遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

戦後64年経った今、何が未解決で残っているのか? その2

第2回目の話題は、戦後賠償の問題について;

    • 日本は戦後巨額の賠償金を支払ったものの、従軍慰安婦問題やら南京大虐殺やらについて責任を取れとの声が大きい。南京大虐殺については、どうもあるにはあったらしいが、人数がはっきりしない。そんなことは無かった、全くのデッチあげである、と言う意見は、ホロコーストは無かったと言うのと同じくらい犯罪とみなされている。 −−− 8月11日の記事より抜粋


Wikipedia日本の戦争賠償と戦後補償 によると、同時期の戦争とは直接の関係はない植民地支配なども含んだ戦争賠償・補償ついては、日本と被害各国との間で締結された条約・協定等により、あるいは履行された事と各地の軍事裁判で判決を受け入れたことで償われており、国際法上既に決着していると云うのが公式な結論ですね。なお一般的には、戦争賠償は国家間で処理される問題、戦後補償は被害者個人に対してなされる保証と云う区別があるそうです。


では、まず戦争賠償 (国家間) について。


外務省の 『賠償並びに戦後処理の一環としてなされた経済協力及び支払い等(外務省)』 よりその全体像を以下引用しますと;



総額 1兆3,525億2,789万8,145円 の支払い で、1956年に制定された賠償等特殊債務処理特別会計法により処理され、1979年に支払い完了して廃止された経緯があります。


内訳は上掲のPDFに記載されていますが、その内訳の内容をWikipediaの分類で簡単にまとめると;

  1. 中間賠償
  2. 外資産による賠償
  3. 連合国捕虜に対する補償
  4. 占領した連合国に対する賠償
  5. 準賠償 = 朝鮮に対する補償、 「占領した連合国に対する賠償」 に準じる賠償、その他の各種請求権
  6. 生産物・役務による賠償、ヒモつき援助、ODA

※ 外務省の資料では、更に戦前債務の支払いがプラスされています。


角度を変えて、現在反日感情がくすぶっていると思われる中国・韓国・北朝鮮について見てみると (出典:7.日本の具体的戦後処理(賠償、財産・請求権問題)) −−−

  • 韓国: 1965年の日韓請求権・経済協力協定により、財産・請求権問題が解決されたことを確認するとともに5億ドルの経済協力(無償3億ドル、有償2億ドル)を実施した。
  • 北朝鮮: 北朝鮮との問の財産・請求権問題については、日朝国交正常化交渉の中で話し合われるべき問題であるが、2002年9月7日の日朝平壌宣言においては、「双方は、国交正常化を実現するにあたっては、1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉において誠実に協議することとした。」とされている。


北朝鮮との国交正常化に関しては、今日現在正式な国交は無いので未解決のまま、と云うことになりますね。Wikipediaによると、 「現在交渉中の日本と北朝鮮(朝鮮民主主義共和国)との国交正常化において北朝鮮側から大韓民国以上の補償を求められている。」 とのこと。拉致問題やら核実験など、日本の北朝鮮に対する感情は非常に悪いと言わざるを得ません。でも、2002年に多分北朝鮮側の誰かが政治生命をかけて5人の拉致被害者帰国を実現させた際、結果としてその顔を完全につぶしてしまったこと、拉致問題の制裁の意図もあって核問題などでアメリカの尻馬に乗って非難を続けていることなど、外交面での日本の幼稚な対応も問題だなぁ、と私は考えています。2002年は本当によいチャンスだったのに−−− お互いに憎しみあうだけですから、いつまで経っても何も解決しない。これって、明らかに日本にも責任がありますよ。それに北朝鮮は悪魔に支配された地獄の様に日本では報道されていますが、キューバのケースを知っている者としては、その情報の偏りが気になります。北朝鮮では、日本が悪魔として映っているかも知れませんし。ミャンマー (後日考察予定) しかり。


中国に関しては日中共同声明がありますから、中国政府として公式な請求など出来ないことは承知の筈。反日 キャンペーンの旗頭は多分、アメリカに本拠を置く 【世界抗日戦争史実維護連合会】 あたりでしょう。正直その内容にはあきれてしまうものの、世界中に拡がっている華僑ネットワークのチカラは侮れません。


次に戦後補償 (被害者個人に対する) について;


Wikipediaの該当部分をそのまま抜粋しますと;

慰安婦に対する補償


朝鮮や中国、台湾に住む元慰安婦と其の家族は日本政府に対し謝罪と賠償を要求する訴訟を度々起こしている。そのような人々に対して同政府は「反省の気持ち」を表明しているが、日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約などの条約で賠償義務は政府間で決着済みであるとしており、裁判所でもその旨の判決が下されている。またアメリカでも訴訟を起こしたが全て却下されている。


これも、公式には解決済みですね。外務省の 慰安婦問題に対する日本政府の施策 も参照。
(言わずもがなですが、私は役人は好きではありませんがこの記事中外務省の資料引用しているのは、それが日本国としての公式文書であり回答だから。)


最後に南京大虐殺について;


この問題も、Wikipedia南京大虐殺 など読む限り、今となっては正確なところが把握出来ない様ですね。南京大虐殺論争 と云う独立したページが設定されているくらいです。 (この項目はその3へ続く、とします。)



−−− こうして見て来ますと、おカネと云うことでは、正式な国交が無く未解決となっている北朝鮮を除いて私たちの先人がきっちり決済を完了しています。先の大戦自虐史観から観るならば、 『加害者は被害者がもうよい、と許してくれるまでは頭を下げ続けなければならない』 となるのでしょうが、それが日本国民の総意とは思えませんし、正しいこととも思えません。


賠償・補償が法律的には完了したことを堂々と主張して認めてもらったうえで、そうは云っても−−−の部分を、例えば両国で共同調査を行って後世に残す算段をする、過去を補う以上のものを協力して築きあげることを考える、と云うのがまともではないか? と私には思えます。少なくともビジネスの世界ではそれが交渉です。


戦争とビジネスは違うって? 当ったり前ですよ。現在残っている問題は感情の部分です。そんな簡単には解決しませんよ。だから戦争はやっちゃあいけない、割に合わない、と言っているのです。