ボリビアでのリチウム争奪戦: ポトシ銀山の轍を踏まぬ様に−−−
2009年10月18日、フィデルのコメント紹介の末尾で紹介しました南米ボリビアの資源が脚光を浴びています;
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20091108-OYT1T00053.htm
ボリビアでリチウム争奪戦…主要国、塩湖に群がる
(2009年11月8日01時44分 読売新聞)
南米の最貧国ボリビアで、日本も含む主要国が、次世代環境技術のカギを握る天然資源・リチウムの争奪戦を繰り広げている。
電気自動車などに使われる充電池の原料がアンデス山脈の秘境「ウユニ塩湖」に未開のまま眠っているのだ。その量は世界の埋蔵量の半分とも言われている。 (中略)
ただ、労働組合出身の大統領は、同時にリチウムの国家所有を掲げてもいる。各国が欲しい利権(採掘権)は渡さず、資金と技術だけを引き出す戦略だ。今年1月に採択した憲法改正では、リチウムを含む天然資源の国家所有を決めた。
ボリビアには、16世紀以降のスペイン植民地時代、世界最大のポトシ銀山を擁しながら、貧困にあえぎ続けた苦い歴史がある。リチウムを「ボリビア固有の宝」と呼ぶ大統領は、資源の国家管理こそ繁栄のカギと信じている。
◆両にらみ◆
投資を検討する側からは、「利権が得られず、工場の共同運営程度では利益が薄い。思い切った投資に踏み切りにくい」(日本の商社首脳)との声も漏れる。各国とも同じ悩みを抱え、ライバル国とボリビア政府の出方を両にらみしながらの神経戦が続く。 (以下略)
上掲記事中の銀山である ポトシ (ウィキペディア) は、奴隷制度の象徴として負の世界遺産にも数えられているそうです。なお リチウム (ウィキペディア) に関しては;
生産
埋蔵量は推定で1100–1300万トンと見積もられている。主な生産国は、チリ、オーストラリア、中国、ロシア、アルゼンチン。
リチウムの産地は偏在しており、南米に多く埋蔵する。南米の多くの国は政情が不安定であり、また政権が欧米諸国に対し友好的ではない、資源開発企業の国有化の危険があるなどから、開発にはリスクが伴い開発が行われない地域がある。
埋蔵量の少なさと偏在性、ハイブリッドカーへの採用などリチウムイオン蓄電池の人気の高まりによっては、石油以上に厳しい制約資源となる可能性がある。
と紹介されている通り、2007年時点のボリビアでの確認埋蔵量は540万トンですから、後に紹介するメキシコで新たに発見された鉱脈を除けばボリビアでの埋蔵は全世界の約50% ⇒ 世界の国別リチウム鉱生産・確認埋蔵量(2007年)(PDF) 。核融合発電および水素爆弾において、核融合反応の材料である三重水素を生成するために使用される (ウィキペディア) ことはある様ですが、現在電子機器 (ケータイやノート型パソコンではおなじみですね) や電気自動車用のバッテリ (当記事末尾参照) としての需要がメインの レアメタル (ウィキペディア) ですね。今までにも何度か報道されています;
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-06-13/2009061306_01_1.html
エコカー開発の成否握るリチウムの宝庫 ボリビア
資源主権掲げ社会変革
先住民の権利・自然との共生明記
2009年6月13日(土)「しんぶん赤旗」
http://blog.livedoor.jp/cheelend/archives/51575463.html
次世代自動車の動力源・リチウムが世界の約半分埋蔵されている国、ボリビア
ラテンCheel(チ−ル)史:菊地隆男 2009年02月03日
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080407/152450/?P=1
次世代電気自動車のアキレス腱「リチウム」
中国が本格生産開始、原油より厳しい制約資源に 1/2ページ
2008年4月15日(火) 日経ビジネスオンライン
http://resource.ashigaru.jp/country_bolivia_2.html
中南米・ボリビアの主な産物について。
資源について
出典: http://resource.ashigaru.jp/lithium.html
リチウム / 主要生産国 / 資源についてHP によると、リチウムの生産方法は ● 塩湖から塩水を汲み上げて濃縮させた後に炭酸リチウム精製を行う方法と、● 鉱床から鉱石を採掘する方法、即ち塩湖・鉱山の2種の埋蔵形態があり、ボリビアを含む南米は3ヶ所とも塩湖;
出典? Google Map
出典: http://www.evaporiticosbolivia.org/index.php?Modulo=Mundo&Opcion=Salares
ボリビアで実施されるであろう製造 (抽出・精製) 方法については、以下紹介のチリのアタカマ塩原のものが参考になりそう。冒頭で紹介の記事中にも、地元のひとのコトバとして 「地元ではリチウムで潤う期待と、開発でこの貴重な自然が変わらないか不安な声で揺れている」 とのことですから;
