遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

東京大空襲訴訟のこと

特に被害の大きかった1945年3月10日を中心とする 東京大空襲 (ウィキペディア) の被害者・ご遺族が国を相手取って謝罪と賠償を求めた訴訟につき、14日の判決で原告の請求が棄却されたことが報道されています;

  • http://mainichi.jp/select/jiken/news/20091215k0000m040050000c.html
    東京大空襲訴訟:原告の請求棄却「救済は立法で」東京地裁
    毎日新聞 2009年12月14日 20時05分(最終更新 12月14日 21時00分)


     東京大空襲の被害者や遺族ら計131人が、戦後の救済措置を怠ったなどとして、国に謝罪と総額14億4100万円(1人当たり1100万円)の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は14日、請求を棄却した。鶴岡稔彦裁判長は「戦争被害者に対する救済は、政治的配慮に基づき立法を通じて解決すべき問題。立法には極めて広い裁量を認めざるを得ない」と述べた。原告側は控訴する方針。 (以下略)
  • http://mainichi.jp/select/jiken/news/20091213k0000e040024000c.html
    東京大空襲訴訟:86歳原告「国は謝罪を」14日判決
    毎日新聞 2009年12月13日 15時02分


    −−− 60年以上たち「なぜ、今さら裁判を」と聞かれる。清岡さんは言う。「被害者は皆、生計を立てるので精いっぱいだった。多くの方が亡くなり、空襲の悲劇を伝えられるのは私たちしかいない。裁判所は被害者を放置した国の責任を認めてほしい」


日本本土空襲 (ウィキペディア) にも記されている、『アメリカ軍による民間人への無差別爆撃は戦時国際法違反だとの意見は未だ根強くあるが、サンフランシスコ講和条約によって日本国政府アメリカへの補償請求権を放棄したため、無差別爆撃に関する補償は行われていない』 点についても原告は国民の保護義務違反との主張を行ったものの、判決は 「請求権を定めたハーグ陸戦条約の適用は全交戦国の条約加入が条件。イタリアなどが加入しておらず、第二次世界大戦は適用外」 として、国に請求権自体がなかったと述べた。(上掲毎日新聞記事より)


なお記事中、名古屋空襲訴訟 (1987年原告敗訴) および大阪空襲訴訟 (係争中) については;


1944年末頃から熾烈さを増して1945年8月15日の終戦当日まで続いた日本本土空襲は全国各地におよび、ウィキペディアで 「xx大空襲」 だけざっと拾ってみても−−−

  東京大空襲
  大阪大空襲
  神戸大空襲
  名古屋大空襲
  横浜大空襲  ⇒ 横浜大空襲のHP「親子で訪ねる横浜大空襲」
  福岡大空襲
  青森大空襲
  静岡大空襲
  土崎大空襲
  佐世保大空襲
  徳島大空襲
  和歌山大空襲
  沼津大空襲
  福山大空襲
  富山大空襲
  台北大空襲 (日本統治時代の台湾台北州台北市に対して行われた無差別爆撃)

これだけあります。(横浜大空襲については、以前見つけたサイトを紹介しておきます。他都市のものもある筈ですが、ご免なさい、未調査です)


法的な論議は色々あるでしょうが、64年前の空襲の被害者救済がまだ終わっていない、と言えるでしょう。これが後ろ向きのハナシかといえば、答えは断じてNO! 何故って、幸いにして日本が舞台とはなっていませんが、今この瞬間にもアフガニスタンパキスタンイラクなどの紛争地では 「正しい戦争」 の名の下空爆 (空襲と同義) が続いており民間人も巻き込まれてていますね? その被害者やご遺族も同じ苦しみを背負われるのかと考えると、やり切れません。まして、爆撃実行の主体まで同じですから−−−