遊蕩爺の漂浪メモ

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マイケル・ムーア監督来日

2009年10月03日、全米封切りを機に当ブログでも紹介した映画 『キャピタリズム−マネーは踊る (原題:Capitalism: A Love Story)』 の監督である マイケル・ムーア (ウィキペディア) さんが来日されています;

  • http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/091204/tnr0912041810011-c.htm
    暴走する資本主義を問う 映画「キャピタリズム〜マネーは踊る〜」
    2009.12.4 18:08 msn産経ニュース


    −−− ■合法的強欲システム


     「熱烈な愛国者」を公言するムーア監督だけに、本作には資本主義の否定論者に転向したのかと誤解を招きかねない側面がある。彼が意図するところは、努力すれば平等にドリームが与えられる米国が、いつの間にか巨大な金融機関と一部の金持ちだけがもうかる「合法化された強欲システム」に占拠されてしまったことへの嫌悪感だ。


     本作を見た同じ米国人から嫌というほど「君は社会主義の方がいいのか」と厳しい質問がムーア監督に投げかけられたという。監督本人にすれば「資本主義か社会主義か」といった狭い選択肢を判断基準にすることを危険視している。もっと柔軟に「21世紀にふさわしい新しい理念を構築しようとは思わないか」と考えているのだ。 (以下略)
  • http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091201-00000002-dal-ent
    M・ムーア監督あわや国外退去
    12月1日9時25分配信 デイリースポーツ


    −−− 初来日となるムーア監督は、前日到着した成田空港での入国審査で指紋採取を拒否し、あわや強制国外退去となる事態だったことを自ら明かした。「なぜ?と質問したら別室に連れて行かれた。拒否する権利を主張したが、それでは国外退去になるといわれた。どちらにしても指紋を採られるとわかって仕方なく応じた」と社会派監督らしく不満顔で語った。 (以下略)


私はこの監督には共感出来るところが多いですね。「"社会の敵" といわれる立場」 に関しては、言論の自由はあるが発言には大きな責任が伴う、とも取れるし、アメリカ内部で正しいと思われていることに疑問を呈することに対する有形・無形の嫌がらせが多くて苦労する、とも解釈出来ますが、 「楽しくはない、つらい仕事」 から判断すると後者でしょう。


「合法化された強欲システム」 は、今のアメリカの経済を良く表していると思います。馴れ親しんだせいなのか憧れなのかは知らないが、何の疑問を抱くことなくそれが最高の善であると思い込んでいるひとたちは、日本でも様々な分野・階層にいますね。監督は資本主義や医療制度をぶっ壊せとは言っていない筈。このままでは破たんしますよ、何か間違っていませんか? との問題提起をしているだけ、と私は解釈しています。 「もっと柔軟に "21世紀にふさわしい新しい理念を構築しようとは思わないか"」 については私は諸手をあげて賛成なのですが、それを阻む 『バカの壁』 がいかに強固か、と云うことでしょうね。白に賛成出来ないなら黒だな、としか考えられない輩が多い。アメリカ国内は勝手にしろ、ですが、外交については何とかしてくれ、と言いたくなります。


なお私も入管 「別室」 に入ったことがあります。他人のためであり、監督とは全く異なった事情によるものですが、起こったことは基本的に同じ; 正当な権利を主張しても、「では国外に出て頂くしかありません」 と素っ気無くいわれ、渋々対応せざるを得ませんでした。 (海外での日本入管の評判の悪さの原因がよくわかりましたけど) 別に社会派監督でなくとも不満でしょう。