http://iii-estate.blogspot.com/2009/09/blog-post_05.html
アタカマ塩原におけるリチウムの製造方法
2009/09/05 株式会社イーステートの日々カイゼンのお知らせ
ボリビアの目論見は2013年にリチウムの商業生産を開始して2018年には自動車用リチウムの生産工場を国内に建設することの様ですが、時間をかけ過ぎの様な気はします。メキシコでも相当量の埋蔵 (塩湖ではなく鉱脈?) が確認された様ですし、そもそも塩湖よりは濃度が薄いが潤沢な海水からも抽出・精製は可能 (「EV時代」のキーマテリアル リチウム資源の将来を探る 3頁 / コラム鳥井弘之の『ニュースの深層』 / ECOマネジメント 2009年8月6日(木)公開 参照) ですからその研究次第ではボリビアの優位性は絶対的なものでは無くなるし、その希少性と安全性のデリケートさから代替材料が見つかれば需要は一気にしぼむ可能性だってある。「利権が得られないのでは利幅が薄い」 ことを理由に民間企業が投資を渋るのであれば、中国や産油国ベネズエラなどの助けを借りてでも前倒ししないと、またババをひかされる可能性あり、と思います。なおメキシコの 「新鉱脈発見」 については;
http://www.la-razon.com/versiones/20091009_006875/nota_248_892328.htm
En México descubren un enorme yacimiento de litio
Edición Digital - Viernes , Octubre 9 de 2009 La Razón 紙
Una empresa mexicana ha descubierto el que sería uno de los mayores yacimientos de litio y potasio del mundo. El hallazgo ocurrió en una zona salina de los estados de Zacatecas y San Luis Potosí, en el centro de México. (以下略)
http://www.zacatecashoy.com/eufrat/2009/10/minera-mexicana-halla-yacimiento-de-litio/
Minera Mexicana Halla Yacimiento de Litio
Publicado por: ZacatecasHoy.com | Viernes, 09 de Octubre de 2009
−−−La minera Piero Sutti S.A. de C.V. halló la presencia de litio y potasio en un área entre los estados norteños de Zacatecas y San Luis Potosí (以下略)
※ 場所は特定されていませんが、見つかったのはリチウムとカリウムですね。リチウムは塩水から硝酸塩カリウムと一緒に産出される副産物とのことですが、下掲 Google Map で該当地域を見てもめぼしい塩湖は見当たりませんが−−−
★リチウム電池関連の幾つかの紛らわしいコトバ (出典は全てウィキペディア) を整理しますと−−−
- 二次電池
蓄電池(ちくでんち)、充電式電池ともいい、充電を行うことにより電気を蓄えて電池として使用できる様になり、繰り返し使用することが出来る電池(化学電池)のこと
- リチウムイオン二次電池
電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う二次電池、すなわち蓄電池。単にリチウムイオン電池、リチウムイオンバッテリー、Li-ion電池ともいう。自動車用はこれ。
- リチウムイオンポリマー二次電池
電解質として電解液のかわりに高分子ゲルを使う、リチウムイオン二次電池の一種。ケータイやパソコンに使われているもの。
なおこれも脚光を浴びているエコカー (乗用車) 関連では;
- 電池自動車
行中に外部からのエネルギー供給を受けない電気自動車。定義があいまい。
- ハイブリッドカー または HV
異なる二つ以上の動力源・エネルギー源を持つ自動車のこと。
- 電気自動車 または EV
電動機(モーター)を動力発生源として推進する自動車(軌道不要の車両)。
- 電池式電気自動車
蓄電池に充電して電動機を駆動するタイプ。近年になりバッテリーとモーターの技術革新が起きるまで普及は福祉やレジャー分野のほか工場や市場内の運搬用など限定的であった。
- プラグインハイブリッドカー
直接充電できるタイプのハイブリッドカーである。プラグインでないハイブリッドカーに比べ電池を多く搭載しているため電気のみでより長距離を走行できる特徴がある。ガソリン車の長距離航続性能を残しながら電気自動車により近づいたタイプのハイブリッドカー
- 水素自動車
水素をエネルギーとする自動車のこと