遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

孤立するイスラエル その5: レイチェル・コリー

以下報道に関して:

<ガザ支援船攻撃>新たな船が現地へ 対立に緊張高まる
6月4日10時29分配信 毎日新聞


エルサレム花岡洋二】パレスチナ自治区ガザ地区へ新たな国際支援船が向かっている。イスラエルのネタニヤフ首相は3日、この船を阻止し、同国の港へ誘導する代わりに物資を陸路で運ぶ考えだと主要閣僚会議で述べた。一方、船側は「イスラエルへは寄港しない」と公式ウェブサイトで宣言し、緊張が高まっている。


 支援船は貨物船「レイチェル・コリー号」。当初、先にイスラエル軍に襲撃された船団に加わっていたが、故障で遅れた。2日現在、地中海のリビア沖を航行している。支援を企画した団体「フリー・ガザ・ムーブメント」の広報担当はAP通信に、ガザ到着を「来週の早いうち」と予告し、当局は5日にも近海に入る見通しを立てている。


 同船はガザへの禁輸対象となっているセメントや、活動家約10人を積んでいる。アイルランド人が複数乗り、同国船籍でもあることから、カウエン同国首相は2日、ガザまでの安全航行を要請した。船名は、ガザで03年にイスラエル軍のブルドーザーにひき殺された米国人平和活動家にちなんでいる。 (以下略)

  • THE FREE GAZA MOVEMENT HP


    このサイト中の最新記事 "Sabotage on the High Sea, 03 June 2010" によると;


    −−−So we are going to make sure the Rachel Corrie is well protected and that Israel is put on notice that anything that happens to her, the passengers and the crew will rest with Israel. As a result of these threats, we're going to pull Rachel Corrie into a port, add more high-profile people on board, and insist that journalists from around the world also come with us. (以下略)


    とのことですから、上掲報道の様に強行突破と云うことでは無い様子。
  • WitnessGAZA HP - Join us live as a witness in Gaza


    このサイトは上掲 THE FREE GAZA MOVEMENT でも "The Freedom Flotilla is travelling to Gaza, see the latest updates and live coverage of the trip on witnessgaza.com" と紹介されています。大変見易いサイトで、最新のニュースへのリンク・YouTube関連ビデオの紹介・THE FREE GAZA MOVEMENT 関連ビデオの紹介・船団の位置のGPS表示・関連フリッカーの紹介など、状況確認には最高と思います。


なお上掲記事中でも紹介されている船 『レイチェル・コリー』 号の名前となったのは、アメリカ人反戦活動家 Rachel Corrie さん。2003年、イスラエルで活動中に23の若さで殺害された際の顛末は、英語版と比べるとプアですが レイチェル・コリー - Wikipedia に以下紹介されています;

−−−事件を目撃した ISM の活動家は、コリーはブルドーザーがパレスチナ人の住居を破壊するのを防ごうとして、二度もひかれて殺されたと説明している。米国アムネスティ・インターナショナルはコリーの殺害を非難し、米国の調査とイスラエルへの武器供給停止を要求した。 イスラエルガザ地区での活動を繰り返し非難しているヒューマン・ライツ・ウォッチもまた、コリーの死に対するイスラエル国防軍の調査発表(後述)を疑問視している。 (中略)


イスラエル政府は次のように主張している。テルアビブでの検死の結果よりコリーの死の原因はブルドーザーにひかれたことではなく、破砕物に押しつぶされたにことよる。運転手の視点からはコリーの姿は見えず、悲惨な事故となった。この地区でのISMの活動は非合法であり、そのことがコリーの死につながる悲劇を引き起こした。


さらに、イスラエル軍の報告書によると、ブルドーザーは住居を破壊するために活動していたのではなく、セキュリティーゾーンで爆破物を捜索していただけであるという。


軍のスポークスマンは、イスラエル軍にコリーの死の責任はないが、将来の似たような事故を避けるために活動方法を変更するとガーディアン紙に語った。 (以下略)


イスラエルは今回も恐らくこの様に決着するつもりでしょう。活動家であれ誰であれその死を美化するつもりは毛頭ありませんが、事実は明らかにすべきです。何度でも繰り返しますが、DPRKやイランに対しては 「国際社会の作成した、公平この上ないルールと調査報告書」 を盾に犯罪者扱いするが、ことイスラエルに対しては 「イスラエルによる調査」 で充分とするアメリカの姿勢は、論理の破たんとしか言い様が無い。


で、参考まで、この船のガザ行きには正当な理由など無く単にイスラエルへの嫌がらせだ、事故で亡くなられたレイチェル・コリーさんは反戦のシンボルにまつりあげられただけだ、等と主張する記事も紹介しておきます。政治的な背景は調べていませんが、私はガザの現状認識とイスラエル政府の行動に関して大きな誤認があると思いますけどね;


なお今回亡くなられた9人の中に1名、19歳のトルコ系アメリカ人が含まれています。またヨルダン川西岸地区で抗議活動に参加していた21歳のアメリカ人女子学生さんが顔面に催涙弾を受け左目失明・顔面に大けがを負うと云う事態も発生しています;


アメリカ国内でどの様な動きが起きるか起きないか、要Watch。