遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

『死の商人』 アメリカ その1: 東ティモール

まったく、アメリカは世界中で恫喝と挑発行為を行い、 「アメリカの」 戦争と紛争と暴力を 『売り歩いて』 いるとしか思えない;


まあこんなのはご愛敬として、心底ぞっとするのはインドネシア陸軍特殊部隊への軍事援助再開。アメリカはこの部隊への積極的な援助を通じて過去一体どれだけ人権侵害に加担して来たことか;

【基礎情報】

    • Kopassus - Wikipedia


      −−−Kopassus,( a portmanteau of "Komando Pasukan Khusus" or "Special Force Command") is an Indonesian Army special forces group that conducts special operations missions for the Indonesian government, such as direct action, unconventional warfare, sabotage, counter-insurgency, counter-terrorism, and intelligence gathering. Kopassus was founded on April 16, 1952.


      Kopassus is alleged by external media and human rights-affiliated NGOs to have committed violations of human rights in East Timor, Aceh, Papua and the capital Jakarta. Notably in the Western press, published articles even in mainstream media may include epithets such as "the notorious Kopassus"  (’以下略)
    • 東ティモールの観光業
      季刊・東ティモール No. 24, February 2007


      おまけ。コンベンショナルな観光インフラが未整備であることは必ずしもマイナスではないと思います。言い換えれば、文字通り手つかずの自然を満喫出来るから。その意味では年配者向けよりむしろ柔軟で体力のある若い人向け、ただし必ずしも観光やアドベンチャーがメインではなく快適なホテルが必須の? 新婚は除くってことになるのでは。 国民の間でさえ世代間で使用できる言語が異なっている (東ティモールの言語状況 - Wikipedia 参照) コトバの問題は筆談・絵/地図談? で何とかなるし、日本では出来ない苦労をするのも楽しみのひとつだし。治安については 東ティモール - ウィキトラベル に案内されている通り 「この地域への渡航、滞在にあたっては、日本の外務省から渡航の是非を検討するよう、危険情報が出されています。」 とのことですが、でもチョー安全と云われる地域で列車脱線に巻き込まれることだってありますよね?


【報道】

  • US Restores Ties With Indonesia’s Brutal Special Forces
    by Jason Ditz, July 22, 2010, ANTIWAR.COM


    −−−The Kopassus faced enormous international scrutiny over the brutality in East Timor, and other reports exist of human rights violations in West Papua and Jakarta. The Indonesian military in general and the special forces in particular are exempt from facing potential charges in civilian courts.


    Despite this, Secretary of Defense Robert Gates insists that the Kopassus are “sufficiently committed to human rights” to allow the US military to restore direct ties with the group.


    何故今、何のためにこの特殊部隊 "Kopassus" 支援を再開するのか? オバマのタワゴトにかかわらず危険視するイスラム対策?
    • US to resume ties with Indonesia's special forces
      By NINIEK KARMINI, Associated Press Writer Niniek Karmini, Associated Press Writer
      Yahoo, Thu Jul 22, 3:03 pm ET


      −−−Human Rights Watch strongly criticized the decision as undermining the slight progress that Indonesia's military has made and said in a statement that the United States was disregarding the problems that will persist in implementing reforms and accountability.


      "The Indonesian justice system rarely vigorously investigates or prosecutes anyone from the military, so forces like Kopassus will likely still be able to commit abuses with impunity and still meet the Obama administration's standards," said Sophie Richardson, Asia advocacy director at the U.S.-based human rights group. "It's hard to see the administration's decision as anything other than a victory for abusive militaries worldwide."


このブログで度々参照させて頂いている益岡賢さんは 益岡賢のページ で 「翻訳者をしています。現在、東京東チモール協会(東チモール全国協議会の構成団体)に所属していますが、あまり活動していません。1999年から、チモール・ロロサエ情報ページのお手伝いをしていましたが、こちらも休止中です。」 と記載されている様に、昔から東ティモールに注目されていたおひとりです。以下益岡さんの翻訳記事から紹介;

{http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/places.html#etimor:title=東チモールおよびインドネシア 記事一覧 / 益岡賢のページ]

