わたくしは1928年から45年までの18年間の歴史を2年8ヵ月かかってしらべた。とても普通では求められないような各方面の貴重な資料をあつめて研究した。この中には、おそらく日本人の知らなかった問題もある。それをわたくしは判決文の中につづった。このわたくしの歴史を読めば、欧米こそ憎むべきアジア侵略の調本人であるということがわかるはずだ。しかるに日本人の多くの知識人は、ほとんどそれを読んでいない。そして自分らの子弟に『日本は犯罪を犯したのだ』『日本は侵略の暴挙をあえてしたのだ』と教えている。満州事変から大東亜戦争勃発にいたる真実の歴史を、どうかわたくしの判決文をとおして充分研究していただきたい。日本の子弟がゆがめられた罪悪感を背負って、卑屈、頽廃にながれてゆくのを、わたくしは見すごして平然たるわけにはゆかない。 (1952年11月6日 広島高裁、弁護士会の歓迎会での挨拶より抜粋)


日本が戦争という手段を選んだことが誤りであることはパール博士も明言されていますし、それに反対する意見は稀でしょう。統治先住民やら戦争中の捕虜・非戦闘員への野蛮な行為は責められて然るべき、この点も異論は無いでしょう。一方で植民地支配の功罪については、これは議論がある。上掲図では大日本帝国消滅後の動きは当然記していませんが、その後のアジア独立への寄与と云う観点から好意的な意見があることも事実だし、民族としての屈辱を味わったと云う厳しい意見が多いのも事実。戦争責任に関しては、戦勝国による国際法を捻じ曲げた報復により断罪されましたが、では戦勝国の行ってきたこととの比較で著しく不公平ではないか? との疑問もある。被害だけを叫ぶ、と批判されるが、原爆投下はそのよい例。戦争の不条理さ。


でもその状況下日本は、国際法に則って戦争賠償と戦後補償を行いました。アフリカ・中南米・中近東・アジアなどを長年に渡って荒らし尽した欧米先進国などには理解すら出来ないでしょう。その原資は、 「天皇の臣民」 として戦争に駆り出され、家族を無くし、空襲を受け、かつ原爆投下を受けても生き残った敗戦国日本の国民の稼いだおカネであった筈です。勿論カネが全てではなく、今まで行ってきた公式の謝罪の上に今回更に謝罪と云う事ですから、これは理解しがたい。謝罪大安売り。 加えてその同じ政府が、原爆犠牲者の霊を慰める場で核兵器を肯定し、喜々として戦争に加担し、 「平和の誓い」 を英霊に捧げているのだから、これは救い様が無いとおもいますが。どこから狂ってしまったか?


日本は敗戦で多くを失いましたが、その後幸運なことに経済的繁栄は成し遂げました。しかし一方でそれは、アメリカ従属の報酬であった面もある。これから未曾有の不況に突入すると思われますが、アメリカと共倒れになるのがオチ。65年前の敗戦で、過去積み上げた全てを自ら考えることなく否定し捨て去り、国際社会の中で足元を見据え自己責任において行動することをして来なかったツケは必ず回って来ます。カネ以外でこの国が誇れるものは何か残ってますか??


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*1:追悼の対象は第二次世界大戦で戦死した旧大日本帝国軍人・軍属約230万人と、空襲や原子爆弾投下等で死亡した一般市民約80万人 (ウィキペディアより)

*2:ラダビノード パール (著), 田中 正明 (著),
出版社: 小学館; 復刊版 (2008/02)
ISBN-10: 4093877718, ISBN-13: 978-4093877718, 発売日: 2008/02