遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

翻訳家 山岡朋子さん その53: 南米ベネズエラのこと その4 ふたたび ミス・ベネズエラ 速報

昨年のミス・ベネズエラ Stefanía Fernández Krupij さんが、昨年の Dayana Mendoza さん (=一昨年のミス・ベネズエラ) に続いて2年連続でミス・ユニバースに選ばれました。まずはめでたい;


2008年ミス・ベネズエラでの写真 (本当はもっと素顔に近いものがイイのですが)
出典 = http://www.bellezavenezolana.net/MissVenezuela/2008/Ebel/galeria.htm
※ このサイトには2008年ミス・ベネズエラ全参加者の写真が掲載されています。


ミス・ユニバースは2年連続でベネズエラ代表に栄冠/CNN.co.jp 8月24日18時6分配信 など参照。


母方の苗字 Krupij は元々スペイン語圏のものではありません。この点についてスペイン語Wikipedia での紹介 Stefanía Fernández によると、父方はスペイン系、母方は前世紀に移住して定住した東欧 (ロシア、ウクライナポーランドなど) 系とのこと。この国に飛び抜けた美人が多い理由は、元々のスペイン系に加え、ベネズエラと云う国の名前の由来 『小さなベネチア*1 が示す様にイタリア系やらステファニアさんの様な東欧系など、いわゆる美人の血統 (そんなものがあるのかは−−−議論しないことに) が入っているためでは、と勝手に思っています。


で、少し寄り道を; 最初に断わっておきますが、 「美人」 はその逆のコトバ同様に差別用語であると思います。でもここでは無邪気に綺麗なおねーさん程度の軽い意味で使用します。教養だの人格だのは一切関係ありません。顔の骨格と皮下脂肪の厚さなどの産物でしかありませんよね。同じ様に白人だの黒人と云うコトバも、特に断り無き限り単に肌の色を指します。


例えばカラカスの町は美人であふれ返っているか? もちろん答えはNoです。よく美人の産地として3C (コロンビア、チリ、コスタリカ) が挙げられますが、皆同じ。さる企業のモスクワ事務所にはシャラポワクラスが沢山いる、などと言われて行ってみたら−−−なんてことはよくあるハナシですね。でも個人的には、行ったことはありませんがウクライナなんて美人が多そう。


ウィキペディアベネズエラ によると、ある調査では、 (多分原住民を除く) ベネズエラの人種構成はメスティーソ67%、ヨーロッパ系21%、アフリカ系10%、インド系2%とのこと。お気付きの様に、殆どが白と黒のメスティーソです。ベネズエラではこれをよくコーヒーに例えていました。おおまかには、 leche (牛乳)、con leche (カフェオレ)、 guayoyo (アメリカンコーヒー、でも実際そんなに薄くはない)、 negro (ブレンド、ただ実際にはエスプレッソ) の様に、白と黒の混じり合う比率によって。肌の色に関係なく、はっとするような美人を見かけるのは事実。


同じくウィキペディアには次の様な記述があります;

人種差別が表に現れることを恥ずべきという意識はないことはないが、街頭などで人種差別的な偏見を口に出す人間は他のラテンアメリカ諸国に比べても格段に多い。皮膚感覚では南米で一番酷い国であるという者もいる[要出典]。そして現実社会では他のラテンアメリカ諸国と同じように上流階級が白人で占められている。当然のことだが白人が他人種より上にあるという関係が個人間でなりたつわけではなく、下層の白人も中流の黒人もいる。しかし、多くの域内諸国と同様に多くの非白人に機会の均等が保障されているわけではない[要出典]。インディヘナはスリア州やオリノコ川南部に多く居住している。

でもベネズエラで(昔)暮した経験から言わせてもらうと、これは少し言い過ぎですね。肌の色について軽く口に出す傾向はあるのかも知れませんが、大半は一切悪意なんてありません。白のxxったれもいれば教養にあふれる黒もいることは皆認識しているし、友人として・同僚として付き合うのにそのテの偏見はありません。例えば本当に真っ黒の友人がおりましたが、皆無邪気に親しみを込めて Caraota (ベネズエラを代表する食材、黒い豆) と呼んでおりました。その様な呼び方そのものが差別と言われてもねぇ。


女性について、少し下品かも知れないが事実をひとつ; ラテンですから、美人が通ると周りのオトコの目がそれこそ一斉に彼女を追います。見ていると実におもしろい。で、オトコたちは彼女のどこを見ていると思います? 顔? 胸? 足? 全部No。お尻を見ているのです。ブラジルもそうだ、とある友人が教えてくれました。美人の条件は、実はお尻かも知れません。


寄り道の最後: 日本人は、これはスペインでも同じでしょうが、 chino と呼ばれることがあります。別に悪意は無く、親しみを込めた呼び方であったり、無知によるもので目くじらを立てる様なことではありません。でも一度明らかに侮蔑的にそう呼ばれたことがあったので、とっておきの(?)返事を返しました; 「何だ、 colombiano」 相手は真っ赤になって怒りましたね。散々怒らしておいてから、「そうだね、あんたは colombiano ではないのだね。同じ様にオレも chino じゃあないんだけど」 と切り返して収めましたっけ。コロンビアとベネズエラは隣国同士で仲が悪いことを利用したもの。一般的に、コロンビア人から見たベネズエラ人は怠け者だし、ベネズエラ人から見たコロンビア人は盗人だし。馬鹿な偏見ですよ、もちろん。


参考まで、 Stefanía Fernández Krupij さんの身長とスリーサイズは、現地 EL UNIVERSAL 紙によると "con medidas perfectas de 90-60-90 y una estatura de 1,77 m" だそうです。ついでにもうひとつスペイン語のお勉強を; スペイン語の場合、単子音 S で始まる単語は、基本的に S の前に E を付けます。 Stefanía Fernández Krupij さんの正式なお名前は何であるのかは不明ですが、新聞などでは Estefanía Fernández と記載していることも多い様です。発音しにくいからでしょうね。


なお Stefanía Fernández Krupij さんはトゥルヒージョ州 ( Estado Trujillo ) の代表としてミス・ベネズエラに参加なさいました。以下地図では、アンデス山脈からマラカイボ湖の東に位置します;


出典: http://www.a-venezuela.com/mapas/mapaspdf/regionesgeograficas.pdf


最後に、先日紹介しましたメキシコの歌手 Pedro Infante さんのうたう Alma llanera を紹介して、改めてお祝いを;


Titulo = PEDRO INFANTE - ALMA LLANERA

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*1: ウィキペディア に以下記載があります;


ベネスエラ(Venezuela)という名の由来には諸説があり、一つはイタリアのヴェネツィアに由来するというものである。1499年この地を訪れたスペイン人の探検者、アロンソ・デ・オヘダとアメリゴ・ヴェスプッチが、マラカイボ湖畔のグアヒーラ半島に並び建つインディヘナたちの水上村落を、水の都ヴェネツィアに見立て、イタリア語で「小さなヴェネツィア」("Venezuola")と命名した事によるとされている。

もう一つは、この地に住んでいたインディヘナが"Veneciuela"と呼ばれており、そこから派生してVenezuelaに成ったのだという説であり[2] 、この説によるとベネスエラという国名は土着の言葉から生まれたものだということになる。どちらの説が正しいかという論争は絶えないものの、現在一般的な説として人々に信じられている説は前者である。