遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

キューバ を毛嫌い・食わず嫌いする前に:その1  医療のこと


出典: http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/83/Cuba_Topography.png


キューバ (ウィキペディア) は、われわれには馴染みの薄い社会主義国家、従って無知や誤解は避けられません。常に目と鼻の先にあえる隣国アメリカの脅威に晒された社会システムを守るための様々な制約があるだろうし、政府の言っていることに嘘もあるでしょうし、 『虐げられた不満分子』 もいるでしょう。我々が暮らすと多分相当不便な国の筈です。では比較の意味で日本は? 人口が多く密度が高いがゆえの規制あるいは不文律のルールは沢山あるし --- と云うより大体規制やルールの無い社会はあり得ないし、政府は嘘ばかり言っているし、発言によっては公権力によるものでは無いかも知れないが嫌がらせは有り得るし、不満をアキバのホコ天で爆発させる狂人もいるし。報道規制などなくても主要メディアは喜んで奴隷になり下がっているし、大同小異でしょ。アメリカもそう。疑うならアメリカに何らかのビザで暮らして、例えばアメリカの安全保障 (治安) 政策を痛烈に批判してみるとよい。何でも言えるかも知れないが、アメリカに忠誠を誓わないなら放りだされる筈。今ならテロ準備の容疑をかけられてぶち込まれる、と云うオプションもあるし。−−−おい、ちゃんと国旗に敬意を払えよ、誰のおかげでアメリカで暮らせると思ってるんだ?


世界中どこを探しても、何でもかなうパラダイスなんて恐らく無い。(旅行してみたらパラダイスだったと云うことはあるかも、でもそこで暮らすことは全く別のハナシ。)日本は便利だが生活は全然豊かじゃあない。その責任は個人にある、と思い込まされているし。(部分的には正しいが−−−) ではxxx国は?いや、治安が悪くてダメ。ではyyy国は? いや、不自由でダメ。 ではzzz国は? とんでもない、じゃあ−−−。 要は何を求めるかですね、全ては手に入らない。完璧な社会なんて有り得ないし、国民の全てを満足させる政府もあり得ない。 身勝手だし欲望にはキリが無いし、暴力やら犯罪やら差別やら権力の横暴やら、人間はどうしようも無い生き物だから。


そう考えてみると、たとえアカ (と云う体制) は虫酸が走るほど嫌いでも、そこに暮らすひとは我々とそんなに違う訳は無いから、現実は正しく理解・評価すべき、と云う考えもありますね。よほど傲慢な馬鹿でない限り学ぶべきところは多い筈。キューバについて色々読んでほぼ間違いが無いだろうと思われるのは、国内の医療システムの素晴らしさ、医療による国際貢献、環境技術の先進性とその実行度の高さ、教育レベルの高さあたりですね。これらを否定なり疑問視する資料にはお目にかかったことがありませんから。では日本が誇れるものは? 治安は、以前より悪くなったとは云えまだ世界最高レベル。でも厳格なイスラム圏よりは劣るかも。 教育レベルを識字率・大学進学率みたいなもので測るのであれば世界最高に近いのでしょうが、ガクセイさん *1 やダイソツってそんなに優秀でしたっけ? では勤勉さ・礼儀正しさ --- そんなコトバは死語、聞いたことはあるが多分過去のもの、オレの親父の世代あたりまでかな? う〜〜ん、優秀な製造技術、漫画、餓死者の少なさあたりですかね。


と云うことで、不定期ではありますが、上述のキューバの素晴らしい (と私が感じる) ところをぼちぼちと紹介してみたく。本当は何年か暮らした経験に基づいて書くべきかも知れませんので、その様な人のサイトやらブログも併せて紹介出来れば。第1弾?は医療のこと;

  • http://job.yomiuri.co.jp/news/ne_07103001.htm
    米→キューバ医学留学 / 学費無料「お金なくても夢かなう」
    (2007年10月30日 読売新聞)


     カリブ海の島国、キューバに渡って医学を学ぶ米国人留学生が増えている。最先端の医療水準を誇る米国から、米政府の経済制裁に苦しむ“敵国”に向かう背景には、医療も医学も貧困家庭には届きにくいという米国の事情があるようだ。(ハバナで 中島慎一郎)


     「米国ではお金がなければ医者になれない。キューバでなら夢がかなう」


     ハバナ郊外のラテンアメリカ医学校。昨年入学したアトランタ州出身のチャシティ・フォールズさん(30)は7歳の息子を持つシングルマザーだ。昔から医師になりたかったが、経済的な事情から断念。幼稚園や会社勤めなどを転々としていたある日、キューバでの医学留学を仲介するキリスト教団体の存在を知り、迷わず申し込んだ。 (中略)


    ーーー ラテンアメリカ医学校は、1999年に開校した。その前年のハリケーンで被災した中米諸国に医師を派遣したカストロ議長がこれら各国の貧困家庭の若者を受け入れ、医師として育てようと提案し、誕生した。 (中略)


