オバマのイラン挑発: 戦争の可能性?
イラク開戦時と似た様な状況が生まれている様な気がします。2003年イラク戦争 (いわゆる第二次湾岸戦争) 開戦への経緯について イラク戦争 - Wikipedia から抜粋しますと;
- 1991年の湾岸戦争の後にイラクが受諾した停戦決議(決議687)においては、イラクは大量破壊兵器の不保持が義務づけられていた。この達成を確認する手段として、国連は「UNSCOM」(国際連合大量破壊兵器廃棄特別委員会)を設置し、イラクの兵器の保有状況、製造設備などを調査した。しかし、当初は比較的協力的であったイラク側は、UNSCOMの抜き打ち調査や、それを主導したスコット・リッター主任査察官がアメリカの諜報関係出身者であることや、調査にアメリカの意向が反映されたことに反発し[12]、UNSCOMの査察に協力的ではなくなり、偽装や査察妨害をしばしば行った。 (中略)
- 2001年に就任したジョージ・W・ブッシュ大統領は、就任直後から査察に対するイラクの非協力姿勢を問題にしていた。この頃からアメリカとイギリス国内でイラクに対する強硬派の主張が高まり始めた。 (中略)
- ブッシュ大統領は2002年初頭の一般教書演説において悪の枢軸発言を行い、イラク、イラン、北朝鮮は大量破壊兵器を保有するテロ国家であると名指しで非難した。特にイラクに対しては、長年要求し続けた軍縮の進展の遅さと、大量破壊兵器の拡散の危険を重視し、02年に入って政府関連施設などの査察を繰り返し要求した。 (中略)
- 2003年1月9日、UNMOVICのハンス・ブリクス委員長とIAEAのモハメド・エルバラダイ事務局長は安全保障理事会に調査結果の中間報告を行った。この中で、大量破壊兵器の決定的な証拠は発見されていないものの、昨年末に行われたイラク側の報告には「非常に多くの疑問点」があり、申告書には「矛盾」(#大量破壊兵器捜索を参照)があるとした。また、イラク側が国連ヘリコプターによる飛行禁止区域の査察を拒否するなど、査察非協力も明らかになった[15]1月16日には申告書に記載されていなかった化学兵器搭載可能なミサイル12基がUNMOVICによって発見された。このためアメリカとイギリスは、イラクが安保理決議1441に違反したものとして攻撃の準備を始めた。 (中略)
一方、かねてよりフセイン政権と対立していたイスラエルは、2002年4月にネタニヤフ元首相が訪米して「フセイン大統領は核兵器を開発中である」とその脅威を訴えたのを皮切りに、同年5月にペレス外相がCNNの取材に「サッダーム・フセインは(米同時多発テロ事件首謀者とされる)ビン=ラーディンと同じくらい危険」と答えた。シャロン首相も、イラクへの早期攻撃を求めた。
- 米英が主張した開戦事由は以下の通り。
- イラクは大量破壊兵器の保有を過去公言し、かつ現在もその保有の可能性が世界の安保環境を脅かしている
- 独裁者サッダーム・フセインが国内でクルド人を弾圧するなど多くの圧政を行っている
- 度重なる国連査察の妨害により、大量破壊兵器の廃棄確認が困難である
- 度重なる査察妨害によって、湾岸戦争の停戦決議である国連安保理決議687が破られている
- 国際連合安全保障理事会決議1154で「いかなる侵害も、イラクにとって最も重大な結果をもたらすであろう」という、湾岸戦争停戦協定破棄条件の決議、つまり最終警告がされていた。
- 決議1441では『最後の機会』が与えられたにもかかわらず、イラク側は査察に積極的な協力をしていない。
- フセインとアルカーイダが協力関係にある可能性がある
まとめると、イラク戦争(第二次湾岸戦争)は、国連安保理決議1154、1441に基づき、第一次湾岸戦争の停戦協定(安保理決議687)を破棄し、なおかつ米英の先制的自衛権の行使として(フライシャー報道官の言明)起こったものである。
どうでしょう、細かな違いは少なからずあるものの、上掲 「大量破壊兵器」 を 「核兵器開発」 に置き換えるだけで見事にイランに当てはまりませんか? イラク戦争に関しては 『ブッシュ政権は、開戦の理由はイラクが無条件査察を認めないことであって、イラク国内に大量破壊兵器が存在するという理由ではないと主張しているが、開戦前にブッシュ大統領やチェイニー副大統領が「イラクは大量破壊兵器を保有している」とメディアを通して繰り返し広言していたため、開戦後に大量破壊兵器が発見されなかったことでこの戦争の『大義』が失われたという批判が巻き起こる結果となった (上掲ウィキペディアより)』 、即ち希望的推測に基づくでっちあげであったことが最終的にバレましたよね。今回も、国連・新生IAEAや 『同盟国』 の 「国際社会」 のお墨付きで同じことが繰り返されそうな気配を感じます。
今までにもその気配は幾つか紹介して来ましたが、最新の報道 (順不同) によると;
- Se reúne Fidel con embajadores cubanos (+ Fotos y Video)
16 Julio 2010, Cubadebate
- Castro pide a sus embajadores que estén alerta ante una posible guerra nuclear
LA HABANA, 17 Jul. (Reuters/EP)
※ 一線を退いたフィデルが老体に鞭打って行った反戦のパフォーマンスでしょう。戦争の可能性についてどこまで考えているのかは別にして。
- Obama: Iran mosque bombing outrageous, intolerable
Jul 16, 2010 12:10 EDT, AP News (Antiwar Newswire)
- <イラン>モスクで自爆テロ、市民ら27人死亡
7月16日13時23分配信 毎日新聞
※ オバマのわざとらしい 「お悔やみ」 を見ていると、この事件を起こさせたのは誰なのか、何のためなのか、が大体想像出来ます。
- Iran to hit back 'in seconds' if attacked
Sat, 17 Jul 2010 05:48:34 GMT, PRESSTV
Former Cuban leader has declared that any military action against Iran will trigger a full-scale war, saying that the Islamic Republic will respond to any invasion "in seconds."
