遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

10月12日: 民族の日 あるいは アメリカ大陸発見の日


出典: http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/archive/9/97/20070727014329%21Christopher_Columbus3.jpg


10月12日は、よく知られた様に、1492年8月3日コロンブスが第1回航海に出発して以来初めて陸地を踏んだ日です。場所はバハマ諸島グァナハニ島とのことですが、今となってはバハマ諸島のうちラカヨ群島のどれかであっただろう、と云うレベルで、正確にどの島であったのかはわからない様ですね;(Guanahani (Wikipedia (ES) および Guanahani (Wikipedia (EN) 参照);


最有力?候補と考えられているのは Cayo Samaná および Cayos Franceses あたりとのこと、下添の元地図拡大してわかりますか?


出典: http://www.lib.utexas.edu/maps/americas/bahamas_pol86.jpg


もっと詳細にはGoogleマップが便利ですね。http://local.google.co.jp/ へアクセスのうえ、以下座標を入力(貼り付け)すれば、地図・航空写真とも見られます;

  • Cayo Samaná (Samana Cay)
    23.094891,-73.764954
  • Cayos Franceses o Cayos Plana (Plana Cays o French Cays)
    22.600382,-73.612518


この島が初めて地図の上に示されたのは、西暦1500年頃描かれた Mapa de Juan de la Cosa (Wikipedia (ES) の中とのこと;



出典: Guanahani (Wikipedia (ES)


地理に関する考察 (って程のものではありませんが) はここまで、以下その意味について考えてみますと−−−

10月12日が祝祭日の国 (ジェトロによる。宗教関連の祝日除く)


コスタリカ  二文明出会いの日  Día del Encuentro de Culturas
ベネズエラ  民族の日       Día de la Raza
コロンビア  民族祭         Fiesta de la Raza
                     (Descubrimiento de America)
アルゼンチン 民族の日       Día de la Raza
チリ     アメリカ大陸発見日  Día de la Raza
                     (Descubrimiento de America)
アメリカ   コロンブス記念日   Columbus Day
スペイン   国家祝日       Fiesta Nacional de España


コロンブス・デー (ウィキペディア)
Día de la Raza (西語版 Wikipedia)

※ 他国でも祝祭日指定されているかも知れませんが、上掲はあくまでジェトロのサイト 世界の祝祭日 に表示されたもののみ。なおサイトによって10月12日のスペイン語名称もまちまちなら、その日本語訳もばらばらです。


アメリカ大陸発見』 やら 『コロンブス』 の名称は征服側から見た場合のコトバですし、『民族』 『先住民』 『二文明』 などは被征服側から見たものですね。私が南米某国に住んでいた時友人はこの日のことを " --- es el día en que los españoles empezaron a echar la vaina en las Américas" ってな風に言っておりましたから、あまり好意的ではありません。例えばベネズエラの場合、2002年以降10月12日の意味付けは、正式には Día de la resistencia indígena (Wikipedia ES) (先住民抵抗の日) と変更されています。上掲ジェトロチャベスがキライなので無視しているのかどうかは知りませんが−−−


なおアメリカ(合衆国) でも被征服側の立場から American Indian Movement (Wikipedia EN) 、邦訳 「アメリカインディアン運動」 が存在する様ですね。参考まで、 同組織のHP から、2009年9月24日付けプレス・リリース "re: Press Statement United Nations Assembly In New York" にアクセス可。オバマに対し、 "The American Indian Movement asks the question of the Obama Administration: Will his administration recognize and support the international standard approved by the vast majority of the world’s nations? " と呼びかけています。なおざっと見たところ、特にコロンブス・デーに際してのイベントなどは案内されておりません。


「新大陸発見」 と云うコトバは正確ではありません、先住民がいた訳ですから。「旧世界」 にとっては新しい植民地の獲得を意味しましたから、裏を返せば、先住民にとっては悪夢の始まりだった訳で。コロンブスは 「旧世界」 から見ると英雄かも知れないが、先住民にとっては殺戮者です。コロンブスに限らず 「旧世界」 の 「冒険者」 は一体何をしたのか? 結果から判断すると、発見した地を植民地化して荒らしただけ。安価な労働力の調達先となったアフリカなんて最悪ですね。「西側」世界史上のヒーローやら冒険のロマンを否定するものではないけれど、 「未開人を文明化した」 などと云うのは身勝手で傲慢なタワゴトに過ぎない。 *1 現在、ネコも杓子もエコを叫んでいますが、「未開の地のひとたち」 の生活こそ正にエコの実践だったと言えませんか?? 自然が与えてくれるものの範囲で暮らしていた訳で、回復出来ないレベルで破壊することなど無かった筈です。自分たちが暮らして行けなくなることを知っていた訳ですから。それを理解出来なかった 「文明人」 が彼らを 「野蛮人」 と呼んだだけ。


上記は、ある意味極端な観方であることは百も承知しています。今更原始時代や (リサイクルの世界最先端を走っていたとは云え)江戸時代に戻ることは不可能ですから。でも戒めるべきは、自分達の傲慢さ・他者に対する無知ですね。自分達の仕組みや価値観が、文化的・歴史的・地理的など諸事情のため他地域で通用するとは限らないことを認識すべきです。もっと進めるなら、今の 「世界の勝ち組」 の仕組みはこのままでは破たんすることを認識すべき。明らかに時代遅れです。

.

*1:アホなサンプルをひとつ紹介しておきます;
http://www.pittsburghlive.com/x/pittsburghtrib/opinion/s_647286.html
Columbus Day 2009: Still worth celebrating
Buzz up!Monday, October 12, 2009
Pittsburgh Tribune-Review


--- Writes Thomas A. Bowden of The Ayn Rand Center for Individual Rights, "Thus, the deeper meaning of Columbus Day is to celebrate the rational core of Western civilization, which flourished in the New World like a pot-bound plant liberated from its confining shell, demonstrating to the world what greatness is possible to man at his best." (以下略)