遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

オバマ新大統領発表の アフガン政策新包括戦略 Watch: その9 イラン騒動の被害者

YAHOO 「アフガニスタン復興」 トピックスに記載されている無味乾燥な6月20日以降の記事一覧は次の通り;

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/afghanistans_political_future/news_list/?pn=1


このところ有名人の訃報が続きますね。6月25日にはマイケル・ジャクソンさんのみならず、その報道の陰に隠れてしまった感のあるファラ・フォーセット (初代チャーリーズ・エンジェルのおひとり、ゴージャスな女性) さん。おふたりともファンと云う訳ではありませんが子どものころから親しみがあります。フツーのひとの何倍もの密度で時代を駆け抜けられたのでしょうね、安らかに−−−


しかし6月20日イランで射殺されたネダ・アグハ・ソルタンさん ( Ms. Neda Agha-Soltan ) については、無名のごく普通のイランの女性であったにもかかわら
ず、ネットを通じて世界中にその死の一部始終の映像が流れる異常な事態となっています。


  
写真の出典:
左  http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-neda-agha-soltan-pictures,0,5241125.photogallery?index=1
右  http://www.bbc.co.uk/persian/iran/2009/06/090622_mm_neda_soltan.shtml
※ ご本人はどちらの写真がお好きだったのかわかりませんので、両方掲載します。 *1


通り魔的な犯罪の被害者 *2 となり亡くなられたネダさんに関しては、こころよりご冥福をお祈りします。痛かったでしょう、さぞ悔しいでしょう。


ネット上に溢れる無数の情報の大半は、正確さの確認出来ない伝聞情報あるいは全くの推測に基づき、ある意図をもって加工されたもの。ネダさんの死は、『国際社会』 を標ぼうする一部西側およびイラン国内の反体制派 (改革派) にとって都合よく利用されているとしか言いようがありません。私だったら、愛する肉親の死を好奇の目に晒したくはありません。(加害者には見せたいと思うかも知れませんが。)


ところで今回に限ったことではないが、CNNの姿勢には本当にあきれてしまう。本来報道の規制対象となっている筈の 「暴力的な場面」 --- まして今回は流血・人の死を撮影したもの --- をCNN Videoで配信していること。真実を知らしめるのが使命なら、例えば何故アフガニスタンで爆撃の犠牲となった、子供を含む民間人の映像や画像は配信しないのか? パレスチナでの惨劇は? 前回6月20日でも触れましたが。


この様な死を無駄にしてはならない、と云う意見には賛成なのですが、ネダさんに関しては、ご本人の意思が確認出来ないにもかかわらず、革命のシンボルに祭り上げられてしまった。この件は、自国が国外で犯している犯罪には目をつぶり、自分にとって正しい 「正義」 を押しつけたがる欧米人が飛びつく格好のネタです。何でも無責任に発信する 「自由」 と手段と時間と余裕がありますからね。


考えてみれば、世界が注視する中、それでなくとも自由を尊重しない悪魔の様に報道されている 「旧体制側」 がデモに参加してもいない若い女性を射殺する愚を犯しますか? 自分の首を絞めるだけ、何のメリットもありません。亡くなられたネダさんには大変申し訳ありませんが、メリットはむしろ 「反体制派」 にありますね。正に殺人の動機がはっきりしていると云える。不正選挙糾弾も併せ、狙い通りにコトは運んでいますから。イランの駐メキシコ大使が、「米中央情報局(CIA)などの組織が関与している可能性がある」 との見方を示したのも無理はありません。

http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200906260020.html
からの抜粋:


--- これはテロリストやCIA、諜報機関のやり方だ。彼らはこうした抗議活動で血を流させ、イラン・イスラム共和国に対する敵対材料としてそれを使おうとする。これはCIAがさまざまな国で用いてきた常套手段だ」とガディリ大使は主張。ただし「やったのがCIAだとは言っていない。別の諜報機関かもしれないし、CIAかもしれないし、テロリストかもしれない」とも付け加えた。


大統領選後の混乱では、イランのイスラム体制指導者らが過去の米・イラン関係を踏まえ、CIAの介在をたびたび示唆しているが、米政府高官が「馬鹿らしい」と一蹴(しゅう)している。 ---


政府高官が一蹴しようとも、この国には否定しようのない裏付けのある前科が沢山あることは歴史の示す通り。長く中南米に関わっているとこれは常識なのですが。


今すべきことは、イラン当局が犯罪の直接の加害者を特定・逮捕して全容を明らかに出来るかを監視することと思います。デモ鎮圧に際して死者が出ることは、許されることではないが欧米や日本でだって実際起こっていますから−−− オバマに関して云うと、国内の独善的・好戦的な勢力を抑えて本当にイスラム圏との関係改善を実現出来るのか、正念場ですね。 Son las mismas mierdas --- と思われたらそれでオシマイです。


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*1:何故こんな断りを書くかと云えば、Wikipediaの対応に疑問があるため。http://en.wikipedia.org/wiki/Death_of_Neda_Agha-Soltan には息絶えつつあるネダさんの映像を堂々と掲載している一方で、http://en.wikipedia.org/wiki/Neda_Agha_Soltan に掲載されているヒジャブ着用の正式な写真 (上左のもの) に関しては、 "The image above is proposed for deletion. See files for deletion to help reach a consensus on what to do." のコメントがある。私にはこの感覚がわからない。一体どちらを消すべきなのか、議論の方向を間違っていませんかね?

*2:射殺された際の状況については、情報の公正さについて比較的配慮していると思われるウィキペディア http://en.wikipedia.org/wiki/Death_of_Neda_Agha-Soltan を参照