遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

クライメートゲート (Climategate) −−− でも水没の危険に晒された島嶼国

地球温暖化に関して、内部告発により、おおもとのデータがねつ造されたのではないかとの疑惑が沸き起こっています;

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091209-00000003-jct-soci
温暖化データねつ造疑惑 衝撃強く、欧米で大騒ぎ
12月9日19時15分配信 J-CASTニュース


−−−温暖化に詳しい横浜国立大学の伊藤公紀教授(環境科学)は、ある程度データはねじ曲げられていたのではないかとみる。


  「事件は、最初報じられたハッキングではなく、内部告発に近いようです。データねじ曲げに反発した関係者が、内部で準備したものを漏らしたということです。バラバラのメールがファイルになっているのも、確かに不自然です」


 伊藤教授によると、データが漏れる以前から、温暖化分野は怪しいと話題になっていたという。 (以下略)


この件に関しても10年以上前から考察を続けていらっしゃる田中宇さんの最近の記事と97年当時の記事をひとつづつ紹介します;

  • http://tanakanews.com/091202warming.htm
    地球温暖化めぐる歪曲と暗闘(1)
    2009年12月2日  田中 宇


     12月7日からコペンハーゲン地球温暖化問題の国際会議(COP15)が開かれるのを前に、謀ったようなタイミングの良さで、地球温暖化問題をめぐるスキャンダルが出てきた。米英のウェブログなどインターネット界でさかんに論じられている「クライメートゲート」(Climategate)である。11月18日、英国のイーストアングリア大学にある「気候研究所」(CRU)のサーバーがハッキングされ、1000通以上の電子メールや、プログラムのスクリプトなど電子文書類が、何者かによってネット上に公開された。その公開されたメールやデータを分析することにより、CRUなどの研究者たちが、温暖化人為説を根拠づけるため、さまざまな歪曲や論敵つぶしを展開してきたことが明らかになりつつある。(Hadley CRU hacked with release of hundreds of docs and emails)(Hadley CRU Files FOI2009.zip 61.93 MB)(Alleged CRU Emails - Searchable(全メールをキーワード検索できる))


     データを暴露されたCRUは、英国で最も重視されている気候学の研究所で、英国気象庁の気候変動研究の多くを請け負い、世界各地の気温を測定・収集して平均気温を算出する世界の4つの研究所の一つである。CRUは、フィル・ジョーンズ所長(Phil Jones)やキース・ブリファ副所長(Keith Briffa)を筆頭に「人類が排出した二酸化炭素などによって地球は急速に温暖化している」という「人為温暖化説」を強く主張し「地球温暖化問題」を主導してきた国連の気候変動パネル(IPCC)を主導してきた。(Rorting data is hell, Nino)


     ハッキングされて公開されたメールは、CRUの所長や所員が送受信したものだった。CRUは、暴露されたデータを本物であると認め、このデータ窃盗について警察に捜査を依頼していると発表した。(ClimateGate: The Fix is In)  (以下略)


この件に関しての私の気楽な認識は、温暖化と二酸化炭素の因果関係がきっちり把握されている様子も無いし、本当に人為的なものが原因で温暖化しているなら次に来るであろう氷河期は楽勝で乗り切れることになるけど、どこか論理の飛躍やこじつけがありそうだな、巨額のカネが動く様だから、背景は理解し切れていないが政治的な問題なのだろうな、程度です。ですから、冒頭紹介記事中の横浜国立大学の伊藤公紀教授の 「温室ガスは、環境汚染の一つの目安であって、むしろ化石燃料などのエネルギーをいかに節約するかを考えるべきです。持続可能な発展を損なわないように、ガス削減をするならいいでしょう。日本は、国内だけの温暖化対策では不十分であることをよく自覚し、中国が石炭火力から転換するのにその技術を提案するなど、外交交渉をもっと進めるべきですね」 なんてコメントが一番すっきり賛同出来るのですが、


最高標高が海抜2.4メートルの モルディブ (ウィキペディア) や、海抜5メートルの ツバル (ウィキペディア) などの様に地盤沈下や大波など相対的に海面が上昇するだけでも甚大な被害を受ける島嶼国にとっては、温暖化による海面上昇は国そのものの存続に関わりますから、メカニズムはわからなくともその原因となり得るものは全て除去したい、と云うのは当然;


−−−インド洋のモルディブや太平洋のツバルなどでつくる「小島嶼(とうしょ)国連合」は「2度」では不十分として「1・5度以下に保つ」よう求めている。2015年中に世界全体の温室効果ガスの排出量を減少に転じさせ、50年まで排出量を1990年比で最低85%削減する案を掲げる。 (以下略)


日本の最東端に位置する 南鳥島 (ウィキペディア) の最高標高だって海抜9メートルですから、他人事ではありませんね。最南端である 沖ノ鳥島 (ウィキペディア) に至っては満潮時に沈まないのは東小島、北小島と呼ばれる二つの露岩のみで、大部分は海面下にありますし。


島嶼国の切実な事情はわかるものの、温暖化に関して最も厳しい基準を課されても技術的・資金的な問題が発生しますから、新興国のみならず日本だって賛成出来ないでしょう。地球温暖化で水没や干魃(かんばつ)などの 「差し迫った」 危機にひんする大小の島国やアフリカ諸国などについては、別の枠組みで対応する必要があると思います。国連気候変動枠組み条約締約国会議などという総論賛成各論反対の典型の様な仕組みでは間に合う訳がありませんから。


干ばつ対策としてはどんなものがあるのか不勉強で存じませんが、水没の危険対策なら日本もやっているのですね。上掲沖ノ鳥島のケースが参考となりそう。以下、ウィキペディアより引用;

−−−風化防止策


沖ノ鳥島が風化などで満潮時に海の下に隠れてしまうと、日本の国土面積(約38万km²)を上回る排他的経済水域が失われてしまうということで、1988年から段階的に2つの島の周りに消波ブロックとコンクリート護岸工事を行った。ところが、消波ブロックが島を傷つけるという事件が起こったため、島の上をチタン合金の金網で覆ってある。これらの工事費用合計は約300億円と推定されている。


自然による造成策


地球温暖化に伴う海面上昇により、島その物が将来水面下に没する事が予想されている。そこで、自然の力により島を高くしよう、との構想がある。具体的には、島の周囲の珊瑚礁を活性化し、大規模な珊瑚礁を作成させる。これが砕けて砂となり堆積や波による集積を行う事により、自然の力により島の高さを上げてしまうという構想である。この構想の調査のために、水産庁は実施期間を平成18年度から2年間とする「生育環境が厳しい条件下における増養殖技術開発調査事業」を創設、業務取りまとめ機関として「サンゴ増養殖技術検討委員会」を設置し、初年度に3億円の予算を充てている。 (以下略)


こんなことをやっているとは、東京都民のくせに知りませんでした。なお上掲ウィキペディアの中では、沖ノ鳥島に関して、排他的経済水域の観点から 「島」 では無く 「岩」 であるとの意見に対する日本の涙ぐましい?対応についても記載されていますから、これだって参考になる筈。ただ日本の場合、プレートテクトニクスによるといつか日本海溝に? 引きずり込まれる (日本沈没) 筈ですが、その時はどうするんでしょうね。私は幾らなんでも生きていないでしょうけど。

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