Cuba's 1959 revolution leader also warned of a looming nuclear conflict in the world during an appearance at the country's Foreign Ministry on Friday, Reuters reported. (以下略)
※ フィデルのコメントをイランの PRESSTV が紹介。イラン高官の発言を掲載したのではあまりに生々しいでしょうから−−−
- Scott Horton Interviews Flynt Leverett
(Israel, Lobby, Neocons Push for Iran War)
Scott Horton, July 15, 2010, ANTIWAR.COM
Flynt Leverett, former Senior Director for Middle East Affairs at the National Security Council, discusses how Israel is getting all its ducks in a row for a 2011-2012 attack on Iran, the lack of evidence that Iran ever had a nuclear weapons program (even prior to 2003), the unsettling prospect that the US will go to war with Iran over uranium enrichment and why the delayed release of the new Iran NIE means there is some disagreement among the intelligence agencies. (以下略)
- Scary Anti-Iran Talk Is Escalating -- And Weapons May Be Moving Into Position for Attack
July 12, 2010, ches From The Edge (AlterNet 掲載)
- U.S. official: More U.S. aid will help Israel make 'tough' decisions
Published 19:10 16.07.10 Latest update 19:10 16.07.10, Haaretz Daily Newspaper
−−−Referring to the security threats which brought the administration to expand its aid package, Shapiro said, "Today Israel is facing some of the toughest challenges in its history," adding that the administration was "particularly focused on Israel’s security precisely because of the increasingly complex and severe threats that it faces in the region."
"While the most grave, the Iranian nuclear program is one of many serious security threats in the region," Shapiro said at the Saban Center, saying that "Iran and Syria both pose significant conventional challenges." (以下略)
- Report: Secret document affirms U.S.-Israel nuclear partnership
Published 12:32 07.07.10 Latest update 12:32 07.07.10, Haaretz Daily Newspaper
- Poll: Most Americans would back Israel attack on Iran
Published 00:48 16.07.10 Latest update 00:48 16.07.10, Haaretz Daily Newspaper
−−−More than half of Americans would support Israel taking military action against Iran, according to a poll released on Wednesday.
The poll was conducted by TIPP, the polling unit of TechnoMetrica Market Intelligence, a U.S. research firm of both syndicated and custom Market Research solutions. (以下略)
- We will continue to shield Israel, militarily and diplomatically, U.S. official says
Published 21:52 15.07.10 Latest update 21:52 15.07.10,, Haaretz Daily Newspaper
The United States will continue to maintain Israel's military advantage as well as protect it in the diplomatic arena, U.S. ambassador to the United Nations Susan Rice said Wednesday, adding that the American commitment to Israel's security was "not negotiable." (以下略)
- アメリカの国連大使である スーザン・ライス - Wikipedia は、『−−−同じアフリカ系アメリカ人女性で、ジョージ・W・ブッシュ政権の国務長官を務めたコンドリーザ・ライスとの血縁関係はない。』 とのこと。 Pero es la misma pu-- mie--- (計5半角文字伏字)
- 再燃する中東大戦争の危機 (田中宇さん有料記事)
2010年6月29日
イラン近海のペルシャ湾周辺に、米軍艦が結集している。空母トルーマンとイスラエル軍艦は、6月6日から10日までイスラエル沖の地中海で合同軍事演習をやった。その後、艦隊はスエズ運河を抜けて紅海からペルシャ湾周辺に行き、以前からインド洋にいた米空母アイゼンハワーと合流した。イスラエル空軍は、イランの北隣のアゼルバイジャンに爆撃機を運び込み、イランを空爆する準備をしていると報じられている。アゼルバイジャンには6月6日、米国のゲーツ国防長官が訪問した。3日後の6月9日、アゼリ議会は、国内の基地を外国軍に貸与できる新法を決議した。イラン政府は6月22日、米イスラエル軍がアゼリに結集していることを警戒し、西部国境地帯に非常事態を宣言した。(以上、田中宇さんHPに掲載されている紹介部分のみ)
イラクで問題となったのは 「大量破壊兵器」 でしたが、イランの場合は 「核兵器開発疑惑」 です。アメリカかイスラエルが開戦する場合、 「アメリカの同盟国イスラエルの先制的自衛権の行使」 と言うつもりでしょうか。どう考えてもおかしな議論です。核兵器を所有する国が、所有はしないが2発ほどこさえる能力のあると思われる国に対して世界最大の核兵器・大量破壊兵器所有・開発国の助けを借りて自衛する必要がある??? アメリカは、パーとは云えいちおう大統領であるオバマのメンツを保つためさすがに核兵器は使えないでしょう。しかしイランの原子力施設が 「ピンポイント」 で攻撃されるとなると、その被害を蒙るのはイラン国民です。日本のxx原発だって、設備老朽化・地震・人為的ミスなどだけでもトラブルを起こしていますが、爆撃されたらどうなりますか? 被爆国である筈の日本も、きっと「強固な同盟国」 かつ加爆国アメリカを支持するのでしょう。まったくもっておめでたい国です。
開戦する場合突然行われるでしょうから多分止めようがないでしょうが、その後のアメリカ・イスラエルの暴走を止められるのは、国連が機能していない以上、両国の有権者だけ。最後にチョムスキー教授の記事を紹介;
The Iranian Threat
chomsky.info, July 2, 2010