グアテマラの地震: 深刻な被害の報告は無いものの−−−
ハイチに続いて、中米グアテマラでもM6の地震発生のニュースが流れました。同地震は東の隣国エルサルバドルおよび更に東のニカラグアでも感じられたそうですが、このあたりは地震の巣でもあるせいか大きな被害は発生していない様子;
- http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010011900011
(2010/01/19-01:09)時事ドットコム
−−−中米グアテマラ沖で18日午前(日本時間19日未明)、マグニチュード(M)6.0の地震があった。 (以下略)
- Sismo de 6 grados Richter sacude el país
Lunes, 18 de Enero de 2010, La Hora (グアテマラ紙)
SAN SALVADOR, (AFP)
Un fuerte y prolongado temblor de 6.0 grados en la escala de Richter y con epicentro en el Pacífico sacudió hoy parte del territorio centroamericano, provocando alarma en Guatemala y El Salvador, pero no víctimas, informaron los servicios geológicos y de socorro. (以下略)
- http://www.elsalvador.com/mwedh/nota/nota_completa.asp?idCat=6358&idArt=4438711
Lunes, 18 de Enero de 2010, elsalvador.com (エルサルバドル紙)
El movimiento afectó territorio local y guatemalteco. De momento, no se reportan emergencias (以下略)
- http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/recenteqsww/Quakes/us2010rqb3.php
2010 January 18 15:40:27 UTC
U.S. Geological Survey
※ 発生時刻はUTC (協定世界時 - Wikipedia) で表されています。私は今回初めて気付いたのですが、1972年より グリニッジ標準時 - Wikipedia は協定世界時 (UTC) による国際的時刻基準に置き換えられたのですね。なおグアテマラは UTC-6 - Wikipedia ですから、現地での発生時刻は09:40:27と云うことになります。参考まで、上掲グアテマラ紙で紹介されているSNET (Servicio Nacional de Estudios Territoriales) による発生時刻は09:40:00 (秒は切り捨ての様です)、M6。 ⇒ MARN - Monitoreo
出典: http://neic.usgs.gov/neis/bulletin/neic_rqb3_h.html
上掲図は、1990年以降発生したM7以上の地震の震源 (丸の大きさがMを、色が深さを表す) をプロットしたものですが、断層 (先日紹介のハイチ同様、紫色・緑色) に沿って相当数発生しているのがわかります。同じページ最上部の図はMにかかわらず全ての地震の震源をプロットしてありますが、丸で埋め尽くされていますね。なお先日のハイチに関しての図は http://neic.usgs.gov/neis/bulletin/neic_rja6_h.html で見られます。1990年以降大きな地震は起きておらず、そこにいきなりM7クラスが人口密度の高いポルトープランスを直撃した訳ですから、ひとたまりもなかった。
出典: Google Map
上掲図 "A" の吹き出しが今回の震源ですが、この写真でカリブプレート (下掲図参照) の形がハッキリわかりますね。ハイチもグアテマラも同じプレート上に 「乗っかって」 いることになります。
カリブプレート - Wikipedia によると、
- エルサルバドルからコスタリカにかけての太平洋岸は中央アメリカ海溝の一部で、カリブプレートの下にココスプレートが沈み込んでいる。パナマ南岸はナスカプレートとの境界、パナマ・コロンビア国境地帯は南アメリカプレートとの境界で、衝突型境界やトランスフォーム断層などと推定されているが不明瞭である。
コロンビア北岸では、カリブプレートが南アメリカプレートの下に沈み込む海溝となっている。アルバ近海 - カラカス近海 - トリニダード・トバゴ東方沖までは拡大型境界やトランスフォーム断層で、ここでも南アメリカプレートと接している。小アンティル諸島の東岸は海溝となっており、南アメリカプレートがカリブプレートの下に沈み込んでいる。この海溝では、プレートの沈み込みの影響で小アンティル諸島の諸火山が活動している。
アンティグア・バーブーダ付近からは北アメリカプレートとの境界となる。この付近では、大アンティル諸島北岸のプエルトリコ海溝と南岸の海溝のどちらがプレートの境界であるか議論があり、定まっていない。キューバ南岸より西側はケイマン海溝(トランスフォーム断層)が境界をなしていることがわかっている。ケイマン海溝はグアテマラに達すると拡大型境界に変わり、中央アメリカ海溝まで続いている。
出典: ファイル:Tectonic plates-ja.png - Wikipedia
上掲は先日も紹介しましたが、中米・カリブ海は、 カリブプレート - Wikipedia を中心として ココスプレート - Wikipedia ・ 北アメリカプレート - Wikipedia ・ 南アメリカプレート - Wikipedia ・ ナスカプレート - Wikipedia が集まっていますので、火山活動やら地震が多い訳です。
今回の地震でグアテマラは被害を蒙っておりませんが、この国は以前紹介した様に干ばつの影響をモロに受けています; 日本ユニセフ協会・世界の子どもたち > 世界の子どもたちは今 (2009年9月28日)。しかし グアテマラ - Wikipedia サイトによると;
治安
1960年から36年間続いた内戦によって25万人が犠牲になったグアテマラでは、一般の犯罪や暴力団による殺人で、2008年には6,232人が死亡している。また、誘拐では400人以上が誘拐された。
グアテマラの抱える最大の問題は、治安問題、麻薬密輸、司法権の機能不全、政府の無策、腐敗、社会的不平等、人権侵害である。治安問題は、コロン政権になっても全く無策であり、毎日、テレビ・ニュースで殺人事件が報道されている。
人権面では、政治犯はいないが、未だに地方都市ではリンチが行われているほか、婦女子に対する暴力が多く、また裁判を受ける権利も保証されておらず、人権侵害は著しく、人権意識が希薄である。
上記記載が今日時点でも全て正しいかは未検証ですが、リンチ (私刑) に関しては2009年中少なくとも40人が犠牲となり、特に先住民地域では住民が警察や司法システムに信頼を置いていないため、自身の手で裁くことが常態化しているとの情報あり。経済的には中米の中位グループとはいえ、まだ内戦の傷跡に苦しんでいるのでしょうか−−−