遊蕩爺の漂浪メモ

『翻訳家 山岡朋子ファンクラブ初代会長の日記』 より移行

翻訳家 山岡朋子さん その37  『フリア・アルバレスと闇の時代』 その8: ハイチの場合 その3

さてドミニカ共和国およびハイチの 『闇の時代』 について考察していたところで丁度タイミングよく? オバマ新大統領が 『アフガニスタン新包括政策』 を発表したため、先に新政策に関する懸念についてコメントしました。


ただしカリブ・中南米地域における 『帝国』 の前歴について認識が無ければ 「懸念」 の意味はよくわからない筈です。参考になる著作・記事は数多くありますが、今日は翻訳家であり多分ジャーナリストでもいらっしゃる益岡賢さんのページから一部を引用して紹介致したく;

益岡さんページ http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/

以下トップページより引用;


ページの背景

このページでは、特にコロンビアを中心に、あまりマス・メディアでは扱われない情報を、マス・メディアとは異なる視点から紹介します。ある程度まとまった文章(および文章へのリンク)をアップし、それ以外の情報は必要最低限に抑えます。月2〜3回情報を追加しています。もう少し更新を頻繁にしたいのですが、このところイラク関係情報をファルージャ2004年4月ブログで更新しているため、こちらの更新がゆっくりになっています。

「情報生産の独占における真に不吉な点は、情報そのものに対するアクセスの問題ではなく、情報を批判する手段に対するアクセスの問題である」(エドワード・サイード)という状況に多少なりとも対抗するに有用な批判的情報を紹介していきたいと考えています。


HPではコロンビアのみならず東ティモールイラクパレスチナイスラエルなど、またジャーナリストであるジョン・ピルジャー、ウィリアム・ブルムおよび先日紹介のチョムスキー教授記事の翻訳やら世界情勢を知るのに有用なリンク集などがあり、大変充実しています。

さて3月22日付け −翻訳家 山岡朋子さん その35  『フリア・アルバレスと闇の時代』 その6: ドミニカ共和国の隣国ハイチの場合− (http://d.hatena.ne.jp/El_Payo_J/20090322/1237687202) 中で紹介の 「もうひとつの癌」 について、益岡さんHP右カラムの 「人別記事 ブルム」 から 「ウィリアム・ブルムの文章」 → 「ハイチ:1986年〜1994年 誰がこの男を取り除いてくれるのか? (2004年3月2日掲載)」 を是非読んでみて欲しい、とおもいます。以下、記事の冒頭の一部のみ引用;

ハイチ 一九八六年〜一九九四年
誰がこの男を取り除いてくれるのか?
ウィリアム・ブルム著
キリング・ホープ 第55章より


国際法違反の不法侵略・占領を行う米軍の支援のためにイラク憲法違反の自衛隊派遣を日本政府が行なった状況で、他にも書いておきたいこと等は色々あるのですが、ここでは、あまり背景まで掘り下げられることのないニュースからハイチの事態を読み取る一助として、ウィリアム・ブルム著『希望の殺害』第55章「ハイチ」の章の粗訳を紹介することにしました。長くなりますが、ぜひお読み頂ければと思います。


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フランソワ・「パパ・ドック」・デュバリエ(一九五七年から一九七一年)と、ジャン−クロード・「ベビー・ドック」・デュバリエ(一九七一年から一九八六年)という、ともに「パパ」により終身大統領に指名された二代にわたるデュバリエ家独裁政権のもとで、米国は、ハイチの対ゲリラ部隊を訓練して武器を与えた。ただし、ハイチに対する米国の軍事援助のほとんどは、イスラエルを通して秘密裡に提供されたため、ワシントンは、残忍な政府を支援しているという困惑すべき問題を避けることができた。一九八六年二月、ジャン−クロードが亡命を余儀なくされたとき---彼は米国空軍のジェット機でフランスに逃れた---、ワシントンは公式の援助を再開した。そして、悲惨な状態に置かれたハイチの人々が、三〇年にわたるデュバリエイズムの終焉を祝っていたときに、米国は、その体制を別の新たな名前で維持することに専心していた。

ジャン−クロードがハイチを去ってから三週間のうちに、米国は、ハイチに二六六〇万ドルの経済・軍事援助を提供すると発表し、四月には、「ハイチをパトロールして秩序を維持するために、ハイチ軍にトラックと訓練、通信装置を提供するために必要な追加の四〇〇万ドルを求めていた」[1]。ハイチで「秩序を維持する」ことは、国内の弾圧と統制を意味する。そして、デュバリエの退位から一九八七年一一月に予定されていた選挙までの二一カ月の間に、あとを継いだハイチ政府は、ベビー・ドックが一五年間に生みだしたよりも多くの一般市民犠牲者を生みだしていた[2]。



     上出 『希望の殺害』          W.ブルム著、益岡さん訳



なおチリ、グアテマラエルサルバドルなど他国についても記事があります。読めば読むほど、相変わらず同じ過ちを懲りずに繰り返していることがわかります。問題の根は軍事独裁政権でもチンケなテロリストでも麻薬でもありません。世界最大のテロ国家の暴走を誰も止められないことです。さて、歴史から何を学んでどう活かすべきか?