  • 「対テロ戦争」の核心には「テロ」の馬鹿げた定義がある
    2006年1月30日 ジェームズ・ボバード / 「自由の未来基金」原文


    最近、米国の外交政策が批判された出来事があった。この出来事は、「対テロ戦争」のパラドクスを洞察するよう我々を導くものだった。2006年1月24日、東ティモールの受容真実和解委員会が、1975年のインドネシアによる東ティモール侵略の際、米国政府が侵略を支援したと批判したのである。侵略後の20年ほどの間に、インドネシアの侵入の結果、25万人もの東ティモール人住民が死亡した。同委員会は、「インドネシアの侵略と占領には」米国の「政治的・軍事的支援が必須のものだった」と述べている。


    インドネシアによる東ティモールの侵略と占領は、20世紀後半に起きた最も残忍な行為の一つだった。侵略の前日に、米国大統領ジェラルド・フォード国務長官ヘンリー・キッシンジャージャカルタインドネシアスハルト大統領と会談し、侵略を承認した。米国政府関係者が心配していたのは、どうやら、侵略の惨劇が始まる前に大統領と国務長官が米国に帰国することができるかどうかだったらしい。キッシンジャースハルトに、次のように語っている。「我々はあなたの問題そして迅速な行動の必要性を理解する。けれども、我々が帰国した後でことが行われるならばなおよいとだけ言っておきたい」。キッシンジャーは、努めてマクベス夫人をまねるかのように、スハルトに対し「何をするにしても速やかな成功が重要です」と言っている。


    インドネシアは、東ティモールを爆撃しレジスタンスを粉砕するために米国の兵器を用いた。インドネシア軍は、1999年、ついに東ティモールから撤退したが、撤退する前の最後の日々に、今一度、東ティモールを焼き払い殺人の饗宴を行なった。


    米国が後押しした東ティモール侵略により、この30年間に国際テロリストにより殺された人よりももっと多くの人々が殺された。米国国務省によると、1980年から2005年の間に、世界中で起きた国際テロ事件で殺された人の数は2万5000人よりも少ない。


    ブッシュ政権は、「対テロ戦争」の中で、テロリストを支援し幇助するものは誰であれテロリストとして有罪であると強調している。この基準に従うならば、アメリカ合衆国政府は、インドネシア東ティモールの人々にテロを加えることを助けた罪で有罪となる。米国が後押しした攻撃の犠牲となった東ティモールの人々は、テロ攻撃で犠牲となった米国の人々の1%にもはるか満たない注目しか受けていない。


    現在、アメリカ合衆国政府は、自国民にテロ攻撃を行っている多くの政権に資金援助を提供し武器を与えている。コロンビア、インドネシアウズベキスタントルクメニスタンなどである。『世界政策研究所』のフリダ・ベリガンは、米国国務省の『2002年人権状況各国報告書』には「現在米国の軍事訓練や武器の提供を受けていて、「ひどい」あるいは「きわめてひどい」人権記録を有している国が52カ国もリスト」されていると指摘している。  (中略)


    対テロ戦争」はすなわち自由のための戦争であるというブッシュ政権の主張の鍵となっているのは米国によるテロリズムの定義である。テロリズムの概念から「政府を除外する」ことがなければ、世界中のほとんどの場所で、テロリズムとの戦いは、自由を守ることとはほとんどあるいはまったく関係がないことがわかる。テロリズムのまっとうな定義に従えば、ブッシュの「自由を愛する連合」に参加している多くの政府が、自分たちが防止する以上のテロリズムを自分たち自身で行っている罪で有罪なのである。


    テロリズムの概念から「政府行為」を除外することは、殺人の規定から「大量殺人例外規定」を設けるようなものである。私的な市民が行えばテロリズムと見なされるあらゆる行為について、それを行うのが政府であってもテロリズムと見なされるべきである。アメリカ合衆国は、自国市民にテロを加える政府を支援し資金提供することで、世界から悪を追放するというブッシュの約束が茶番でしかなくなることを知らなくてはならない。


引用が長くなりましたが、特に上掲最後の記事は、ブッシュをオバマに読み替えた今でも完全に有効。アメリカは、過去アルゼンチンやチリをはじめとする軍政による国民への人権蹂躙行為にも直接・間接の別はあるものの常に積極的に関与しています。昔の「テロリスト」の定義は共産主義者、今の定義はそれに加えてムスリム全般およびアメリカの国益に反するもの全て、と云う変化はあるものの、アメリカの覇権外交政策は揺るぎ無く強固です。


さてインドネシアアメリカ同盟軍はこれから民間人を含め何人の「テロリスト」を殺すのか、言い換えればどの様な 「国家による犯罪」 を犯すのかよく見ておかなければなりません。その2 ではコソボに関する記事・論評を紹介予定。