遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

バイオ燃料の功罪: アルゼンチンのケース

先日TVを見ておりましたら、確かローマで11月に開催された食料安全保障に関する世界サミットか 国際連合食糧農業機関 - FAO (ウィキペディア) の会合のオープニングで、飢餓に苦しむ地域としてアフリカに混じって?アルゼンチンのケースが紹介されておりました。バイオ燃料用の大豆は生産されているが、そこに暮らす人たちには食べるものが無い現状を紹介していたと記憶します。


該当する新聞などの報道が見当たりませんが、 国際連合食糧農業機関(FAO)日本事務所HP 内 「■11月10日:最貧国は依然高い食料価格に苦しんでいる (PDF)」 が一番近そう、また 世界の食料安全保障:気候変動とバイオエネルギーの課題 (PDF も参考となりそう;


バイオ燃料 (ウィキペディア) では 「生物体(バイオマス)の持つエネルギーを利用したアルコール燃料、その他合成ガスのこと。石油のような枯渇性資源を代替しうる非枯渇性資源として注目されている他、二酸化炭素の総排出量が増えないと言われていることから主に自動車や航空機を動かす石油燃料の代替物として注目されている。」 と説明されていますが、同時に課題のひとつとして 「バイオ燃料植物を利用する(有力なのがサトウキビ、小麦、トウモロコシ等である)。大量に増産するには当然ながら作物が大量に必要となるが、特に政策などで推奨するなどしない限り、作物の耕作面積が急速に増えることはありえない。そのため、現在の生産量の中から穀物を利用することになるわけだが、全体的な生産量が上がっていない状態で需要だけが伸びることにより、穀物の値段が上がる、あるいは不足するのではないかという懸念がある。また、バイオ燃料に使用される作物への転作が行われることで、バイオ燃料としては不向きな作物も高騰、不足に陥る可能性がある。」 と認識されています。植物を利用すると云うことは農業ですから、当然気候による影響やら相場・科学薬品の問題と無縁では有り得ません。アルゼンチンに関する記事を幾つか拾ってみると;

  • http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601012&sid=ayMxIvP1YWxI
    Argentina May Import Beef First Time as Herds Die (Update3)
    Last Updated: August 18, 2009 16:31 EDT


    ※ 牛肉を1キロ生産するのに必要な飼料穀物の量は確か7キロ程度と言われています。言い換えれば牛肉の消費を減退させることで世界の飼料穀物需給を大きく緩和することが出来る筈。
  • http://ipsnews.net/news.asp?idnews=46516
    HEALTH-ARGENTINA: Scientists Reveal Effects of Glyphosate
    除草剤・グリフォサートで両生類の奇形 ブエノスアイレス大学科学者 (除草剤グリフォサートの毒性)


    BUENOS AIRES, Apr 15 (IPS) - Glyphosate, the herbicide used on soybeans in Argentina, causes malformations in amphibian embryos, say scientists here who revealed the findings of a study that has not yet been published. (以下略)


アメリカや中南米の肉は本当においしいのですが、他人を犠牲にしてまでステーキを食いたいとは思わないし、いくら環境に優しいからと言って、ひとのいのちを支える食べ物からクルマを走らせるための燃料を作るのは本末転倒。日経は個人的に大嫌いなメディアですが、2008年7月17日付け 「飢えている人がいる時に、食べ物をクルマに食べさせる」バイオ燃料の“真面目な悩み”風当たり強い新燃料は投資テーマになりうるのか? は大変参考となると思います。(全文読むためには会員登録要。無償の様ですが未確認)


なお同記事内で紹介されている レスター・R・ブラウン (ウィキペディア) さん設立のワールドウォッチ研究所およびアースポリシー研究所は各々;