遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

平山画伯逝去 その一方で アメリカの、いやオバマの戦争: アフガン追加増派戦費2.5兆円

オバマ政権の最大の汚点かつ致命傷となるであろうアフガニスタン増派が発表されました。その翌日、 平山郁夫 (ウィキペディア) 画伯が逝去されました;

  • http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091202-00000601-san-int
    アフガン増派、対テロ勝利の成算は?
    12月2日21時8分配信 産経新聞


    −−− オバマ大統領は演説で、「3万人の増派はわれわれの国益にかなう」として、今回の決断に強い自信を示した。長引く戦いと増え続ける米軍の犠牲を嫌う米国内の声には、「アフガンを第2のベトナムとみて早期撤退を求める向きもあるが、歴史の読み違えだ」と反論し、アフガンでの支援参加国が43カ国に上るなど国際社会による取り組みであることを強調した。


    ※ 歴史の読み違え? 国際社会による取り組み? ふざけるんじゃあねぇ、アメリカの、いや実際にはオバマの戦争にしか過ぎず、反省が無いから歴史に学ばない馬鹿な決定。余計アメリカがテロの標的になるだけ、憎しみが憎しみを呼ぶ悪循環となっていることに何故気付かない? ナントカ賞、クソ喰らえですね。
  • http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091202-00000058-mai-soci
    イラク少女>募金キャンペーンに絵 死去で「お別れ会」
    12月2日15時0分配信 毎日新聞


     がんで右目の視力を失いながら大好きな絵を描き続けたイラク人少女が10月、現地の病院で15歳で逝った。作品は海外の医療を支援している東京都のNGOによって募金キャンペーンに使われ人気を集めていた。これまでに寄せられた募金は1000万円以上。劣化ウラン弾の影響で増えているとされるがんや白血病の子どものために使われた。「イラクの子どもたちを助けて」という少女の遺志を継ごうと「お別れ会」が2日、東京都で開かれる。 (以下略)


    ※ これは同じ様にアメリカが 「正義の戦争」 をしているイラクのケースですが、アフガニスタンでも同じ様なことは起こっている筈。


平山画伯については著名な画家さんである以外にはよく存じ上げませんでしたが、訃報を伝えるニュースを見ていましたら、いつのインタビューかは見逃しましたが、「シルクロードでは言葉も文化も宗教も全く違うひとたちが平和に交流していた。宗教がもとで戦争するなんて馬鹿げている」 と云った主旨の発言をなさっておられました。遅ればせながらネットで検索してみましたら、平山画伯はその精力的な活動を通じて 「平和」 と云う明確で変わることの無いメッセージを伝えておられたのですね。以下、ネット上で確認出来た幾つかの記事を紹介します;

  • http://www.shogakukan.co.jp/sekaiisan/hirayama.html
    小学館:【ビジュアル・ワイド】世界遺産 平山郁夫さんインタビュー


    −−−――大仏を復元しようという動きもあるとか。


    平山:私は反対です。世界遺産を守るには、そこに住んでいる人間を守らないといけない。大仏を修理するお金があったら、何百万人とも言われる難民や孤児を救ったほうがいい。私たちの遺産を後世に伝えていくのも、人間がいてはじめてできることですから。
  • http://kids-econ.com/izumi/katudo/interview/interview03.html
    著名人にインタビュー・第3回平山郁夫氏|泉美智子のコーヒータイムの経済学


    泉 :
    先生はいろいろな意味でものごとをお考えになりながら、絵という形で世にメッセージを送られていますね。


    平山 :
    絵は、やっぱり美しくなきゃいけない。私は広島で被爆という大変な経験をしたのですが、 どんなに過酷で凄惨な定めにでも、前向きに建設的に立ち向かっていかねばなりません。 音楽や絵は戦力にはならないかもしれませんが、悲しみを癒す音楽や、元気づけるような音楽、絶望的なときでも気持ちが やすらぐような優しい音楽を聴くと心が暖まり力が沸く。


    絵もそうですね、気持ちの悪い告発的な絵より、 ただ甘いというだけではなく、包み込むような美しさと優しさを、過酷な現実のなかに見出して、それを明日につなげていく絵。 それが芸術だと思います。



    泉 :
    今の子供たちに対するメッセージを。


    平山 :
    今いろいろな社会問題が起きています。 モノや便利さを求めるほうへ、言い替えれば、科学技術のほうに、 偏りすぎているんですよ。科学技術に精神性を与えるのが文化なのです。 人間性のない科学技術は有害無益です。そうした科学技術一辺倒が、 今の日本をおかしくしているのではないでしょうかね。


    個人主義というのは人間主義なのですよ。本来なら、自己責任を持つ、 他人に迷惑をかけないという倫理観があって初めて個人主義は健全に機能する。 これがモノとココロの本来の関わりのはずなのに、今はモノとカネに偏りすぎている。 カネを使う人の生き方がカネの値打ちを決めるわけですね。 私利私欲のためにカネを儲けるというのは、金の亡者以外の何者でもありません。
  • http://www.unesco.jp/kamakura/kaiho72/hiroba72-3.htm
    鎌倉ユネスコ会員のひろば 平山郁夫画伯による芸術文化講演


