遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

オバマのイラン挑発: 戦争の可能性?

イラク開戦時と似た様な状況が生まれている様な気がします。2003年イラク戦争 (いわゆる第二次湾岸戦争) 開戦への経緯について イラク戦争 - Wikipedia から抜粋しますと;

  • 1991年の湾岸戦争の後にイラクが受諾した停戦決議(決議687)においては、イラク大量破壊兵器の不保持が義務づけられていた。この達成を確認する手段として、国連は「UNSCOM」(国際連合大量破壊兵器廃棄特別委員会)を設置し、イラクの兵器の保有状況、製造設備などを調査した。しかし、当初は比較的協力的であったイラク側は、UNSCOMの抜き打ち調査や、それを主導したスコット・リッター主任査察官がアメリカの諜報関係出身者であることや、調査にアメリカの意向が反映されたことに反発し[12]、UNSCOMの査察に協力的ではなくなり、偽装や査察妨害をしばしば行った。 (中略)
  • 2003年1月9日、UNMOVICのハンス・ブリクス委員長とIAEAモハメド・エルバラダイ事務局長は安全保障理事会に調査結果の中間報告を行った。この中で、大量破壊兵器の決定的な証拠は発見されていないものの、昨年末に行われたイラク側の報告には「非常に多くの疑問点」があり、申告書には「矛盾」(#大量破壊兵器捜索を参照)があるとした。また、イラク側が国連ヘリコプターによる飛行禁止区域の査察を拒否するなど、査察非協力も明らかになった[15]1月16日には申告書に記載されていなかった化学兵器搭載可能なミサイル12基がUNMOVICによって発見された。このためアメリカとイギリスは、イラク安保理決議1441に違反したものとして攻撃の準備を始めた。 (中略)


    一方、かねてよりフセイン政権と対立していたイスラエルは、2002年4月にネタニヤフ元首相が訪米して「フセイン大統領は核兵器を開発中である」とその脅威を訴えたのを皮切りに、同年5月にペレス外相がCNNの取材に「サッダーム・フセインは(米同時多発テロ事件首謀者とされる)ビン=ラーディンと同じくらい危険」と答えた。シャロン首相も、イラクへの早期攻撃を求めた。
  • 米英が主張した開戦事由は以下の通り。


まとめると、イラク戦争(第二次湾岸戦争)は、国連安保理決議1154、1441に基づき、第一次湾岸戦争の停戦協定(安保理決議687)を破棄し、なおかつ米英の先制的自衛権の行使として(フライシャー報道官の言明)起こったものである。


どうでしょう、細かな違いは少なからずあるものの、上掲 「大量破壊兵器」 を 「核兵器開発」 に置き換えるだけで見事にイランに当てはまりませんか? イラク戦争に関しては 『ブッシュ政権は、開戦の理由はイラクが無条件査察を認めないことであって、イラク国内に大量破壊兵器が存在するという理由ではないと主張しているが、開戦前にブッシュ大統領やチェイニー副大統領がイラク大量破壊兵器保有している」とメディアを通して繰り返し広言していたため、開戦後に大量破壊兵器が発見されなかったことでこの戦争の『大義』が失われたという批判が巻き起こる結果となった (上掲ウィキペディアより)』 、即ち希望的推測に基づくでっちあげであったことが最終的にバレましたよね。今回も、国連・新生IAEAや 『同盟国』 の 「国際社会」 のお墨付きで同じことが繰り返されそうな気配を感じます。


今までにもその気配は幾つか紹介して来ましたが、最新の報道 (順不同) によると;

  • Iran to hit back 'in seconds' if attacked
    Sat, 17 Jul 2010 05:48:34 GMT, PRESSTV


    Former Cuban leader has declared that any military action against Iran will trigger a full-scale war, saying that the Islamic Republic will respond to any invasion "in seconds."


    Cuba's 1959 revolution leader also warned of a looming nuclear conflict in the world during an appearance at the country's Foreign Ministry on Friday, Reuters reported.  (以下略)


    フィデルのコメントをイランの PRESSTV が紹介。イラン高官の発言を掲載したのではあまりに生々しいでしょうから−−−
    • Scott Horton Interviews Flynt Leverett
      (Israel, Lobby, Neocons Push for Iran War)
      Scott Horton, July 15, 2010, ANTIWAR.COM


      Flynt Leverett, former Senior Director for Middle East Affairs at the National Security Council, discusses how Israel is getting all its ducks in a row for a 2011-2012 attack on Iran, the lack of evidence that Iran ever had a nuclear weapons program (even prior to 2003), the unsettling prospect that the US will go to war with Iran over uranium enrichment and why the delayed release of the new Iran NIE means there is some disagreement among the intelligence agencies. (以下略)
    • U.S. official: More U.S. aid will help Israel make 'tough' decisions
      Published 19:10 16.07.10 Latest update 19:10 16.07.10, Haaretz Daily Newspaper


      −−−Referring to the security threats which brought the administration to expand its aid package, Shapiro said, "Today Israel is facing some of the toughest challenges in its history," adding that the administration was "particularly focused on Israel’s security precisely because of the increasingly complex and severe threats that it faces in the region."


      "While the most grave, the Iranian nuclear program is one of many serious security threats in the region," Shapiro said at the Saban Center, saying that "Iran and Syria both pose significant conventional challenges."  (以下略)
    • Poll: Most Americans would back Israel attack on Iran
      Published 00:48 16.07.10 Latest update 00:48 16.07.10, Haaretz Daily Newspaper


      −−−More than half of Americans would support Israel taking military action against Iran, according to a poll released on Wednesday.


      The poll was conducted by TIPP, the polling unit of TechnoMetrica Market Intelligence, a U.S. research firm of both syndicated and custom Market Research solutions.  (以下略)
    • We will continue to shield Israel, militarily and diplomatically, U.S. official says
      Published 21:52 15.07.10 Latest update 21:52 15.07.10,, Haaretz Daily Newspaper


      The United States will continue to maintain Israel's military advantage as well as protect it in the diplomatic arena, U.S. ambassador to the United Nations Susan Rice said Wednesday, adding that the American commitment to Israel's security was "not negotiable."  (以下略)


イラクで問題となったのは 「大量破壊兵器」 でしたが、イランの場合は 「核兵器開発疑惑」 です。アメリカかイスラエルが開戦する場合、 「アメリカの同盟国イスラエルの先制的自衛権の行使」 と言うつもりでしょうか。どう考えてもおかしな議論です。核兵器を所有する国が、所有はしないが2発ほどこさえる能力のあると思われる国に対して世界最大の核兵器大量破壊兵器所有・開発国の助けを借りて自衛する必要がある??? アメリカは、パーとは云えいちおう大統領であるオバマのメンツを保つためさすがに核兵器は使えないでしょう。しかしイランの原子力施設が 「ピンポイント」 で攻撃されるとなると、その被害を蒙るのはイラン国民です。日本のxx原発だって、設備老朽化・地震・人為的ミスなどだけでもトラブルを起こしていますが、爆撃されたらどうなりますか? 被爆国である筈の日本も、きっと「強固な同盟国」 かつ加爆国アメリカを支持するのでしょう。まったくもっておめでたい国です。


開戦する場合突然行われるでしょうから多分止めようがないでしょうが、その後のアメリカ・イスラエルの暴走を止められるのは、国連が機能していない以上、両国の有権者だけ。最後にチョムスキー教授の記事を紹介;


The Iranian Threat
chomsky.info, July 2, 2010