遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

国事行為: 日本国憲法上にて天皇が行うものとして規定されている行為

天皇陛下習近平・中国国家副主席との会見を、首相官邸側が、陛下との会見は例外なく1カ月前までに申請するという宮内庁のルール (不文律?) を曲げて実現したことが問題になっています。天皇陛下に関することなので賛否両論沸き起こるのは日本国内では当然と理解されるでしょうが、海外から見ると何を騒いでいるのかよくわからない、不思議な事態ではないか?

  • http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091215/stt0912152000007-n1.htm
    小沢氏、改めて宮内庁長官批判 宮内庁には応援メール殺到
    2009.12.15 19:55 msn産経ニュース


    −−−小沢氏は、「内閣が決めたことを一官僚が記者会見まで開いて言うものではない。言うのなら、辞めてから言うべきだ」とした上で、「自分の信念は間違っていない。(羽毛田氏らは)政権交代して政治主導になったことに頭が切り替わっていない」と述べた。 (以下略)


小沢さんも羽毛田さんもどちらも非常にクセのある政治家・役人ですし、そもそも敗戦後の天皇陛下のあり方についてはいまだにもやもやした状態のままですから仕方のないことかも知れません。今更とは思いますが、その 「もやもや」 を拾ってみると;

    • 国事行為は具体的には以下の行為を指す。
      • 国会の指名に基づき内閣総理大臣を任命すること(日本国憲法第6条第1項)
      • 内閣の指名に基づき最高裁判所長官を任命すること(第6条第2項)
      • 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること(日本国憲法第7条第1号)
      • 国会を召集すること(第7条第2号)
      • 衆議院解散(第7条第3号)
      • 総選挙[1]の施行を公示すること(第7条第4号)
      • 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること(第7条第5号)
      • 大赦、特赦、減刑刑の執行の免除及び復権(恩赦)を認証すること(第7条第6号)
      • 栄典を授与すること(叙勲)(第7条第7号)
      • 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること(第7条第8号)
      • 外国の大使及び公使を接受すること(第7条第9号)
      • 儀式を行ふこと(第7条第10号)
    • 国事行為以外の公的行為


      第6条、第7条に規定されている国事行為のほかにも公的行為が認められるか否か、具体的には、国会の開会式に参列し「おことば」を朗読する行為、外国元首の接受(憲法上国事行為とされているのは「外国の大使及び公使を接受すること」)などについての法的位置付けが議論されている。この点に関しては、「象徴としての地位に基づく公的行為」として容認する考え方、第7条第10号の「儀式を行ふこと」に該当するとする考え方、そもそもそのような行為は認められないとする考え方などが示されている。


      これについては、第7条第10号の「儀式」の一つとされている「新年祝賀の儀」に代理の皇族(皇太子など)を遣わす場合、当該皇族を指して、「国事行為臨時代行殿下」と表記した例(1988年12月)がある一方、国会の開会式への臨席、外国元首の葬儀参列などでは「天皇陛下の御名代として皇太子○○親王殿下の御臨席をいただき」のように「御名代(ごみょうだい)」という別の表現を用いており、国会及び政府ではそれらの行為を国事行為でなく公的行為と解釈しているものと考えられる。


冒頭紹介した記事中に、某党県議団が 「天皇陛下を政治的目的に利用しないことを求める意見書」 を提案したと報じられていますが、もともと陛下を一度ならず政治の目的に 「利用した」 のは誰なのかをお忘れの様ですね。たとえば;

http://www.80s.ne.jp/chrono/1984/10news.html
1984年の10大ニュース


韓国大統領、初の来日


全斗煥大韓民国大統領が、09月06日、来日した。韓国の現職大統領の公式訪問は初めてのことであった。同夜開催された宮中晩餐会天皇陛下昭和天皇)は「両国間に不幸な過去が存したことは誠に遺憾」とお言葉を述べられ、長年の両国のわだかまりを解きほぐす景気となるものとして迎えられた。08には「今後の両国の関係緊密化」などを盛り込んだ共同声明が発表され、日韓関係は新時代へのスタートを切った。


役人ごときが勝手に作ったルールを振り回すことには私は嫌悪感しかおぼえせん。でも周知されているとは思えない 「1ヶ月ルール」 を守れば政治利用してよいのか、そもそも 「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」 と定める現憲法のままでよいのか、役割を明らかにすべきではないか、等々の議論が必要でしょう。人間天皇・象徴天皇の割にはそれについて語ることがタブーに近い現状が正常とは思えません。敬語だって特殊ですよね。現憲法が絶対的なものであると考える硬直的な姿勢もおかしい。ひずみをひずみのまま残しておく限り何も解決しません。また対外的に天皇国家元首と認識されていることはどうするのか、の問題もありますね。たとえばある国で日本国首相訪問を受け入れる場合と天皇陛下を受け入れる場合では、間違い無く後者のほうが 「格」 は上のはずです。