    日本は平和のために仲介を


     日本の国際的立場は、平和を提唱しながら、技術でも経済力でも、いろいろな面で貢献できます。

     インド・パキスタン両国がカシミール紛争をしたとき、奈良で開いたセミナーで和平の握手をさせました。またイスラエルヘブライ大学とテヘラン大学で展覧会を開いたとき、日本の宗教的寛容さを話して「宗教は人を助けるためにあるのに人を憎むのはおかしいのではないか」と言うと、「その通り」と言ってくれました。


    子ども達には本物を


     どの家にも歴史がありますが、子どもは両親や兄弟の背中を見て育ちます。家庭に本を、教養書を、美術書でも世界文学でも知的なものが家に置いてあると、子どもはいつか興味を持ち将来の方向を見つけ出します。いまは殺伐とした社会現象がありますが、日本人は正々堂々と活躍してもらいたい、と結びました。
  • http://www.chinasupercity.com/3267.html
    上海スーパーシティ:中国上海ビジネス情報,社会文化情報,グルメ情報,生活情報北京-上海 CHINA SUPERCITY - 行動する画家 平山郁夫


    −−−またユネスコ特別顧問という立場では、アフガニスタンバーミヤンの石仏への爆撃をタリバンから阻止するため、自宅にそのナンバーツーを呼んで会談をしたことも。芸術家としては希有なほどに社会活動の表舞台に立つことが多い。


     2000年3月、タリバンのナンバーツーを日本に呼んで密かに和平交渉をやろうということになったのですが、タリバン政権を認めていないので外務省では交渉できません。そこで私に「ユネスコの立場で対応してくれ」という要請が来ました。この話し合いでまずは第1回の爆破は阻止できました。


     すると今度は反タリバン北部同盟の代表が来たのです、「内戦をなんとか止めたい」と。鎌倉の自宅、まさにこの部屋で話をしました。そして「文化による和平交渉」に向けて順調に走り出したのです。金銭的に不足があれば私が支援することも申し出ました。が、01年3月にタリバンバーミヤンの大仏を爆破してしまいました。原因は国連決議に基づく大国の経済封鎖でした。


     大仏破壊は、「罪のない女性、子ども、老人が飢えに、寒さに犠牲になっているのに、大仏だけを保存すればいいのか」というメッセージだったと思うのです。物だけ保護してもダメ、罪なき一般人を助けなければならない、と私もユネスコ本部に訴えました。戦争になれば文化財保存どころではありません。私自身、戦争を体験しているだけに、戦争の悲惨さを語り継ぎ、2度と戦争があってはならないと訴え続けてきました。 (中略)


    1号(はがき1枚の大きさ)の画につく値段は600万円とも。しかし、この超人気作家は有頂天になることなく、その財産を使うべきところに使ってきた。周囲の人々は平山画伯に対して畏敬の念を込めて「超人的」だと言う。世界の要人も「ミスター・ヒラヤマだから話を聞こう」と耳を傾ける。日本人でも稀に見る存在だけに後継者の有無が気になる。


     残念ながら後継者は期待できないでしょう。こうした仕事は、単に役職でやっているのではありません。また、名前だけあっても実際には経済力がなければ務まらない。人のフトコロを当てにするのではなく、身銭を切らないと説得力がありません。一方、芸術家は自分のための芸術を追及する人が多いのですが、私は被爆という大きな十字架を背負っています。わずかの差で分かれる生死。幸い私は生きています。だからひとつひとつをちゃんとやらないと死に切れないのです。画に対しても、文化財保護活動に対しても「この程度でいいのでは」は許されない。ましてや、自分さえよければ、というのも通用しないと思っています。 (以下略)
  • http://www.afghanembassyjp.com/jp/interviews/?in=17
    インタビュー: 日本画ユネスコ親善大使平山郁夫
    The Embassy of Afghanistan in Tokyo, Japan


    アフガニスタンにどのようなことを望まれますか?


    かつて、共有の文化を運び紹介した国です。それは、依然として、形を変えて残っているのではないでしょうか。日本は、第二次大戦で大変な犠牲者を内外で出して、その経験を生かして、平和で武力解決は絶対しない、という平和主義国家になり、60年たったわけです。アフガニスタンは、20年の内戦、内乱、がありましたが、協力して、平和でみんなが憧れる国として栄えてほしいです。かつては、民族や色々な人が共存しても、仲良く暮らしていたわけですし、ないものをあっちこっち運び、それが、シルクロードなのです。平和だから色々な民族が集まってくるわけで、戦争や暴力だと誰も行かなくなります。アフガニスタンは、かつては、世界中の文化がここを通っている大幹線で、主要な要衝の地であったわけですから、シルクロードを重要拠点としての歴史を感じ、再び人々が集まる平和な国になって、改めて、21世紀の拠点になって欲しいという思いがあります。


平山画伯は文化財保護などでも有名ではいらっしゃるが、でもちゃんとその主体であるひとを見ておられた。ご自身の被爆体験が基となり、シルクロードの訪問や調査を通じて多民族・多文化・多宗教のひとたちが平和に交流していたことを実感されてそれを数々の絵に表現された、と解します。それに基づいて今日本がどちらへ行くべきか、の明確なメッセージも発信しておられますね。私は絵についてはよくわかりませんが、一本の太い芯をもって生を全うされた平山さんは尊敬に値する、世界に誇れる日本人であるとおもいます。どの様にご遺志を継ぐことが出来るのかが我々に課された宿題でしょう。平山さん、安らかに。