    −−− キューバは現在、同学校を中心に中南米やアフリカ諸国など約30か国から留学生9000人以上を受け入れている。米国人は、うち92人だが、年々増えてきた。同学校のエイディ・ソカ基礎科学部長は、米国人受け入れについて「問題なのは米政府の敵意であり米国民は友好的。貧しい人々が十分な医療を受けられない現状も知っている」と理解を示す。


     米国内では、医療保険制度に焦点を当て、貧富の格差が引き起こす医療現場の惨状を描いたマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画「シッコ」が話題を呼んだばかりだが、留学生も驚きを隠さない。


     米ワシントン州出身の20歳代の留学生、ラモン・ベルナルさんは「米国では、患者は名前より先に治療費を払えるだけの保険に加入しているかどうかを尋ねられるのに」と無料医療にショックを受ける。カリフォルニア州出身のエリシア・モラレスさん(25)も「米国の医療制度は破たんしている。逆にキューバ経済制裁を受けながらも、国民誰もが教育や医療を受けられる。この国は共産主義だが、米政権が非難するような『悪』の国ではない」と複雑な気持ちだ。


     学生は、インターネットは2週間に1時間半しか使えないなど不便も多い。それでも、サウスカロライナ州出身のフランク・エマーソンさん(24)は「帰国したら貧困地域の医療改善に経験を役立てたい」と話した。
  • http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L1/210304.htm
    3221.キューバにできて日本にできない理由はない
    (リンク切れのため正確な日時が把握出来ませんが、url から判断すると2004年3月21日?)


    キューバにできて日本にできない理由はない


    キューバGDP/人は日本の1/10だが医者数は人口あたり日本の3倍以上,医療水準は高く、医療輸出国で医師を派遣している国は94カ国で3万人


    地域医療が発達していて各地に診療所がある。24時間診療、医療費は無料


    教育も無料、医者になるのに学費は無料、志しある人は誰でも医者になれる


    取材は自由にできる


ここで紹介されている 『ラテンアメリカ医学校』 とは ELAM ( = Escuela Latinoamericana de Medicina (Wikipedia ES) )を指します。英語版 Wikipedia の説明の方がはるかに詳しいですね。

    • Misión


      La apertura, en La Habana , de la Escuela Latinoamericana de Medicina forma parte de la tradición solidaria del pueblo cubano con otros pueblos del mundo. Esta Escuela es una Universidad que tiene la misión de formar Médicos Generales Básicos, orientados hacia la atención primaria de salud como escenario fundamental de su atención profesional, con una elevada preparación científica, humanista, ética y solidaria; capaces de actuar en su entorno de acuerdo con las necesidades de la región para el desarrollo humano sostenible.


      A disposición del Proyecto ELAM se han puesto modernos laboratorios, salones y auditorios, dotados de las nuevas tecnologías de la información y las comunicaciones para garantizar el aprendizaje, según los objetivos del Plan de Estudio.


      En función del Proyecto trabajan todas las áreas asistenciales del país y existe y se aplica sistemáticamente el proceso de acreditación de las áreas utilizadas en la enseñanza, así como el proceso de evaluación y de certificación de las categorías docentes y científicas de los profesores.
  • 上掲読売新聞記事内にも記載があり、一部抜粋しますと;


    -−−−議長は国内では、「キューバ革命」(1959年)以前の悲惨な状況に後戻りしないよう、医療と教育の無料化に取り組んできた。とりわけ医療では旧ソ連などから技術や物資を導入、医師育成に尽力してきた。


     その結果、いまや、家庭医(ホームドクター)が充実し、医師1人当たりの国民人口がわずか158人(2006年)と世界有数の医療体制を確立。高額の機器を駆使する先端医療ではないが、予防や、きめ細かな治療によって乳児死亡率は米国よりも低くなった。


     近年は、医師不足に悩む約70か国に医師3万人以上を派遣しているほどだ。


私事になりますが、私の家族が最近親族の介護のため南米ベネズエラで2年程過ごした際、カラカス市内の病院でそれこそ本当に親身に治療なり相談に乗ってくれた医師が例外なくキューバ人であったことに驚いておりました。正に医は仁術の実践だった様です。ベネズエラって石油の上に浮かんだ国ですから基本的に豊かだし、チャベス大統領も恐らくキューバを手本にして医療には力を入れている筈ですが、キューバの医師に頼るところ大の様です。結局医は算術では国民の福祉なんて成り立たない。


ラテンアメリカ医学校の様な施設と云うか教育システムなら現行憲法あるいは平和の理念に反せず国際貢献出来る訳で、よいものは真似しなくっちゃ。主旨に賛同されるお医者さんは少なくはない筈です。と云うより、そう思いたい。それ以前に日本国内のへき地医療の改善をすべきだろう、と云うこともありますが、それこそキューバのケースは参考になると思いますけどね。


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*1:蛇足ですが最近、xx大生がxx駅にチン入したとか。昔 ストリーキング ってのが日本でもはやった?ことを思い出しました。おおらかな?写真を多数見た覚えがありますが、さすがに現在ネット上にはほとんどアップされていません。残念!!!??